今までで最も笑ってしまった
「破綻論」は、藤巻健史らが主張していた、
「このままでは富裕層が
おカネを外国に持ち出し、
国債を買うカネが無くなって破綻する!」
でございました。
超絶的な、貨幣のプール論。
富裕層が「カネを持ち出す先」は、
大抵がシンガポール。
(なぜ、シンガポールなのかは
分かりませんが)
日本円は、シンガポールでは
使えないでしょうに(笑)
富裕層がカネを持ち出そうとしても、
単にシンガポール・ドルに両替されるだけで、
日本円は日本国内で「誰か」が保有し続けます。
両替したのがシンガポールの銀行ならば、
日本国内における「資産
(=日本の銀行もしくは日本銀行の負債)」
として保有し続けることになります。
そして、シンガポールの
(対日)対外資産として統計されます。
共通通貨加盟国でない限り、
貨幣は国境を越えません。
さらには、貨幣は返済がなされない限り
消えません。
日本国内の日本円(の金融資産)は、
そのほとんどを日本国民が保有しています。
が、外国も持っています
(日本の対外負債として統計されます)。
外国の経済主体が、
日本円を「自国に持ち出す」など
ということはできません。
というか、持ち出しても使えない。
動画で説明していますが、
貨幣の本質は「購買力の所有権」なのです。
財やサービスの売買(等)が行われると、
支払い手から受け取り手に貨幣という
「購買力の所有権」が移る。
もっとも、日本円という
「購買力の所有権」は、
あくまで日本国内限定で認められる
「権利」です。
つまりは、貨幣は
「貸借関係」であると同時に、
共同体に認められた購買力の
「所有の権利」でもあるわけです。
改めて、貨幣とは共同体的な
産物であることが分かります。
「権利」であるがゆえに、
当然ながら、共同体の敷居
(国境)を越えることはできない。
日本の企業がアメリカに
100万円の自動車を売ったとしましょう。
日本からしてみれば「輸出」で、
アメリカにとっては「輸入」です。
面倒なので、
1ドル=100円とします。
日本企業がアメリカで
受け取るのは1万ドル。
日本の経常収支(内、貿易収支)の黒字が
1万ドル増えます。
さて、日本企業は
1万「ドル」をどうするのか。
日本円に両替した場合、
両替してくれた日本の銀行が
「アメリカ内資産」として保有し続け、
統計的には金融収支
(内、その他投資)が1万ドル増えます。
(工場建設などに使われたならば
直接投資、株式購入などの場合は
証券投資として統計されます)
結局、アメリカ人が保有する
1万ドル分の「購買力の所有権」が、
日本企業に移るだけで、
「1万ドルが日本に移動する」ことはないのです。
というわけで、
経常収支=金融収支になります。
これは、GDP三面等価の原則同様に、
誰も逃れられない原則です。