Terminology (用語)
文書内の用語は不統一になっていないか (Inconsistency)
同じ物を指す言葉は統一する必要があります。特に専門用語は不一致にならないように注意します。昔、学校のビジネス英語の授業では、英語は繰り返しを嫌うと習ったことがあります。つまり、用語の繰り返しを避け、別の言葉で同じことを言いかえるのが良いということでした。ですが、IT翻訳の現場ではこれとは正反対のことが重要視されています。
同じものを指す場合は、同じ用語 (特に名詞) を使い、文書内で統一する必要があります。これは、読者 (ユーザー) を混乱させないための配慮と思われます。
裏を返せば、原文で別の単語が使われていたとしても、それらが実は同じものを指していることがあります。このような場合、同じ言葉で訳す必要があります。
用語集に違反していないか (Glossary)
訳文の用語は、クライアントから支給された用語集に合わせます。ただ、用語集内でも用語の不統一があったり、変だなと思う用語もあります。このような場合はクエリで報告します。
クライアントの用語集の作成をお手伝いしたこともありますが、業界で使われている用語に熟知していない翻訳者のためにも、チェックする側のためにも必要不可欠なものと言えるでしょう。実際、用語集のない案件では、用語を調べるだけで大変です。
翻訳してはいけない用語を訳していないか (Translatability)
IT翻訳では、「訳さない」用語があります。このような用語は、英語のままにしておく必要があります。たとえば、サードパーティの製品や、人名などがあります。また、UI (ユーザー インターフェース) がローカライズされないケース (つまり、英語のUIを使用) もあります。このような場合は、クライアント提供のスタイルガイドや指示書などに、指示が記載されていることがよくあります。
翻訳開始前には、このような指示を見落とさないように頭に入れておく必要があります。重要なことは、クライアントの指示がある場合は、その指示を絶対に守ることです。たとえわからなくても、自己判断はいけません。判断がつかない場合は、クエリで報告します。