村上春樹の小説は、現実に近い描写 と 空想的な描写 が混ぜこぜになっているものが多い。


 物語の連続性を維持する為に、現実に近い描写の粒度を故意に粗くしていると考えられる。例えば、ねじまき鳥クロニクルでは、主人公が失業しているのに、ハローワークの記述がない。(ハローワークで申請しないと、失業保険は給付されない@日本) 主人公が路地を歩いているのに、小鳥のさえずりや、カラスの鳴き声も聞こえていない描写もある。


 現実に近い描写の記述粒度を粗くすることによって、日本固有の事象が出て来ないから、海外の読者の獲得の面でもプラスになっているのだろう。