LangLangのピアノ演奏を初めて聞いたのは、2003年のセンセーショナルなカーネギーホールでのデビューリサイタルをTVで見たときでした。
これはすごい人が現れたなという印象で、とにかくパフォーマンスが圧倒的でした。リストのドンジョバンニ・パラフレーズが、それはもう華やかで、鮮やかで、フランツリストの降臨したかと思うほどでした。
その曲にほれ込んで、楽譜を購入し、自分でも挑戦しましたが、出来上がりはLangLangのそれとはかけ離れたもので、彼のスペシャル感が浮き彫りになりました。
その後、ウィーンでもLanglangフィーバーが巻き起こり、彼の演奏会はチケットが即完売だったため、オープンエアコンサートで生演奏を聴いたりしました。
彼のパフォーマンスは賛否両論ありますが、私はエンターテイナーとして尊敬するし、彼の独特のクラシック作品に対する解釈をとやかく言うつもりもないです。賛同できない解釈もあれば、納得できるものもあります。彼は奇をてらっているのではなく、自分なりの作品に対するリスペクトと愛だと思うからです。彼ほどの完成されたスターでも、今でもバレンボイムにレッスンを受けるなど、真摯に研究を重ねています。
そんな中、ユーチューブのおすすめに彼のリサイタルの動画が流れてきました。中年に差し掛かり、貫禄の出てきたLanglangのサムネにひかれて、ぽちっとしたら、それは直近2025年4月のパリでのリサイタルでした。
プログラムはフォーレのパヴぁーヌ、シューマンのクライスレリアーナ、そして後半はショパンのマズルカ数曲、最後はポロネーズOp.44でした。
一番言いたいことは、パリの聴衆は非常に行儀が悪いということ!これにつきます。LangLangの演奏が入ってこなかったほど、演奏中の咳テロがすざまじかった。
ここで故ブレンデルの嘆きを引用させてください。ブレンデルが引退を表明した時のインタビューで、今までのキャリアの最後に何か望むことが一つあるとしたら、そしてその望みがかなうとしたら何を望みますか、と聞かれたときに、
誰も演奏会で咳をしないこと!と答えました。
かなうことのない望みでしょうが、そのくらい演奏家にとっては切実な悩みです。咳一つが演奏会を台無しにしてしまうということです。
まあ、そんな咳テロにもびくともせず、完璧な演奏を披露し、、アンコールで三つも弾いて、エンターテイナーぶりを発揮したLangLangに拍手を送りたいです。
そのあと、ウィーン楽友協会での2010年のリサイタルの動画を見てみましたが、ウィーンの聴衆は常識があったようで安心しました。
