『僕のなかの壊れていない部分』白石一文著 (赤 | bombernet☆

『僕のなかの壊れていない部分』白石一文著 (赤

時計の針が時を刻む。

まぶたを閉じればシトシトシトと雨の気配。

暗闇に自ずと意識は感覚的に、鋭く、集中する。


こんな夜はどこへ行こう。

意識の海を、飛んで行こう。

今夜のコトノ葉 In LIFEは、白石一文さんの『僕のなかの壊れていない部分』



大丈夫。やれる。きっと。お母さん、あなたのように、私も。同じようにやれる。




僕のなかの壊れていない部分


ことばの、テンポが良いんですよね。

句読点の打ち方が、独特のリズムでスッと自分の胸の中に入ってくる。


主人公の男は出版社に勤務しているのだけど、

彼が読んだ原稿の中に出てくるセリフです。


大丈夫。やれる。


何をって?

これは、脳溢血で倒れた母の最期の瞬間を見届けた娘の独白。

生きるということは死に向かっているということです。

何故こんな暗い真面目なセリフが印象的だったのかというと、

私自身が同じ場面を知っているからなんですね。

重なったのは否めない。


「老いることも、死ぬことも生半可ではない。どれほど困難なことなのか。

家族がいようといまいと、かたわらに誰がいようといまいと、結局は孤独な一人の戦いで、

誰もがそれを自力で乗り切らねばならない。」


最後まで真剣に引用して終わります。

ほんと、そうなのよ。人が死ぬ時にしか教えられないこともあるんだから。



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