今夜は心だけ抱いて/唯川 恵 | Bon livre –いつか最良の一冊と出会う–


今夜は心だけ抱いて (朝日文庫)


※ネタバレふくみます。

12年前に離婚した元夫から、突然電話がかかってきた。
海外赴任することになり、5歳の時に別れた娘を預かってほしいという…。

47歳の柊子(しゅうこ)と、17歳の美羽(みわ)。
32歳の私はちょうど二人の中間の年齢なのだけど、
どっちかっていうと柊子に肩入れして読んでしまった。

女子高生の経験はあってもバツイチの経験はないのに。なんでだろ。

柊子は娘を姑にとられたと悲しみ、
美羽は母が自分より仕事をとったと憎んでいて。
親子の仲を破壊しやがって姑ふざけんなよ!ってムカついたからかな?

それではじめは
「柊子かわいそう…誤解がとけるといいな…」って同情してたんだけど

いやー、思いのほか尻が軽かった!

吉岡と須加も気持ち悪いよ、須加さんは紳士だと信じてたたのに。
男はカッコよさだけじゃないんだ!って気づいた柊子が惚れるパターンかと。

自分の知らないところで、自分のカラダ使ってあんなんされてたら
「きめぇぇぇぇぇ!!」って泣き叫んで滝に打たれに行くわ。
清めたまえ祓いたまえ我が身の穢れを!ぬん!つって。

母親がやることじゃない気がする。長いあいだ親子関係にないとか別で。

序盤の美羽の母への態度は子供だったが、思考は大人でしっかりしてるなぁ。
私だったら「貴重な青春がー!」って絶望する。

これから大学行って彼氏作って若さを謳歌するはずだったのにー!って。
できないけど。私だったら17歳でもそれが叶わないけど。
その前にそっこう章吾くんと付き合うけど。

勉強でも受験でも就職でも競争して、妻になって母になって
いつ気がぬけるのかってとこで、自分がずっと気ぃ抜いて生きてきたことに気づいた。

リア充は大変だな。大変だけどそれでもリア充になりたかったな(正直者)。

自分じゃない誰かになって自分という人間を客観的に見るって、おもしろいね。
うん、おもしろくない。怖すぎ。
「あのブス調子のりすぎなんだよー」とか言われてたらカプチーノ吐いちゃう。

この結末は予想外だったな。
それでいいのか?って感じだけど、新しい考え方かもしれないね。

ベタな展開しか予想してなかった私には意外性の連続で、
いい意味で裏切られておもしろかったです。