まもなくニ月も中旬に差し掛かって、そろそろ今年の作付けを思い、そわそわする人も出てくる頃でしょうか。

 よって、今回投稿は、ボンディの交友関係にも大勢いらっしゃる、家庭菜園を趣味とする方達へのアドバイスです。

 その勘所を七つに分けて解説します。

1.「種」を知る

 野菜の品目と品種は膨大ですし、又、コマツナにはコマツナに、トマトにはトマトに適した生育環境というものがあります。 それぞれが育ち易い環境とはどんなものか事前に調べることが肝要です。

 それを踏まえ、栽植様式、播種時期、彼らの水、肥料の要求度に応じた提供、生育過程それぞれにおける人為的サポートを行って下さい。

2.「水」を知る

 植物の生長に先ず第一に欠かせないのが水です。 特に、生育初期においては、水は主要なファクターなので、播種後の灌水、或いは、降雨前の播種を基本とします。

 その後の管理においても、自分の畑の土の特性をよく理解し、水のやり過ぎ、やらな過ぎを避けて下さい。

 因みに、ボンディファームでは、長年作土の保水性、排水性の向上に努めてきたので、「灌水」という作業をすることは、一年を通して、ほぼありません。

3.「肥」を知る

 肥料のやり過ぎ、やらな過ぎ、どちらかと言うと、やり過ぎの方が殊更問題が大きいので、注意が必要です。

 ヒトの体と同じように、植物も、自身のエネルギー代謝の結果生まれた老廃物を体外に排泄します。 野菜も、うんちも おしっこも げっぷも するのです。 知ってましたか?

 肥料過多で植物の発するげっぷに虫が集まってきます。 特に窒素過多は最悪です。なんとか虫害を受けずに育ったとしても、その野菜の味は、肥料臭く、えぐみ強く、又、土は汚れ、地下水にまで影響は及びます。 野菜も「腹八分目」と心得て、抑え気味抑え気味に肥効を試すのがよろしいでしょう。

 ボンディファームでは、普段は緑肥のみで、土のパワーが衰えているなぁと思う時のみ肥料を施しますが、その肥料は、完熟醗酵の鶏ふんです。 成分バランスが良く、緩効性で、買っても安価な資材なので、家庭菜園愛好家の全ての方にお勧めいたします。

4.「人為」を知る

 畑の中での、生態系を彩るいきもの達との付き合いにおいては、マニュアルを通して基礎知識を仕入れ、最短でも数年間の「失敗」経験を蓄積して、あなたの経験知を高める他ありません。

 草取りしないとどうなるか、土寄せしないとどうなるか、芽かきをしないとどうなるか、誘引しないとどうなるか、密植するとどうなるか、、、

 栽培の失敗は、野菜の命に直結する問題ではありますが、早死にした、その命も又、必ず他のいきものの命に貢献しているものです。

 恐れずに試すこと。成功よりも失敗から多くのものを学べることを喜べば良いと思います。

5.「時」を知る

 「種を知る」からの派生です。

 それぞれの種には、発芽、開花、結実などの、それぞれの生育ステージでの、相応しい環境条件があります。そのために、土地土地では、○の花が咲いたら○○の播き時、などといった栽培暦があって、それらは文章化されていないことも多いので、専ら関東メインで書き込まれているマニュアルの暦に全面的に依拠すること無く、畑周りの近所のお年寄りから色々教えてもらうのが早道です。 恥ずかしがらずに、農の大先輩たる、おじいちゃん、おばあちゃんに話しかけましょう。

6.「場」を知る

 こちらも、5.に同様。

 種それぞれの生育環境特性をよく知り、「適地適作」を心掛けること。 基本的に植物は、種の拡散をメインテーマにしているいきものですから、同じ場所での栽培を繰り返すよりかは、過去数年その種を栽培したことが無い「処女地」を求める傾向があります。

 家庭菜園の狭い畑の中ででも、ローテーション計画を練り、品目の更新を図っていくこと。

 矛盾しますが、ボンディファームでは、土のポテンシャルを高めることで「忌地(いやち)」化を防ぐノウハウも有しているので、例えば、春のじゃがいも、夏の大根といった二毛作を、何十年も繰り返すようなことも行っています。

 何と何を組み合わせるかも、農の醍醐味です。やはりここでもマニュアルに従うのみならず、あなたらしい大胆なアレンジに挑戦して下さい。

7.「己」を知る

 ボンディは、人の畑を見ると、その瞬間に、その作り手の価値観と性格が分かります。

 欲たかりな人、管理主義的な人、雑駁(ざっぱく)な人、美的センスに欠けている人、、

 畑のいきもの達を愛している人、中庸の美を心掛けている人、、

 野菜作りを通して、その収穫が適ったの適わなかったのなどの些末なことにばかり囚われず、狭いながらも、その畑も立派な生態系であり、あなたも、その生態系の一部として受け入れられるか、お邪魔な闖入者と見做されるか、強欲な破壊者と認定されるかは、あなたの自然観、世界観に掛かっているのです。

 あなたの播いた種の育ちの背景には、自然のリズムに則った美しいシステムが存在していることを見、あなたの心の「センス·オブ·ワンダー」が拓かれ、生きとし生ける者たちへの敬虔な祈りに似た気持ちが育まれることを切に期待します。

 
 3年前からのコロナ禍で、日本でも、自身の暮らしを見つめ直した結果、農と食の世界にこれまでより関心を深める人達がますます増えてくることでしょう。

 ボンディは、あなた方が、投資の結果をすぐに追い求めず、焦らずじっくりと畑のいきもの達と、その息遣いを共有し、少しずつ、農と食においての豊かな知を蓄積されますことを願っております。

 農と食の世界は、ボンディ達プロの者達で閉じられたものではありません。 家庭菜園愛好家としてのあなたの取り組みも、立派な、農と食の世界を深める、大事な礎の一つ。

 ですから、ボンディはあなた方を心から応援しておりますよ。

 どうぞお励みになって下さい。(一部修正の上、repost)