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角川グループパブリッシング
発売日:2008-11-22
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ランキング:106
文庫版は通勤途中の読書におすすめ! 「死」の意味 『ジーン・ワルツ』の誕生と『螺鈿迷宮』の死 |
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| Amazy | |||
予定通りに読み終わりました。
「螺鈿迷宮」は辛口のコメントなどもチラホラ目にしていたのでどんなもんだろうとわずかな不安を抱えながらの読書でしたが、そんなことは気にする必要はありませんでした。やはり海堂作品は面白いですね。手放しでそう言えます。
時系列的に言えば、「ジェネラルルージュの凱旋」の後の話となってますね。でも、刊行のタイミングは「ナイチンゲールの沈黙」の直後だそうです。氷姫こと白鳥の唯一の部下、姫宮はここで初登場を果たしました。「ミス・ドミノ」「ターミネーター」の名に恥じぬ活躍ぶりです。
田口・白鳥シリーズではないので、主人公は天馬大吉というおめでたい名前の東城大医学部の落ちこぼれ医学生。ちなみに彼は時風新聞社の記者、別宮葉子の幼馴染という設定。この別宮の依頼によって碧翠院桜宮病院にボランティアとして潜入取材することになります。そこで見た、終末期医療の新たなシステム、そして、不審な死の連続。物語の核心は終末期医療と桜宮一族の特殊性にあります。
もちろん、白鳥はけっこう活躍します。田口はちょこっと出てきます。
海堂尊の巧いところは主人公のチョイスでしょうね。わざわざ、田口や天馬みたいなエキスパートでない人間の主観を軸にして、その周りを白鳥をはじめとするエキスパートで囲む。用語や概念、成り立ち、現状のなかなか難しい医学会をスムーズに説明するって手腕が素晴らしいです。もちろん、医学だけにこだわらないエンターテイメント性を盛り込む力も脱帽です。ちょっといきすぎなくらいに論理的な会話展開も読んでいて逆に清々しいですね。
この筆力にして、この刊行スピード。さらに勤務医の傍らで。恐ろしい人です。
「イノセントゲリラの祝祭」もそうだったんですが、この作品も今後続くであろうシリーズをかなり匂わせてますね。「イノセント~」での「桜宮病院があんなことに・・・」みたいなセリフが何回か出てきたんですが、それがこれを読むまでさっぱり分からなかったんですが、この「螺鈿迷宮」のことだったんですね。納得です。
気になるのはあの院長の言葉とラストシーン。素直に読めばあっちだけど、こっちの可能性も大きいかもって印象ですね(読んでないと何言ってんだか分からないでしょうね)。北に向かってたなぁ。「イノセント~」でも〝北〟だのなんだの言ってたけど、これは違うか。
「桜宮サーガ」という言葉を某解説者が使ってましたが、まさにそうですね。いや、そうなるでしょう、と言った方が正しいか。この「サーガ」がどこに向かっていくのか今後も目が離せませんよ。「螺鈿迷宮」読んだら、やっぱり「ジーンワルツ」も読みたくなってきた。「ブラックペアン1988」「ひかりの剣」、ついでに「死因不明社会」まで手出したくなってきました。こりゃ、ハードカバーまとめ買いってもんですか?
皆さんも是非「桜宮サーガ」堪能してみてください。


文庫版は通勤途中の読書におすすめ!
「死」の意味
薄い