『僕のなかの壊れていない部分』白石一文著 (赤
時計の針が時を刻む。
まぶたを閉じればシトシトシトと雨の気配。
暗闇に自ずと意識は感覚的に、鋭く、集中する。
こんな夜はどこへ行こう。
意識の海を、飛んで行こう。
今夜のコトノ葉 In LIFEは、白石一文さんの『僕のなかの壊れていない部分』
大丈夫。やれる。きっと。お母さん、あなたのように、私も。同じようにやれる。
ことばの、テンポが良いんですよね。
句読点の打ち方が、独特のリズムでスッと自分の胸の中に入ってくる。
主人公の男は出版社に勤務しているのだけど、
彼が読んだ原稿の中に出てくるセリフです。
大丈夫。やれる。
何をって?
これは、脳溢血で倒れた母の最期の瞬間を見届けた娘の独白。
生きるということは死に向かっているということです。
何故こんな暗い真面目なセリフが印象的だったのかというと、
私自身が同じ場面を知っているからなんですね。
重なったのは否めない。
「老いることも、死ぬことも生半可ではない。どれほど困難なことなのか。
家族がいようといまいと、かたわらに誰がいようといまいと、結局は孤独な一人の戦いで、
誰もがそれを自力で乗り切らねばならない。」
最後まで真剣に引用して終わります。
ほんと、そうなのよ。人が死ぬ時にしか教えられないこともあるんだから。
red