『ナラタージュ』 島本理生著(赤
代え難い人に出逢ってしまった。
雨の中、太陽の真下、新緑の森の奥深く。
あの日、あの人を見つけた。
思い出だけで、生きていける。
きっと二度と、会うことはないのだろうけど。
今夜のコトの葉in LIFEは
島本理生さんの『ナラタージュ』 より。
きっとそれ、
子供だったから愛とは違うとかじゃなくて
子供だったから、愛してるってことに気付かなかったんだよ
ページをめくればトビラの部分にまるで映画の字幕のように、
このことばが書かれている。
タイトル『ナラタージュ』とは、映画などで、回想の形で過去の出来事を
物語ること、だという。
誰でも一度は経験があるかもしれない。
切なく、苦しく魂が焦がれるような恋。
そしてその余韻でこの先も生きていける、と言い切れるくらいの恋。
主人公、泉のようにまっすぐストイックに向かう少女に、
読み手は自分の青春時代をどこかで重ねるかもしれない。
幼いほどに、不器用で
幼いほどに、真剣な
それでも身動きがとれないくらい激しく誰かを愛した。
過去に封をして、新たな人と幾度出会っても
心の中の熱くて痛くて心地いい感触は消えない。
思い出を食べて、女は生きていける。
そして、ひとりほくそ笑む。
そういう生き物。
red
