◯東京都では1/4=25%が中学受験、神奈川県では?
「二月の勝者」では東京都の小学6年生10万人のうち、1/4に当たる2万5千人が受験するとされています。
では、神奈川県ではどうなのでしょうか。
某中堅校に今年めでたく合格した私の教え子が言うには「クラスの1/3が私立中学に進学し、地元の公立中学2校にそれぞれ1/3ずつ進学する」との事でした。これは相当高い比率だし、特別に中学受験熱の高い地域なのではと思うのですが、神奈川県全体の傾向としては果たしてどうか。
ある程度定量的に把握するために、令和元年と平成30年の「神奈川県学校基本統計」を用いて推定してみました。
要は「平成30年の小学6年生の在籍数(公立)」と「令和元年の中学1年生の在籍数(公立/私立)」がどれだけ変わったかを見れば、令和元年の入試での中学受験を経ての進学者数が把握でき、おおよその様相が分かるのでは?と言う仮説です。
もちろん中学受験が必要なのは私立中学だけではありません。
公立中高一貫は5校ありますが、中学・高校の連携型の場合は公立中学として集計され、一体型の場合は中等教育学校として集計されます。(中等教育学校には私立のところもあります。)
また、国立では小学校からの一貫校(横浜国大系)の中入募集も少数ですがあります。
以上が中学受験を経て進学する先になるので、これらを足し上げて行けば神奈川県で中学受験を経てめでたく進学出来た生徒の数が分かる筈。
なのですが調べている途中でちょっとビックリ⁉️しました。
◯小6→中1で神奈川県の生徒数が減少!
(東京へ越境通学する生徒がかなり多い?)
※中等教育学校=公立:相模原、平塚 私立:自修館、桐蔭
※市立南、市立川崎、サイフロは連携型のため、中学校・高等学校に分類
※国立は小中とも横浜国大附属 (中学入試募集枠=60名)
まず最初に、小6と中1で生徒総数が約1800人減っているのが分かります。
一体どう言う理由でこうなっているのか。
実はこれ、詳しく見れば東京に近い川崎市で約1000人、横浜市でほぼ800人もの減少が生じているのです。
ここから仮説として「神奈川から東京の私立に進学する生徒が多いからではないか」と言う事が浮かんできます。御三家は元より、高輪、攻玉社、東洋英和など川崎・横浜から通学可能な学校は数えきれない程ありますよね。
(なお、「川崎・横浜以外の神奈川県」を調べたところ小6→中1でほぼ増減無しでした。これはかなり意外でした。もっと横浜に流れているものかと。鎌倉・藤沢に有力な私学が多いから?この辺りの地域はむしろ増加になっています。)
◯中学受験進学者の比率は12.3%
こうして見ると東京へ越境進学する生徒さん、結構多いです。
なので、この約1800名を足し上げて計算せねばならない。
なお、東京から洗足学園や法政2中などの川崎市の学校或いは聖光学院や慶應普通部などの横浜市の学校へ通う生徒もいると思いますから、正確には「神奈川→東京」と「東京→神奈川」の差が約1800人と言う数字になっていると考えるべきでしょう。
つまり、越境進学者はもっと多い。
とは言え、それぞれの実数把握はまず出来ないですし、仮に「神奈川→東京」が2000で「東京→神奈川」が200だとしても、2000名を足し上げると同時に神奈川の私立の方も域外からという事で200を引かねばならないので差し引きはゼロ、集計には影響しません。
なので単純に「神奈川→東京」が1800名とここでは考えます。
また、増減には他にも引越しや死亡者数など他の要因もあるとは思いますが、それらもここでは無視して考えます。
私立小学校から他所の中学校を受験して進学するケースも有るとは思いますが、把握は困難ですしこれも無視します。
以上の前提で中学受験進学者、つまり中学受験を経てその学校に進学したと数え得る人数を足し上げて行くと。。。
以上のように10000人弱と推定されます。
小学6年生の総数に対しての割合を計算すると9568÷77685=12.3%となります。
◯中学受験者比率=13-14%くらいか
これに加えて、中学受験はしたものの、志望校に合格しなかった、押さえで受けた学校への進学が納得出来なかった、などの理由で公立中学に進学した生徒も一定数いると思いますが推定は難しいです。
それらを加味しても、13-14%くらい?が神奈川県における中学受験者の比率ではないかと思います。
なお、中学受験進学者の比率を県ではなく地域単位で推定すると以下のようになります。
神奈川県全体 12.3%
川崎市 18.3%
横浜市 16.0%
川崎・横浜以外 6.8%
(※個人の推定です。)
先述のように「受験者」の比率はこれより若干高いでしょう。
川崎市はほぼ5人に1人と言って良いのでは?
まとめると、神奈川県全体としては東京程の中学受験熱は無いものの、東京に近い川崎市や横浜市では15-20%と言う結構高い比率で子供達が中学受験をしているのではないか、と言う事になります。
そして、市内でも区域間や学校間(更にはクラス間)でももちろんバラツキはありますから、冒頭の教え子の「クラスの1/3が私立中学に進学」と言うのは割とあり得る事だと思います。
それだけ中学受験は日常的なもの、そう言えるのではないでしょうか。
【余談1】
なお、私立の集中する湘南東部エリアでの中学受験進学者の比率は以下のようになります。
藤沢・鎌倉・逗子 10.9%
県内の他の地域よりは高めです。
この辺りは電車に乗っていると私立の制服を日常的に良く見かけるエリアです。
そうした影響もあるでしょうね。
神奈川県は地域により、中学受験の捉え方は千差万別です。
【余談2】
念のためですが、あくまで個人の推定です。
下手なフェルミ推定よりちょっとはマシってレベルですので、あんまり目くじら立てないで下さいね。