密告 アリクイ 彼はそう呼ばれていた。生きていることに 自分自身が無関心なことに まだ気づいてはいなかった。彼の興味あるものといえば エヴァンゲリオンだ。言い換えると 彼にとっての現実は エヴァンゲリオンだ。 ためしに かれに何か尋ねても 「そうですね」と無機質に答えるだろう。なぜこんな人間になってしまったのだろうか?追々と彼の・・・アリクイに関する話をかたってみようか! 第一話 「ヤッケ、襲来」 アリクイは ラジオ体操を 野獣の目をした男たちの前で 踊った後 その日の 作業の安全標語を大声で唱えた その時 新入社員である自分の自己紹介をしていなかったことに気づき 「申し遅れました わたくしアリゾナアリクイと申します 初めての作業が多いので先輩方 よろしくご指導おねがいします」と言い深々と頭を下げた。 パチパチ・・・ パチパチパチパチ・・・パチパチパチパチパチパチパチ!!!!!なぜか拍手が巻き起こった そして先ほどまで目を血走らせた男たちが いいぞ!新人!! 明日から毎日お前が 前に立て!! など笑いながら声をかけてきた。 そのあと アリクイの所属する班のミーティングでも 口々に冷やかしともお褒めともいえぬ言葉が飛び交った。 ワンダーリーダーが 「今日からアリクイも点検を誰かに付いてまわってみるか」と目を見つめながら問いかけるようにいった。 アリクイは 「あっはい」ととりあえず答えた。 心の中では よし!とガッツポーズをとったが自分のやる気を他人に知られるのは照れくさかった。ワンダーリーダーは「能無し野郎 アリクイを一緒に連れて行ってくれ」といい年をしてキャンディをなめている男にいった。 能無し野郎と呼ばれたその男は ワンダーリーダーの依頼に 「あ~い」と薄ら笑いを浮かべながら答え アリクイに KLO KLUの1のヘッドに来るように言って 姿を消した。アリクイは しめしめ そこ知ってる 分かる分かる!と カブをとばして言われたとこに到着した。 歩廊の階段を昇り付くと 能無し野郎さんは 今から何をする アリクイさんよ? と問いかけてきた。 アリクイはうすうすここは一日一回掻き取り装置の水洗をする場所だということをしっていた。 アリクイはためらうこともなく 水洗用のホースをとってバルブを開こうとした。 「能無し野郎!」 突然アリクイは怒鳴られ雷に打たれたように体を硬直させた。 何か失敗したのだろうか? やらかしてしまったのか?振り返ると 能無し野郎さんは ヤッケの懐のポケットの手を入れていた。 まさか ハジキでうたれるんじゃ!能無し野郎さんは ポケットからタバコを出し まずKYだろうが!! と言った。