一年に一度

GWになると祖父の家に家族で行くのが恒例になっていた


祖父の家は、自宅から車で1時間ほどの所にあり


ほとんど普段暮らしている町並みと変わらない


小学五年生のGWも

父と母と3人で祖父の家に遊びに行った


いつもは四人で行くのだけれど

兄は、友達と海に行くからとか何とか言って

自宅に留守番することに


今思えば、あんなの絶対に嘘で

初めてできた彼女とのデートに色気づいていたのだ


だいたい五月に海に行くなんて嘘が下手くそすぎる

春の海で黄昏ている中学生がいたら見てみたい





大人たちが酒を飲むだけの帰省

そんなに遠くでもないし

別にひさしびりでもないし

子供だった僕にとっては

何も面白くない

本当は遊園地とか

動物園とか

そういうところに行きたった



僕が始めてジェットコースターに乗ったのは

高校生になってからだ




祖父の家に着くと

玄関で柔らかい笑顔をした祖父が出迎えてくれる

僕は、機嫌の悪そうな顔をしたまま

家から持ってきた漫画を片手に

挨拶もそこそこに玄関をくぐった




家の中では祖母が夕飯の準備をしていて

そこに母がそそくさと加わる




父は、夏以外は出しっぱなしの掘り炬燵に足を入れて

タバコをふかしている


毎年の同じような光景を

毎年柔らかい笑顔で眺めている祖父の顔が印象的だった



日本酒とタバコのにおいに囲まれて食事をとっていると
(当時の僕があんなに嫌いだったタバコを吸いながらブログを書いているのを知ったらビックリするかな)


「おい!タバコ買ってきてくれ。真っ直ぐ行って左に曲がったところにタバコ屋があるから」



「は~い」


多分よるの8時くらいだったと思う

今と違って自販機はタスポなんか無くたって買えたから便利だ



いつも車できて車で帰るし

近くに川や海なんかも無い

あるとすればドラえもんに出てきそうな裏山くらいで


僕は、ほとんど祖父の家の周辺を歩いたことが無かった


だから当然


ものすごい迷子になった


なんかものすごい迷子なんだ


(今でも、ものすごい方向音痴)



その迷子の最中に

僕は一人の男の子と出会って

なんだか色々巻き起こるのでした


続きは、また今度


(結局、迷子になる前に終わった・・・・)
父親は自営業を営んでいて

還暦を過ぎた今でも現役で働いている

僕は三人兄弟の末っ子




子供時代のゴールデンウィーク

あまり思い出と呼べるような出来事がない

家族で旅行に行ったり

友達と遠くまで遊びに行ったり

キャンプをしたり




そんな思い出が僕にはない




そのころ父の会社は

まだ安定しているとは呼べないような状況で

まさに、貧乏暇なし




もちろん長期休みに旅行なんて行けなかった




友達たちは、家族で出かけてしまうし

休み明けの作文には書くことがないし

ゴールデンウィークは寂しくて嫌いだった




この作文ってやつが問題で

去年も、その前の年も書いた

お祖父ちゃんの家に遊びに行った事を書くわけだ


そんなに遠くない

車で一時間ほどの場所

普段住んでいるところと変わらない

大人たちが、ゆっくり酒を飲むだけ


今になると

そういう事の大切さがわかるけど

当時は、なんてつまらないんだと

・・・・ブスッっとしていた


なにより家で留守番が許可されている兄貴が羨ましくて仕方がなかった




毎年同じことの繰り返しだったけど

小学校5年生のときに

少しだけ人生のダイジェストに乗せてみようかと思う出来事が起きた


その内容は、改めて近日中にまとめようと思います



思えば、子供のころから方向音痴だった僕の

「迷子物語~森の向こうの秘密基地~」

1年以上の間

病院で寝たきりだった祖母

最後を迎えるまでの半年程の間

痴呆も進み

僕の顔を見ても、誰だか解らないような状況だった。


言葉を発することもしなくなったのは

終わりから数えて三ヶ月前くらいだったと思う。

誰もが覚悟をしていた。


祖母は眠るようにして

旅立っていったという。


冷たくなった祖母の顔は

病気に苦しんで痩せこけた

苦悶の表情ではなく

どこか安らかな

これは勝手な解釈だけど

幸せそうな顔だった。



その後葬式が行われた。

僕にとっては、初めての葬式

まだ、死ぬってことの本質的な意味も理解していない

いや今も理解はしていないか



「やっと楽になれたね」


「おばあちゃん頑張ったね」


「ほら、いい顔してる」


みんな泣きながら


それでも笑顔で泣いていた。


葬式と幸せって


なんだか相容れない言葉のような気がしていたけど


今考えると、あれは幸せな葬式と呼んでいいような気がする。


いつ容態が急変するかもわからず

奇跡が起きない限り

回復の見込みもなく

みんな、どこかで祖母の死を考えて

また、それを考えないように

苦悩してきた。

それら全部を

棺の中の祖母の安らかな顔が

吹き飛ばしてくれるような気がした。


90歳の大往生


祖母は人生を全うした。



「お顔見てあげて」


棺の中の祖母を見て

みんなが泣いている

少しはにかみながら



今思う


ああ


あんな風に見送られるような


そんな人生でありますように


初恋の人美幸ちゃんに図書館で会った僕


もうどうしていいか分からない


いわゆる初恋だと認識するのは


本当は、もう少しあとだけれど


とにかく


あたふたあたふた


家に帰れば食事は、上手く食べられないし


夜は、美幸ちゃんの顔が浮かんで眠れない


会って話せば


あんまりにも胸がどきどきするので


一時は、ぼくは病気なのかもしれない


そんな心配を本気でした


その頃のテレビドラマで


心臓病を患ったお祖父さんが出てくるドラマがやっていたので


その影響もあるかもしれない




本好きで


知的で


めがねが似合ってて


年上のお姉さん



思えば、今の好みと変わらないなと思いつつ



思いを告げられず、いつのまにか終わった初恋を思い出す。



一度だけ、美幸ちゃんの自宅に招待されて


高級クッキーと紅茶をご馳走された話は


また、いつか