小さいおうち/中島 京子 | Bon livre –いつか最良の一冊と出会う–


小さいおうち (文春文庫)


※ネタバレふくみます。

昭和初期から戦中まで。
女中のタキが平井家の人々にお仕えした“赤い屋根の小さなおうち”での出来事。

私も、女中は奴隷に近しいものを想像していたし、
開戦して世の中が明るくなった、人が穏やかになったなんて信じられないよ。

でもさー、実際に経験したおばあちゃんがそう言っているのにさー、
そんなわけない、嘘だなんて決めつけるとか、健史そういうとこよくないよ。
タッちゃんと太洋の話だけで泣けるよ。

望まない結婚をするより、優しいご家族のために働くほうが幸せかぁ。

これ90年代だったら、タキが時子奥様にめっちゃいじめられる話になってそう。
家なき子とか観てた世代だから、ついそういう想像しちゃう。

タキさんに弟子入りして家事術を学びたいわ。
戦時下の食料のとぼしい時でも、少しでも食卓を華やかにする工夫をしたり、
パパッと何種類も料理を作ったり。服飾もできるし、万能すぎる!

私なんかアボカドとかパプリカとか使っても見た目がイマイチなんだけど。
クックパッドよりタキパッドをアプリにしてほしい。

レトロ建築好きの私は、小さいおうちも想像してときめいていたのだけど、
読了後に映画サイトを覗いてみたら、あのおうちが再現されていて
やっぱり可愛すぎてため息がでた。私の想像ではとうてい及ばないほどにー!

今の注文住宅もああいうデザインなら、私も購入を考えるのにー!
考えるけどね、広さ的にね、値段がね、お財布の限界を超えてるけどね?

おばあちゃんの思い出話が、あんなふうに現代へつながるとは。

戦後に描かれた絵の話があったけど、私の頭の中では
小さいおうちの小さいレプリカが立ち上がって、
そこを覗くとタキや時子さんたちが暮らしているような感じがするなぁ。