青森県津軽。親子4代、受け継がれるもの。
大森家のさまざまな人の目線から語られる、家族の、恋人の、仕事の、話。
それぞれの思いは時に錯綜しながら、ゆっくりとまた束ねられて、時を紡いでいく。
ひいおじいちゃん、ひいおばあちゃんの話って聞いたことないなぁ。
おじいちゃんとおばあちゃんのお父さんとお母さんだから、8人いるってことだよね。
どんな人だったんだろう。ひとりも想像つかない。
ひいおばあちゃん、おばあちゃん、お母さんと経て、自分に受け継がれてるものってあるのかな?
男性芸能人に熱狂してしまうミーハーなところとか?
てことはひいおばあちゃんも、時代的に歌舞伎役者とか?に、ハマってたりしたのだろうか。
母と娘の関係と、父と息子の関係ってぜんぜん違うんだろうなぁ。
そればっかりは、わからない。いや、男のひとの気持ちなんて何にもわからないけどさ。
陽一の仕事の話を聞いたときの哲夫の心境を想像すると、きゅーんと痛みが走る。
こういう不器用な愛情って、泣かせる。しょうがないな、でもかっこいいなって。
百年の時を流れてつながる物語に、胸が温かくなる。
それこそ、寒い冬の日に熱いおそばを食べたみたいに。
素直に、がんばって、どうかうまくいってって、応援したくなる人たちなんだよな。
昨日の記事でスピッツの曲を引用したけど、この小説でも七海と陽一がスピッツ聴いてた。
「ワインみたいに甘酸っぱい声」はこの小説には合わなくない?日本酒みたいな演歌じゃない?
でも、二人の雰囲気はよくわかった。いいな、そんなカップル。
私は今まで、スピッツを聴いてキュンとなるなんて言う男の人に会ったことがないなぁ。
車でミスチルかけた人に「なに爽やかぶってんの」って言ったことならある。
自分のひいおじいちゃん・おばあちゃんが、賢治とトヨみたいな人たちだったらいいなぁ。
最初は退屈な物語かなって思いながら読んでたら、まったくそんなことなかった。
ラストの第五章とエピローグがいい。驚いて、納得して、ちょっと泣けた。