こんにちは
輪郭・骨切りを専門としているリノクリニック東銀座院長の宮崎です。
輪郭のみならず、目、鼻、若返りの施術も承っております。
さて今回は、受け口やゴボ口ではない、アングルの分類でクラス2と呼ばれる顎位の患者様をご紹介します。「クラス2」や「2級」と呼ばれる噛み合わせは、上顎骨に比べて下顎骨が後方に下がっている状態で噛んでいることを指します。これは臼歯関係で見ているので、前歯に関してはディープバイトと呼ばれる過蓋咬合だったり、上顎骨の前歯が前方に突出して出っ歯感が強い状態の患者様が多いです。この患者様は以前歯列矯正を行っていたので前歯の歯列は綺麗でしたが、軽度のディープバイトと正中のずれがありました。
下顎が後方に下がっていることでオトガイの位置も後ろであったため、顎が小さかったり後ろに下がっていてEラインが整っていない状態でした。ただ、過去に顎先にプロテーゼを挿入していたので、元々のオトガイよりは前方に位置していました。
オトガイのプロテーゼ
オトガイのプロテーゼは、挿入の施術自体は比較的簡単に受けられる施術です。静脈麻酔でも挿入は可能な施術になります。しっかり骨膜下に挿入しないとずれるリスクがありますが、骨吸収が起きてプロテーゼが骨に埋まっていくことがあります。骨膜上に挿入すると骨吸収は若干抑えられますが、ずれるリスクがあります。骨膜下に挿入してもずれるリスクがあります。オトガイのプロテーゼを入れたくなる輪郭は、基本的にはオトガイがやや後方なため、前方に出したいわけです。出すと皮膚のテンションが上がるため、プロテーゼが骨にかける圧が高まることでズレたり、骨吸収などが起こります。
施術について
今回はプロテーゼを抜去しつつ、下顎を前方移動させるため、上下顎骨を一塊として半時計回転（右から顔を見て）に移動し、下顎を延長して前方移動しています。行った施術は顎矯正手術（以下、両顎手術）です。
咬合プランについて
この患者様はディープバイトでかつ、過去の矯正では4番抜歯での矯正だったため、下顎前歯の歯軸が舌側傾斜がやや強い状態でした。手術の際の咬合プランは、上顎骨に比べて下顎骨を前方に移動させた位置での咬合位でした。術後矯正では、下顎の舌側傾斜した前歯の歯軸を戻しながら咬合を作成してくプランでした。
↓では、症例写真をご紹介します。↓
横顔
クラス2の横顔は下顎骨が後方に位置しているので、顎が下がって小さく見える輪郭になっています。クラス2の特徴として、下顎が後方ですが、上顎がやや前方に方もいます。今回ご紹介した患者様は上顎骨の前後位置はさほど問題はなく、下顎が下がっている状態でした。プロテーゼによりオトガイは形成されていましたが、プロテーゼがなければ顎先が後ろに下がり小さい印象が強くなります。
正面
クラス2の場合、正面からの変化には個人差があります。下顎の後退が強い場合は、前方への延長が強くなるためVラインの変化も大きくなります。今回は顎プロテーゼが術前に入っていたことと、下顎の延長はさほど大きくないため、変化は少なめです。
クラス2の場合、下顎が前方に延長されるケースが多いのですが、その場合Vラインが前方に移動するので、Vラインがシャープになります。元々クラス2は顎先が後退した位置にあるので、Vラインが小さい、顎が丸いなど輪郭全体は小さくなるので、シャープさはあまりないのですが小顔感があります。術後下顎が前方移動してオトガイ形成でも前方移動などしてEラインを整えると、術前よりオトガイ先端の位置が前方にくるため口角から顎先が伸び、顎が長くなったような印象になります。バランスとしては整うのですが、この変化に馴染めない方もいます。
これはEラインが整う方を取るか、顎が後退しているけど丸い小顔がいいかの選択になります。もちろん咬合も改善するので、その点も交えて治療を検討する必要があります。
咬合の変化
元々軽いディープバイトがあり、過去の矯正で4番抜歯で行っていたため、歯軸の舌側傾斜と正中のズレがありました。今回はクラス2の改善と歯軸の調整、正中を合わせるという咬合プランでしたので、その設定に合わせた骨切りプランとなっていました。
クラス2の方が全て下顎が延長されるわけではないのですが、延長となる場合は皮膚のテンションにより後ろに若干戻されやすくなります。これは骨癒合でのずれだけではなく、顎関節も前後に動くゆるい関節なため、予定の位置より下がりやすい特徴があります。それを見越した移動プラン、咬合プランであったり、術後にゴム牽引で顎位のサポートが必要な場合もあります。
まとめ
今回はクラス2の患者様をご紹介しました。クラス3の受け口、逆被蓋や上下顎前突などのわかりやすい変化がある患者様に比べると、変化が少なかったり、術後の輪郭の変化に注意が必要なことがあります。術前カウンセリングで症例をお見せしたり、予測しうる変化についてお話ししておりますので、それらを聞いていただきしっかり検討の上、治療をご検討いただけると良いかと思います。
リノクリニック東銀座
院長 宮崎邦夫
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