優しい手紙 (赤
「今外の雨音を聞きながらこの手紙を書いています」
から始まる手紙。
そして外は、どしゃぶりの雨。
あらいやだ。
感傷的な気分じゃないのよ。
別れた後の、静かな手紙。
文字間から伝え漏れてくる温かさ、後悔の念。
思わず、
何度も、
何度でも、
繰り返し繰り返し読み返した。
消印は、平成10年。
「女は角を曲がる生き物だ。一つの恋が終わったら、角を曲がるんだよ。
曲がってしまったら、それまで歩いてきた道はもう見えない。
男は直線しか進むことはできないんだよ」
とレッドの知人男性は言った。
だけど、
本当に大切な人を女は忘れることができない。
そうして戻りたくても、
もう来た道が分からなくて迷ってしまうだけ。
分からなくて立ち往生して、泣いてしまうだけ。
手紙の中には、ずいぶんと優しい自分がいた。
そしてそんな風に自分を見ていてくれた人がいたのだと
改めて知ったらやっぱりちょっと泣けてきて、
それもみんな雨のせいにしたりして。
母性を捨てて、父性をまとう。
どこかでそんな風に生きている今を思うと
哀しいなぁ。
せめてもう少しあの頃のように人を思いやるようになりたいや。
なんて思っている間に雨音の止んだ午前2時。
手紙の中の自分との再会。
偶然なのか、必然なのか。
あまり頭がいいほうではないので、
いつか分かる時を待ちます。
red