「こんにちは」
日本語はそれ以上できませんのでごめんなさい。

まず、ここに来られて本当に光栄だという事を申し上げたいと思います。
下澤教授にお礼申し上げたいと思います。そして淳さんや、今回お招き下さった皆さんにお礼申し上げます。

この様な、トットネスから始まった私どもの取り組みについて紹介できる事は本当に光栄な事だと思います。
携わっているのは私だけではなくて、大勢の人たちがいるんですけど、トットネスの仲間達みんなを代表して活動の発表ができる事は大変光栄な事です。

日本語ができなくて大変申し訳ないんですけれど、トムが通訳をしてくれるので、頑張ってくれますよね?

トム
「はい頑張ります。」

私は実は元々はカリフォルニアの出身なんですけど、3年半前にトットネスに移り住みました。
今の時期、イギリスはとても寒いんですけど、本当に青空が広がる素晴らしい気候の日本で、しかも地震(11月23日、長野県北部を震源とする最大震度、震度6弱の地震)まで経験できて、大変嬉しく思っております。

私は3年半前にトットネスに移り住んだのは丁度この、リエコノミーの活動が始まりかけていた時期に当たりました。

大村さんが説明くださったように、トットネスで始まったトランジションタウンの活動というのは今や全世界的な運動に広がっています。

トットネスのトランジションタウン活動が始まったころ、周りのコミュニティや色んなグループから非常に高い関心を持っていただきました。その結果、トランジションネットワークというNGOが立ち上げられるようになりました。

そして丁度3年半前、そのトランジションネットワークでは、リエコノミーというプロジェクトがスタートしました。それはですね、自分の地域で経済を革新するような事業を営みたいという起業家たちを応援するような活動でした。

今ですね、世界のだいたい10ヵ国にトランジションタウン運動のための中心拠点、ハブというのが出来ていまして、その中心拠点からですね、このリエコノミーの活動が各国で展開されつつあります。

そうした世界各国の動向も勿論、大変これからも期待をしているところなんですけれど、今日はトットネスの中で私たちがやっているような取り組みについて主にお話をしたいと思っています。皆さんのこういった取り組みは色んな意味で先進性を持っていると言って過言では無いと思うからです。

丁度3年半前に、このリエコノミーの活動を始めたわけなんですけど、それをトットネス・リエコノミープロジェクトという名前の下で進めました。

様々なプロジェクトを実施していますが、その中には経済的な側面を持った、トランジション的な経済の事とか様々です。それらは全てが繋がりあっているから、ある意味で当然の事です。

ご興味が有れば休憩時間の時などに具体的なプロジェクトについてもっと詳しくお話できたらと思っております。

これからトットネスで実際に行っているプロジェクトの例をいくつか、こ紹介します。

この一連のプロジェクトというのはですね、地域に支えられた起業家活動という風に捉えていただきたいと思います。

Entrepreneurism

起業家活動の起業家主義という英語があるかどうかは分かりませんが造語、英語でも造語です。

ただ、非常に体系的な形で、こういう、起業家の方の応援をしようとしていますので、起業家支援活動という、1つの○○○○。

まずはその、今やっている事業の背景を、少しお話していきたいと思います。

その上で、取り組んでいる3つの戦略的な性格を持ったプロジェクトをご紹介します。その1つめはローカルエコノミックブルクリント、地域経済の青写真と呼んでいるものです。

2つ目はリエコノミーセンターというですね、起業家を応援する母体でインキュベータブルというプロジェクトです。

3つ目は地元起業家フォーラムと呼んでいる取り組みです。

そのあと、質疑のための時間を設けたいと思います。

まずは背景を確認しましょう。
この方を皆さんご存知でしょうか?
この写真を見てわかる方は手を上げていただけますか?
まだ、あまり馴染みが無いですか?
まあ、以前、世界の経済システムの説明をする時はですね、森林破壊や公害ですとか、ウォルマートで買い物カゴをいっぱいにした消費主義の写真とか、そういうのを見せていた事が多いのですが、むしろ、こういう方の写真を見せる方が全てを転換的に表しているような気がします。

この方はアメリカの億万長者で、実はカジノの経営者なんですけども、カジノの経営のために政府からも補助金を得ています。
最近、スコットランドの自然の非常に豊かなところでゴルフ場を開発しようとして、かなり強引な事業展開をしようとしていた事が有りました。

時々アメリカの大統領選挙にも出馬する程です。
今日のグローバル化した経済システムの性質を具現しているアバターのような存在であると考えられます。

今の世界の経済体制というのは少数の極めて強大な多国籍企業によって支配されています。

それを支えているのが世界の超大国と言われる数ヵ国です。

さらにWTOのような国家の枠を超えたような巨大な組織も、こういった多国籍企業を支援しています。

この経済システムというのはとにかく利益をなるべく大きくする。常に経済成長を遂げる目標を掲げて進んでいます。
そして消費者による物やサービスの大量消費を可能にするために天然資源を食い荒らすような、非常に乱暴な経営をベースとしています。

そうした経済活動は今、この地球そのものを食い荒らしておりますし、そこではほとんど説明責任を実現されていない状況です。

そうした中で地域社会というのは、大きな経済システムに依存すると同時に非常に被害を受けやすい脆弱な状態に置かれます。ある地域に影響を及ぼすような意思決定というのはその地域に委ねられておらず、遠い大都市で行われています。そしてその意思決定を往々にして地域に住んでいる人々や地域の環境の事を配慮せずになされています。

トランジションタウン運動ではですね、そういうような状況の中で地域コミュニティがもっと自立をして色んな変化に耐えられるようにする事を目指しています。同時に自分たちの住んでいるその場で、より長い目で見て持続可能な生活を営もうとしています。その1つの方法、1つの対応策としてですね、グローバル化した経済からなるべく自分たちは自立させる、切り離す事を目指しています。

こうした巨大な経済の仕組みに頼らずにですね、地元の資源を使い、地元で、出来た色んな企業と比較しながらですね、地元で経済を振興させながら、より多くのニーズを満たしていく事ができれば、是非そうするべきでしょう。

地域のイニシアチブで、地域で説明責任を担いながら、そういうような地元の振興ができればですね、環境に対する私たちの負荷を減らし地域経済を再活性化し、そして非常に環境にも優しい生業を実現し人々の幸福と安寧に寄与する事ができるでしょう。
こういった取り組みをですね、経済のローカリゼーション或いはリローカリゼーションと呼びます。
ま、それはグローバル化していた経済の体制に対して、対抗する1つの概念です。

そうした観点でいうと、リエコノミーの運動というのは、より不確定で幅広い、そして数十年前から続いている運動の一端であると言えます。

この他、リエコノミーという考え方は色んな思想の潮流から出てきたものです。持続可能な開発ですとか、ディープな成長ですとか、循環形経済、あるいはケイジョウ化経済あるいはエコロジカルな経済といった色んな考え方の○○です。

このリローカリゼーションというのは、破壊できない、ローカルな経済体制の問題を変えるソリューションの1つだと考えています。

以上、私どもの取り組みの背景を、お話させていただきました。

それを成し遂げるためにはですね、新しい経済のモデルが成り立つような状況を作っていく必要が有ると思います。私はそれをですね、新しい経済的な主体、そして新しい経済関係が生まれ繁栄するような条件を作るという風に提案しています。

ちょっと長くて読み辛いですので申し訳ありません。

この様な新しい経済的な主体、アクターというのはどういう方々でしょう。例えば活動家ですとか、コミュニティの中で組織化を行うオーガナイザー、あるいはパーマカルチャーの実践家、あるいは今までに無いもの作りに取り組む、自分の手で色んな事をやろうとする人々も、その新しい経済の主体だと思います。

このリストの1番上位にそういった方々の名前を連ねております。
この下地が色んな意味での社会的な変革の担い手であり、運動を牽引している方々やですね、人々が自らの行動を変えてですね、もっと自立し、どんな状況にも強く耐えられるようになろうとする、そういった運動の先駈けであると思うのです。

そこでですね、いわゆる新しい事業を起こす方、起業家というのを従来よりもっと広くとらえようとしております。

世の中に今までになかった新しい物を提供する、しかも、社会と環境の事に配慮した起業家たちを育成していきたいと思い、それだけではなくてですね、自分は、自分の事を起業家だとかビジネスパーソンだと思っていないけど、なんとか地域の中で暮らしていきたい、生活を成り立たしていきたいと思っている人たちの、この起業家という風にとらえるようにしています。

そうした中にはですね、こういう活動を始める真のメンバーになる人たちも生まれると思います。また、色んな専門知識を提供できるような支援者も含まれると思います。
更に英語でコミニタリアンといいますが、自分の住んでいる地域を、もっとより良くしたいと思っている善意の有る人たちも広い意味での起業家であるととらえています。
そのコミニタリアンという発生経過については後程もうちょっと詳しくお伝えしたいと思います。
更にですね、色んな事業に資金を提供してくれる投資家も当然、重要な新しい主体ですし、お金以外の形で起業家活動を応援するような人たちも重要な経済的なアクターであります。
そして、最後にですね、アクティブな市民全てが新しい経済の主体だと考えています。つまり、地域においても政治においても、より積極的な役割を担う、今までの受け身の消費者であるというレッテルを取り除いてですね、より積極的に地域や世の中をより良くしようとするような前向きな市民が重要な経済的な主体となります。

4年に1回投票所に行くだけでは本当の積極的な市民であるとは言えないと思います。そして、ショッピングモールで沢山買い物をする事だけで人間は満足するわけでもないと思います。ですから、そういう消費主義と、ただ形だけの○○を越えた、もっと積極的な市民を目指したいと思います。
ちょっと前置きが長くなってしまいましたので、具体的なお話に入りましょう。プロジェクトについてお話します。

先ほど申し上げた地域経済の青写真というものを、まずご紹介したいと思います。
地域経済の青写真に関する活動は3年半ほど前に始まりましたが、その成果を、今手に持っているレポートに纏めました。

読み応えのあるレポートでありますけども、プロジェクトは、ただ単に詳しい報告書を書くだけの物では有りませんでした。

それは主に2つの目標が有りました。

むしろ、この活動というのはですね、地域のリーダーや地域の有力者と関わり合いながらですね、地域の発展の計画としてローカル化を進めるための説得剤を作るという事を目指したんですね。ローカル化こそが地域振興にとって鍵だという事を研究によって示したかったのです。
どういう風にこの取り組みを始めたかというと、まずですね、市議会の色んなメンバーを招待したんです。
あとは学校の教育者ですとか、商工会議所の方とか、他の地域の人々をこのような場にお呼びしました。
そこで簡単な問い掛けをその方々にしました。「私たちの地域の経済は何が目的なのでしょうか?」と。

住民の生活をより良くするために経済がどういう役割を果たしているのか、どうすれば、その生活をより良くできるのかという事を問いました。
そこでですね、やはり色々と話し合った結果、地域の経済のための共通のビジョンを打ち出しました。それはどういうものかというとですね、人々のニーズを満たす十分な機会を生み出し、色んなお金やリソースが平等に分配され自然の限界を尊重し認めて過剰な消費をしない。そして住民の幸福を増進させるような地域経済を作ろうという事を打ち出しました。

パワーボイントの画像の中で座っている男性は地区の委員会の委員長ですが、一生懸命文章を書いているんですね。
そこで次にですね、長期的な持続可能性、そして、色んな将来の大変な状況にも耐えうるような変応性を実現するために必要な事は何なのか考えるために、経済を4つの部門に分けて研究活動を開始しました。
まずは食料のシステムはどうなっているのかを検討しました。

次に、地元の再生可能な資源を使ったエネルギーの生産の可能性に目を向けました。
次にですね、より快適で、しかしエネルギーを無駄にしない住宅をどうすればいいのかという事を考えました。この地域というのは、ヨーロッパでも大変寒い地域ですけれど、残念ながらエネルギー効率が最も悪い家が多い地域でもあるのです。
そして医療についても考えました。

まず、食料について検討した興味深い結果を幾つかご紹介しましょう。
イギリスの他の地域と比べると比較的地元の食料を消費する地産地消が進んではいたのですけれど、それでも住民が食費に費やしている費用の2/3は実は1件のスーパーで費やされている事がわかりました。

私たちの地域は非常に農業の生産高が豊かな地域なんですけれど、そうであるにもかかわらず我々が飲み食いしている食料の75%は他のところから持ち込まれた物でした。
万が一の災害の時にちゃんと耐えられるような体制作り、あるいは持続可能な経済作りを考えた場合、そういう外への依存は非常にまずいという事ですよね、それはまず大きな警告が必要なところです。

ただ、それでも英国は平均からすると自給自足が高いですね、トットネスも。英国の他の地域ではですね、実は全国にある8千5百ヵ所のスーパーで、ですね、食品や、食べ物と飲み物に関する消費も95%も行われているのです。ですから大手スーパー以外の消費は5%しかないのです。

我々が飲んだり食べたりしても2/3がスーパーから来ているのであればまず、その食料生産するためにはですね、遠くから運んでくる必要があるので当然化石燃料が使われているでしょう。つまり炭素で計算した環境負荷が高いでしょう。

同時に私たちのお金が全部外に流れてしまっている事を意味します。

トットネスではですね、食料に関する全体の消費の金額が約3千万ポンドが相当するんですが、その内の2千2百万ポンドがスーパーにお金が行っているので、そのお金のほとんどは外に行ってしまいます。地元に残るお金は極僅かです。

スーパーのもう1つの特長はですね、売上金額当たりの雇用が少ないという事ですね。地元の小さな店舗と比べて売上当たりの雇用人数がスーパーでは1/3しかないのです。

今、人々がスーパーでやっている買い物の1割だけでもですね、地元の小売店舗での買い物に切り替える事ができれば、地域に2百万ポンドものお金が収入される事になります。

そして、地域でお金が回ると、それが何度も回転する事によって規模が大きくなっていく効果が有るので地元の店舗でも売上が2百万ポンド増えれば実際の地域での経済効果は3百万、4百万ポンドくらいになるだろうと考えられます。

さっき冒頭で申した他の経済部門でも研究をしたところ、似たような現象が見られ、同時に地域への経済を強くするための色んな機会が有るという事も明らかになりました。

この取り組みではですね、地元のリーダーと関係を結びつける事が大変重要な要素でした。約1年半、研究活動を続けましたが、その間ずっと市役所だとか商工会議所といった人たちと繋がりを持ち続けました。
調査研究によって証拠となる情報を蓄積した上で、もう1回、地域のリーダーたちとお会いしてですね、どうすれば地域経済がもっと振興できるのか、どういう行動ができるかという事を一緒に話し合いました。
パワーボイントの画像はですね、地域の色々な有力者の方とですね、これからやろうと考えているプロジェクトについて色々話し合っている様子です。

そこで、30種類ほどのプロジェクトに関するアイデアが有効だという結論になりました。そのプロジェクトの中には、既に本格的に動いている物、始まったばかりの物、そして、まだアイデアの段階に有るようなものなど、様々な物が有りました。

この事業というのはですね、○○地域のリーダー達との関係を構築し、その人たちに影響を及ぼすような物となりました。

その努力の結果、共通のビジョンが打ち出され、今もそのビジョンが、色々取り組むための○○を○○しています。

そして、重要な事としてですね、地域振興の戦略として経済のローカリゼーションが必要だという事をデータを見て根拠を示したのです。

でもただ、多分1番大きな成果はですね、色んな関係機関の間の一緒に働いている関係ができた事ではないかと思います。

ところで私はアメリカのシリコンバレーでIT産業の色んな起業家活動に関わっていたんですね。で、そこからトットネスにやってきて、私が最初に関わったプロジェクトというのは、そういう社会起業家を応援するような組織、インキュベーターというものを作るというプロジェクトでした。

立ち上げには時間が掛かりました。

まあ、時間が掛かったんですけどね、地域経済に変化をもたらすには、そういう起業家たちを応援するようなインキュベーターが不可欠だという事がだんだん明らかになってきたので、改めてそれを実現させる事ができました。

まあ、時間は掛かったんですけれど、地域経済に本当の変化をもたらすためにはですね、起業家たちを応援するようなインキュベーターが不可欠だという事がだんだん明らかになったので、やがて、それを実現させる事ができました。

研究活動の中で、ずっと市役所とか、商工会議所の中のリーダーと関係を持ち続けました。そして、最終的にはですね、事業家たちを応援するような場所を作りたいというので、そのためのオフィスのスペースを提供して下さいと、地元の市議会に要請したところ、そういうような場所を提供してもらう事ができました。
その場所をリエコノミーセンターと呼んでおりまして、開設して、今、丁度15ヶ月経ったところです。
そこの家賃は1年間約150円です。なかなかお得ですよね?

パワーボイントの画像の方はですね、実は、ここの地域の議会のリーダーの方なんです。
実際は保守党の方なんですけれど、少なくとも英国ではトランジションタウン運動に関わっている方は右寄り(保守派)というか、どちらかというと左寄り(革新派)の方が多いと言って過言ではないと思います。
ただ保守的な考えの方も進歩的な考えの方もですね、多くの共通項を持っている事を発見しました。誰しもコミュニティでの生活の質を高めたいという気持ちが有ったし、もっと自立した経済を作っていきたいと思っていましたし、リスクを負ってでも世の中に何か新しい物を打ち出そうとしている起業家たちを応援したいという気持ちが共通に有りました。

パワーボイントの画像はリエコノミーセンターの様子なんですけれど、色んなグラフィックデザインもボランティアで寄付で提供していただいた物も有ります。そしてここに色んな機材や家具などの多くは寄付していただいた物です。

パワーボイントの画像は、中で仕事をしている様子です。

パワーボイントの画像は、リエコノミーセンターに集まった色んな起業家たちの様子です。
何故、そういう起業家を応援するインキュベーター、要するに雛を巣立ちさせる、ま、孵化器という意味なんですけれど、インキュベーターというのは。何故そういうインキュベーターが必要なのかという事をよく聞かれる事が有ります。
それが有ると起業家たちが成功しやすくなるんです。実は、そういうような社会起業家を応援するようなインキュベーターをですね、支援する母体が5年経っても85%の方はまだ存続しているんですね。それはインキュベーターが無い状況で起業した方の数倍高いんです。その成功している割合が。リエコノミーセンターという社会起業家のインキュベーター組織というのは、色んな社会的な、或いは持続的な事業、或いはコミュニティを中心にそういったような事業を行う方々、或いは新しい生業を実現しようとしている方々、或いは地域経済の変換に取り組むNPOなどの活動拠点となっています。
ここで一番やりたいのはトランジション思考型の企業を応援するという事なんです。
パワーボイントで示している図ではですね、トランジション思考の企業が目指す5つの基本原則を示しています。そういうものを応援したいと思っております。

その1つ目の原則は適切な形でローカルであるという事なんですね。適切なローカル性と言っているのはですね、事業の形態が、地域によってもローカルであるという意味合いが異なるからなんです。

2つ目の原則は適正な資源利用です。化石燃料の需要をなるべく0に近づけるか、或いは0にする。そして、その他の環境負荷も0に近づけるか、0にする。それだけではなくて、傷付いた環境を再生するような事業という事です。

そこではですね、揺りかごから墓場までを考える経済だとか、循環型経済だとか、そういった色々な発想が生きています。

また、トランジション思考の企業というのはですね、地域の仲間の1人の提案をとても大事だと思っていて、つまり地域に対してきちんと説明責任をとり、地域の時でも中でも良き市民であり、地域のみんなと仲良くやっていくような企業である事を目指しています。

ここでは例えば協同組合といったモデルが有効でしょう。

また、トランジションタウンの1つの原則ですね、色んな予測不可能な状況や災害に対する、耐える力をつけるという事も大事なんですけれど、地域の経済あるいは地域の生態系がダメージを受けても耐えられるような起業○○というような事も考えています。
また、単なる利潤追求ではない利潤以上の物を求める事がトランジション思考企業の原則です。もちろん利益を出してもいいんですけど、利益を出すのが中心の目的ではないです。地域に何かの良い物をもらたす、メリットをもらたす結果として利益も生まれるというものです。

リエコノミーセンターというのは新しい事業を立ち上げるための孵化器、インキュベーター、彼らを巣立ちできるような環境を提供する場所です。そして、そういった起業家たちが一緒に仕事をし、また一緒に集まるような空間でもあります。

いま、50人ほどの起業家たちをサポートしています。この場所というのは皆が繋がり会うネットワークを作るための中心拠点、ハブにもなっています。

もう1つ、お話したいのが、お勧めしようとしている興味深い取り組み、それは、寄付の文化、分かち合いの文化、価値の交換の広い解釈という物を目指しています。

このセンターは誰でも比較的容易にアクセスできるようにしています。ですから、お金を少ししか寄付できない人はその少しでもいいですし、お金以外の形で、協力できる人は、そういう形で協力していただく。そしてより経済的な余裕が有る方には、より多く経済的に貢献をしていただくというようなシャッフルを作ろうとしています。
メンバーにはですね、互いに助け合うような関係性を持つことをお願いしています。つまり、地域にできる貢献をし、このセンターの○○で、できる貢献をしていただく。他のメンバーとも友好的な、協調的な関係を作る。それで、例えば外部から清掃業者に清掃に来てもらっているわけではないので、きちんと掃除や後片付けをする事を、お願いしています。

「それで本当に上手くやって行けるんですか?」と疑問に思う人もいるでしょう。○○でいます。

ただ、こういう実験を行う事が大事だと思っているのです。

次にご紹介するのは今までお話した中で私が一番気に入っているプロジェクトです。
地元起業家フォーラムと呼んでいるものです。

さっき申し上げましたトットネスに到着した当初、社会起業家を応援するような、巣立ちができるような環境ですね、インキュベーターを作りたいと考えておりました。
巣立ちができるような、環境を作ろうと努力しましたが、次から次へと色んな障害にぶち当たりました。

なかなか一筋縄ではいかないので、それでも諦めるつもりは無かったので、それなら1日でできるインキュベーターをですね、いわゆる社会起業家たちが巣立ちできるような1日ワークショップをやろうと決めたのです。

どういうものかと言いますとですね、1日掛かりのイベントを開催しました。そこに、既に色んな起業をされている方、あるいはこれから事業をやりたいと思っていらっしゃる方を、お呼びしました。

更に、そういった事業に投資ができる投資家たち、あるいは投資してみたいと思っている、【見込み投資家】たちも、お呼びしました。

そして様々な、そこでの触媒のような働きができる人や、全部、上手く良い方向に持っていけるような何かの役割を果たせる人たちも、お呼びしました。

それがどういうような1日の流れになるかを説明したいと思います。そこでは本当に魔法のような不思議な現象が起こり始めるのです。

最初はですね、皆のやる気を起こす、元気付けをするような方々のスピーチで授業が始まります。

次にですね、蜂のようになるという活動を行います。

2時間ほど掛けてですね、今まで小さなグループに凝り固まった人たちに、他の人たちと交流するように話します。そして、そこにいる方々が互いに知り合えるような切っ掛け作りをします。

私の友人のハウが、そういうワークのファシリテーションをしている写真です。ここではですね、星座、コンステレーションと呼んでいるワークをしています。そこではですね、「具体的な何かの事業のアイデアが有る人は、こちら側に集まって下さい。まだ何かしたいけど何がやりたいのか、よく分からない人たちはこちらに集まって下さい。」という風に言って、その人々が自然とそういうグループに別れるように仕向けます。「起業家の方はこちら、投資家の方はこちら…」という風に別れて、お互いに知り合いになっていただきます。その時に、丁度今朝やったようにしてですね、持ち回りでマイクを持っていただいて自己紹介していただき、そのワークショップに何を期待しているのかという事を抱負を語っていただきます。

そこで、互いに打ち解けて人間関係ができ始めます。冒頭で大村さんがご紹介下さったようにですね、社会を変革しようと思ったら人間関係作り、ネットワーク作りが何よりも大切だと私共も考えております。特に社会起業家が元気付けられるような環境を作る時には顔の見える関係を作る事が何よりも重要です。事業を起こす方と、それを応援するような方々との間の人間関係作りが不可欠です。

次はオープンスペースという活動を行っているところの写真です。ここではですね、自由に参加者が定義したテーマで自由に集まって討議をしていただきます。この2つについては大変○○○。つまり、クライアントさんからすると、自分が会いたいと思っていた相手と会え、そして学びたいと思っていたテーマが学べたと多くの方がおっしゃって下さいます。

その様子ですけど、大体、こういうイベントには130人くらいが集まる事が今まで多かったです。

ご覧のように多種多様な方々が参加します。

トットネスで、一番先輩のですね、高齢の起業家が、これから始めようとする本当の若手の起業家に、ここではアドバイスを提供しています。そういうような交流ですね。

このオープンスペースというワークの後は地産地消の○○で作られたランチが運ばれて、こうした食事の取り方が更に関係を深めています。お昼の後はですね、地元のリーダーたちによる経験交流の時間となります。

今年のテーマは循環型経済でした。このエリックさんはですね、3年前に行った1回目の地元起業家フォーラムにも参加されたのですが、彼はですね、コーヒーショップで捨てられたコーヒーの豆カスでマッシュルーム、キノコ類を作る様な事業を始めました。
次が、1日の1番のハイライト○○○。つまり地元の起業家たち4人がそれぞれ自分の事業計画を参加者に発表、紹介する場面です。

そこに登場した起業家たちはですね、経済的な支援、そして経済以外、お金以外の支援を要請する機会が与えられました。

あらかじめ、ここで発表する起業家たちの事業については事前の選考をしています。十分な見込みの有る起業家たちに、ここで発表の場を与えています。

ここから本当に魔法のような現象が起こり始めるのです。冒頭で私たちは参加者全員が投資家であるという事を訴えます。何故でしょうか?何故ならば、地元の経済が自分にとって関係ない人はそもそもいないからです。そして誰にとっても町で、こういう新しい事業が生まれる事は他人事ではないからです。誰しも潜在的な社会事業のための投資家、色んな意味での投資家であり得るのです。

ここで発表されるのはですね、若者が中心に進めているリビングプロジェクトと呼ばれるような、若者が新しい生活空間を作っていく事業の発表です。

この若い起業家たちはですね、新しい住宅を作れる土地を探していました。そして資金を求めていました、住宅を造成する経験を持った方々のアドバイスを求めていました。

この場でですね、色んな方が名乗りを上げて活動のための資金も随分集まりました。また彼らに色んなアドバイスを提供するアドバイザー役も何人か申し出が有りました。それだけではないですね、例えば、経営書の書き方をアドバイスしますよとか、色んな形での協力の申し出が有りました。

また、この関係者にマッサージのやり方を指導しますと名乗りを上げた方がいたんですね。つまり住宅開発の本格事業が始められる前に最初はマッサージ師として副収入が得られるようにしようという事でした。
そして無料で労働奉仕をしますよという人も登場しましたし、

○○の手伝いをする人、あるいは宣伝活動のお手伝いをする人も、何人も名乗りを上げました。

こうした地元起業家フォーラムというのも今年で3年目になります。今年のイベントでは5つの新しい事業が紹介されました。
今ご紹介したリビングプロジェクトという事業の他、再生可能なエネルギーの事業が1つ、地元の林業の事業が2つ、そして地元に根差した農業の事業も1つ、ここで発表の機会が与えられました。

このイベントで、5つの事業○○約5万ポンドのお金を集める事ができました。

その大半をですね、5つの事業の内の2つの事業に対する投資家による先行投資という形で提供されました。

また、非常に有力な法律事務所の方もイベントに参加して下さってですね、このプロジェクトのために1年間無料で法的なサービスを提供する事をおっしゃって下さいました。

更にマーケティングや宣伝の専門家の方が無料で応援するとおっしゃって下さいましたし、ビデオ製作のプロの方もボランティアとして応援して下さることになりました。建築、計画作りのプロ方も応援して下さる事になりました。

更に土地を寄付していただく方、労働を寄付して下さった方、研修を提供して下さった方、色んな方々が行動しました。

2年前に初めて、このフォーラムを開いた時にはですね、コミュニティ支援型のCSA(地域支援型農業)の事業を開始しようとしている小さな農家の方が登場しました。

そういう様な取り組みに対して、どういう寄付が寄せられるか全く予想がつかなかったのですけれど、約2千ポンドの寄付が集まった他、果樹の苗25トン、そして、家畜の餌2.5トン、そして馬を飼育するための小屋を1つ、その他、マッサージ○○。ラジオ番組の出演の機会、ビデオ製作の援助、そして沢山のハグが寄付されました。

こうした取り組みが段々と本格化しまして、今までサポートした新しい事業との間の相乗効果も生まれつつあります。

例えば1回目の起業家フォーラムではですね、コーヒー豆の残りカスでマッシュルームを栽培する方が自分たちのアピールをしました。

その同じ年にですね、地元で新しくビール工房を作る事業の方がアピールをしました。

そして、2年後の第3回の起業家フォーラムの時には、その2つの会社が懇親会の主催者になりますという事を約束したのです。

その後、マッシュルームの事業とビール工房の事業の人が互いに話し合って色々なアイデアが生まれてきたんですね。例えばビールを作った時の残りカスでマッシュルームを栽培できるんじゃないかという話が有りました。

実は、それができる事が分かりました。

次にビール工房の人も思ったのですね。この凄く穂香な旨味の多いオイスターマッシュルームと呼んでいるマッシュルームでビールの味付けが出来るんじゃないかと。

実は、それができる事が分かったのです。
ですから、今年の3回目の起業家フォーラムで、いよいよその製品が発表されました。循環型○○という名前のビールです。

そのビール工房のオーナーがですね、循環型経済をプラスにとらえたものだという風に自負しています。

私たちはですね、経済の○○である事、起業家である事、あるいは投資家である事の意味を広く解釈しようとしています。

経済発展の観点から言えばですね、地域内での投資を育成する事を目指しています。このイベントは地域の人々が地域の事業にお金や色んなリソースを投資する機会を提供するものになっています。

それは地域にある金銭的な資本だけではなく色んな○○を持った社会資本を導入する機会となっているわけです。

それは英国で内需拡大だとか企業誘致などの標語で言われている従来の経済発展のモデルに対するオルタナティブになっているのです。

英語で○○。というのは要するに企業誘致というようなプロジェクトで多くの自治体では地域振興のために外部からスーパーを誘致したり、また、有名なコーヒーショップのチェーン店を誘致したりしますが、一見それが経済振興になっているように見えて実際には、それほど雇用は生まれないし、元々有った事業が潰れていくという様な負の影響も多いわけです。
一方、私たちが、推進している経済発展のモデルではですね、本当に地元の知り合いの人に投資をするわけですから、例えばお金を貸してもすぐに、それが返金される、利子で儲けられるという事はそれほど期待されません。そして、低利子無利子でもいいという気持ちでお金を出してくれる方も多いわけです。そういうのを英語でPatient capital、気の長い意思を持っているといいますか、忍耐力の強い、あるいは長くなって、待つ事をいとわない人という風に私たちは呼んでいます。

他にも、こういったオルタナティブな経済モデルを推進するような方法が有ります。例えば英国にはですね、地域に株を売る事が許可されている協同組合の形態が1つ存在しています。

また、有名なクラウドファウンディングも注目すべき方法の1つです。私たちが○○もクラウドファウンディングと言えます。
このイベントでは全ての人が参加する事を大変重視しています。そして、全ての人が何らかの形の投資家であるという風にとらえているのです。

今ご説明したイベントや、その他のプロジェクトというのはですね、私たちのトットネスの地域に興味深い成果をもたらし、注目すべき変化をもたらす力と成りつつあります。

まずは、何より多くの地元に根差した企業が生まれています。そして地元でも雇用や生業も、少しずつですけれど増えてきています。

地域起業家フォーラム、そしてリエコノミーセンターというのが、新しい事業を立ち上げようとしている方々、その他の経済的な主体、アクターの方のための支援基盤を提供し始めています。

もっとエキサイティングな事はですね、人の繋がり、ネットワークが広がっている点だと思います。色んな起業家たちが互いに交流をして関係作りを広めているばかりではなく、投資家たちの間で広められたネットワークも、できつつあります。

その結果、地域で新しい起業家精神の文化が培われつつあります。

冒頭で自分がカリフォルニアのシリコンバレーの出身だということを申しました。そういう意味で私はトットネスに来た時はよそ者、外国人でした。でも、よそ者だからこそ、違った目で、その地域の状況を見る事ができたのだと思います。

トットネスに私は到着した当初はですね、色んな地域の人たちも、そういう新しい事業を起こす事に関して、あまり自信が持てない状況にありました。例えば人に話をしてみると「私はいつかパン屋さんを開きたいという夢を持っています。」と言います。じゃあ始めたらどうですかと私が勧めると「いやあ、私にはどうせ出来ないでしょう。」と、どうしても、ためらいがちな人が多かったです。

また、非常に悲観的な、ひねくれた見方をする人が大勢だったんですね。誰かが、「私がベーカリーを始めたいんですと言っても、あなたがそんな事できるわけないでしょ。前やった人も失敗してるから、二の舞を演じるだけですよ。」という風に否定的な言い方をする人が多かったのです。

でも、そういった雰囲気が、変わりつつありました。今は何かを始めたいと思っている人がですね、始めれば地域が応援してくれるという気持ちが持てるようになっています。

そして孤立感が解消され、地域の仲間であるという意識が生まれつつあります。そうしたなかで私どものリエコノミーセンターに対する問い合わせの電話が増えているんですね。例えば「私は全く新しい考えのカフェを始めたいんですけど誰か募集してくれる人はいませんか?」という風に問い合わせが来るようになっています。

最後に強調したい事は、こういう事は、どこでも実施可能だという事です。つまり、再現可能な1つのモデルが出来つつあるという事を言いたいですね。実は私たちがやっているようなものと似たような起業家フォーラムを来年の春にロンドンで実施する計画が進められています。その後、英国の各地6~7ヵ所でも似たような準備が進められていますし、ヨーロッパ○○の方でもそういう形の○○○○始まりつつあります。

より詳しくお知りになりたい方は是非こちらのWebサイトをご参照下さい。

残念ながら全部英語のみですけれど。

私からは以上です。ありがとうございました。

www.tinyurl.com/LEF2014