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内容紹介
怖いよ。怪物がくる!
日本を縦断し、死体を切り取る戦慄の殺人事件発生。
ネット上の噂を追う大学一年生・孝太郎と、
退職した刑事・都築の前に、“それ"が姿を現した!
ミステリーを超え、ファンタジーを超えた、
宮部みゆきの新世界、開幕。大ベストセラー『英雄の書』に続く待望の新刊!
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
毎日モンストのことばっかなんで
たまには本のこと。
ネタばれあるんで気になる方と本に興味ないかたはスルー推奨です。
(*゚艸゚*)
宮部さんの作については
・ミステリーと時代物・・・スキ
・ファンタジー・・・ビミョー
だったんですが、この作は
ファンタジーに絶妙にミステリーちっくな風味も+していてなかなかいい感じでした。
あとはやっぱ
ちゃんとテーマがあって
そこに向かっていくとこが見えるとこに安心感がありますね。
この作の肝のひとつは
上巻の中盤で早々にでてきます。
主人公のあこがれる職場の上司のセリフ
上司の友人の話で
「ネット人格は現実の自分とは違う。きちんと切り離しているから、ネット上ではどんなキツいこと、えげつないこと、現実の世界では口にできないようなことを書き込んだって大丈夫よって、彼女は笑ってる。」
~中略~
「でも、わたしはそれ、間違いだと思うの。」
~中略~
「書き込んだ言葉は、どんな些細な片言隻句でさえ、発信されると同時に、その人の内部にも残る。」
~中略~
「積もり、積もった言葉の重みは、いつかその発信者自身を変えてゆく。」
~中略~
「誰も、自分自身から逃げることはできないのよ。」
<上記本文抜粋>
この内容としては
実際のところ
この友人自身がネットで発信した言葉は、普段は発しないいやらしいものとして認識している本人をどんどん蝕んでいくという意味かなと。
それを読んだとき、
もともと
「言われるだけのことをしたから当然だ」
と思って言葉を行使するヒトにとってはどうなんだろうと思いましたね。
その場合、言葉は「日常」のものとして終ってしまう。
ただ、この作品のなかで、本人自身に非はないと常に自分を許す人間たちに罰が下っていく。
そして罰を与えることを当然と思う人間にも変化が現れる。
色々考えさせられますね。
言葉には本人が出る
そして、それを行使して悪意を発する人には
自分自身にその穢れが残っていく。
罪のない悪態
そんなもんは泡のように消えていいけど
そうでない場合
よく考えて発したことなら特に
「悪意をなそうとした自分」をずっと蓄積して持ち続けることになるんだなと。
ココロのなかでなにを思おうと
ヒトなので当たり前ですし、
そういう感情は現われては消えていくものなのでいいですが
「言葉」に発するときはやっぱり考えないとなと
そう思いました。
それはたぶん自分自身への戒めかな。
宮部さんは作家さんなので
「言葉」を特に大切に考えているんだろうなとそう思いました。
昨日寝る前一気読みして終りました。
おすすめです。