病院出来高払いから定額制 最善の医療受けられる? | BOLAO NANA`s Style

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 DPCという言葉をご存知だろうか? DPCというのはDiagnosis Procedure Combinationの頭文字であり、入院費の包括払いのことである。これは従来から行われている「出来高払い」(治療や検査、投薬を行えば行うほど医療費は高額になる)とは異なり、1日当たりの医療費を病気の種類で、どんな治療を行っても一定額とする仕組みだ。

 このDPCは平成15年より大学病院や大病院などで導入されており、導入している病院は年々増えている。DPCを導入する背景として厚生労働省は、病院は無駄な検査や投薬を行わなくなり、効率的な医療を促進、そして増え続ける医療費の抑制につながると説明している。

 DPCは入院してからの日数が経てば経つほど1日あたりの点数が段階的に低く算定される。3週間ほど入院されると、病院は赤字になることさえあるという。病院としては、長く入院してもらっては困るのである。

 実際、今年の3月の毎日新聞の記事には2003年度からDPCを試行している82病院では、2006年の平均入院日数が2002年の20.37日から16.83日に減ったと出ている。これを厚生労働省は、入院医療の効率が進んでいると評価しているようだが、本当にそうなのか?

 実はこの記事には続きがあり、入院日数の短縮の影には「治癒」した患者の割合は12.51%から4.84%に落ち込んだというとんでもない事実がある。そして更には同じ病気で6週間以内に再入院した人の割合は、2003年度にDPCを始めた病院の場合、2002年の2.54%から4.63%へ大幅に増加しているという。

 日本医師会でも「長く入院させていても収益があがらず、十分な治療をせずに退院させている可能性がある」と指摘している。

 またDPCの別の問題を挙げてみると、医師は近年開発された高額な薬剤を使用しづらいという点がある。DPCは包括払いなので、安価な薬剤を使用しても、高価な薬剤を使用しても病院に入ってくるお金は同額である。入ってくるお金が変わらないならば、安い薬剤を使用し退院できる程度に治療することが、病院の経営的には有利となる。

 また高い薬剤を使用すれば病院が赤字になってしまう可能性があり、患者は最新の治療が受けられない可能性も。この問題点に関しては8月より一部だが改められ、高額な薬剤を使用した場合は包括払いでなく、出来高払いにするとなった。しかしこの薬剤に関しては薬剤名が指定されている。

 患者が払う医療費は減少したが最善の治療が受けられていない可能性がある。最善の治療を低額で受けられるような医療体制を作り上げるにはまだまだ改善すべき点が多そうだ。