母が顔や手を拭くタオルは、できるだけ母が気持ちいいような温度に保って使用してもらいたいと工夫していました。

工夫といっても簡単です。

温水器の温度を最高の六十度にします。そして、ゴム手袋を使用して絞るのです。

ゴム手袋をしても外せば私の手は真っ赤になります。絞ると母にすぐに持って行きます。

母は、しんどくなってからは、ちょっとしたことでも喜ぶようになりました。まるで生きていることを実感するようでした。当然かもしれません。体が好きに動くわけでもなく、死の恐怖もあります。

今まで当たり前のように感じていたことが母にとっては生活の変化であり、気持ちいいということが生きている!と実感させるのかもしれません。簡単なことですが、これは実行しがいがありました。電子レンジで出来ましたが、私は母が要求すればすぐに持って行きたかったのでこの方法でした。   

服部 洋一, 黒田 輝政
米国ホスピスのすべて―訪問ケアの新しいアプローチ