忘年会の二次会も終わり
たけしくんの家へ。

正直行きたくなかった。

できればぐっさんの車の中にいたかった。

でも
ぐっさんもいるし眠たそうだったからとりあえず家に入った。


結婚式以来の訪問。


さっそく
嫌な物が目に飛び込んできた。


また二十歳の子の物。



これがここに来たくなかった理由。

こういうのを見てしまうのが嫌でたけしくんの家に入りたくなかった。


わかっていたんだ。
嫌な思いをすること。

平気なふりはもうできないところまできていた。


それもわかってた。



ため息しかでなかった。


もう全てが嫌だった。


今日は極力たけしくんと話さないようにもしていたし、
目も合わさないようにしていた。

話をしてあいつが発する言葉の中に二十歳の子を連想してしまうような言葉を聞かないため、
目を合わせてまた気持ちがグラグラしてしまわないため、

そうしてたのに。


もう全て無意味。


ムカつく気持ち通り越してすごく悲しかった。
すごく辛かった。
すごく泣きたかった。

いや
もう泣いていた様な気がする。


早朝のたけしくんの部屋はとても静かでその静けさが二日酔いの頭痛の痛みをより一層強く感じさせた。


頭が痛い。


右を見ても左を見ても頭が痛む。


気がおかしくなりそうだった。


ウチは何かにとり憑かれたかのようにコートを着て
カバンを持ってたけしくんの家から逃げるように出て行った。


たけしくんに最後の手紙を残して。



恵み野駅までの道のり誰も人がいなかった。

世界でウチしかいないんじゃないのかなと思うくらいさびしい道のりだった。


歩くたび地面の氷がパリンパリン割れる音だけが響く。


ウチの気持ちもパリンパリン割れていた。


何度も通い慣れたこの道も見慣れた景色ももう見れないのかもしれないと思うと泣けてきた。


ウチはたけしくんだけじゃなく恵み野も大好きなんだ。


6年前はどんな気持ちでこの道を歩いていたのだろう。


すくなくとも
こんなに悲しい気持ちでこの駅までの道を歩いた事は過去1度もないだろう。


からっぽになった感じ。



気付けばひとりで恵み野駅にたたずんでた。


電車がきた。


窓に背をむけて座った。


恵み野の景色を見たら辛くなるから札幌につくまで目をつぶって外を一切見なかった。



ぐっさんごめん。
とてもウチは耐えられなかった。



ウチは弱い人間だ。

それでもいい。
今は一刻も早く離れたかった。




もう
ほんとに最後のJR。


ウチとたけしくんを結んでたこのJR。



そう思うとこんな朝でも平気で泣けてしまう程悲しい。