昨年12月に政府は防衛費の
GDP比2%への増額を含む、

国防・防衛の方針転換を
閣議決定しました。

それに伴って、先週にも、
アメリカの巡航ミサイル

「トマホーク」の一括購入契約、
青森県と大分県への
大型の弾薬庫の新設を決定。

さらに、中国の気球問題受けた、
領空侵犯に対する自衛隊の
武器使用ルールの見直しなど、

防衛力の拡充のための
取り組みがこれまでにない
スピードで行われています。

これらが日本にとって
どんな意味を持っているのか。

そして、私たち国民の生活に
一体どんな変化をもたらすのか。

陸上自衛隊で西部方面隊の
トップを務められた

元陸将の福山隆先生に
お話をお聞きしました。

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From:元自衛隊陸将 福山隆

■安全保障政策の大転換

昨年12月、戦後 77 年ぶりに
日本の安全保障に大きな
見直しが行われました。

安全保障3 文書が
閣議決定をされたのです。

その目ぼしい内容は、

・反撃能力の保持

・防衛予算の増額
 (GDP費2%)

・相手国の軍事能力に
 備える防衛力整備

というもので、

これがどういう
変化かと言いますと、

今まで日本は、
相手がどれだけ
軍事力を増強しようとも、

それとはお構いなしで
自分たちの基準で防衛力を
抑えていましたが、

これからは相手に
釣り合うだけの力を持つと
いうことです。

これはウクライナの状況や、
ロシア・中国の動きなどを見て、

日本に大きな脅威が迫る
というものを国民が深く
認識・共有された結果、

今、こういう転換が
行われたと思っています。

これは、非常に良い変化で
あると思うのと同時に、

これからは、国民が
自分自身のこととして

安全保障を考える
時代になって行くのだと
感じています。


■なぜ自衛隊や米軍に任せていてはいけないの?

それは、我々が
国民国家であり、
民主主義国家であり、

即ち、1人1人が
当事者であるからです。

自衛隊というのは職業として
やっているわけですから、

当然矢面に立って
命を左右する場面に
出ていきます。

米軍も日米安保条約に基づいて、
軍として自衛隊と同じような
形で来てくれます。

けれども、我々自身が
これを傍観して他人ごと、
人任せにしていると、
国家防衛は決して成り立ちません。

国を愛し、困難に負けないぞ
という心持ち一つが
全てのオペレーション、

あるいは、
今回の安保3文書のように、
国の最終的な決断に繋がります。

そして、戦争をすることが
いいのか、悪いのかという事は

皆さんの頭脳で考えられる
心理哲学に応じて構成されるものです。

選択をするのは、皆さん自身です。

皆さん一人一人、
役割は違っているでしょう。

しかし、だからこそ、その中で、
国防というものは全ての国民が

当事者として考え、
行動する以外ないです。


■当事者として考えるには?

まずは、今、世界で
起こっていることと、
あなた自身とのつながりを
探ることです。

日々の事象としては、
北朝鮮がミサイルを撃ってくる、
中国が尖閣列島に迫ってくる、

あるいはアメリカが
何処そこで様々な
演習をしたというのが、

いろんな形で皆様の
耳目に触れると思います。

その内容を政府の発表や、
メディアの言っていることを
鵜呑みにせずに、

あなたご自身にとって
どんな意味を持つのか
しっかりと考えることです。

初めは、身近なことと
考えるのは難しいかも
しれませんが、

それぞれの事象が
5年後、10年後、さらに先の日本に
どのような影響をもたらすのか。

そして、それ即ち
5年後、10年後、さらに先の
“あなた自身の人生”に
どのような影響をもたらすのか。

あなた自身の人生の問題に
落とし込んで考えてみては
どうでしょうか。

その時に、決して
おかしな虚構論や
耳障りの良い平和論に
惑わされてはいけません。

大地に足をつけて、
我々は日本をどうやって守るのか、
自分たちをどう守るのか

あなた自身の人生の一部として
考えていただくのが、
一番大事だと思います。