東急といえばステンレスカーというイメージですが、最近、ステンレスカー以前の車輛を特集した雑誌が相次いで刊行されていますので、今回はまとめてご紹介しましょう。
まずは『鉄道ピクトリアル』5月号、特集は「東急電鉄 旧3000系」です。
東急の旧3000系といえば、鋼製の吊掛車の総称ですから、その姿は多岐にわたっています。そして、ある程度のまとまった輛数が平成初期まで生き残りましたので、特に関東の電車ファン諸氏には印象深い電車ではないかと思います。小生も池上線や目蒲線に通い、デハ3450形を中心に、その最後の姿を記録したことを思い出します。
荻原俊夫氏の「全盛期の東急旧3000系の記録」、金子智治氏の「晩年の東急旧3000系列と他社への譲渡車」、それにグラフ頁の「東急電鉄 旧3000系形式集」を通読すれば、これら吊掛車の全体像が掴めると思います。また、乗務員OBの方の回顧談、往年の東横線での活躍、大井町線における5輛編成の記録、引退直前の様子など、興味深い記事が満載です。
私鉄の旧型電車がお好きな方でしたら楽しめること請け合いの1冊ですが、模型ファン、特に今年夏に発売予定の「鉄コレ」(東急スペシャル)を購入予定の方も必携かと思います。地味な通勤車ではありますが、やはり「東急3000は面白い」と改めて思った次第です。
続いては、『レイル』137号、こちらは「青ガエル」こと東急旧5000系を特集しています。
これは、デハ5015号が、東急時代の姿に復原され総合車両製作所に保存されたのを機に、この名車について改めて振り返ってみようということで特集が組まれたものと思われます。
まずはカラー頁で復原成った姿を紹介した後、総合車両製作所の鈴木久郎氏による「復原事業の経緯と工事の全容」、記録写真集等で復原工事について詳しく紹介しています。
次いで三浦衛氏が「超軽量車体を有する私鉄高性能車の嚆矢 東京急行電鉄5000系」という通史を執筆されています。東急時代の活躍はもちろん、地方私鉄譲渡後についても余すところなく触れられています。何しろ総勢105輛中67輛が地方私鉄で第二の人生を歩んだというのですから、譲渡後の変遷も重要になってきます。
こちらの特集も、東急ファンはもちろんですが、私鉄電車ファンの皆様には広くお薦めいたいます。何といってもあの「青ガエル」ですから、私鉄車輛史を語る上で避けては通れません。本書を眺めてその先進性、ユニークな車体デザインを再認識していただきたいものです。
東急電車は、「ステンレスカー以前」にまで遡ってこそその魅力がわかります。


