10/2


朝からオンライン取材受け。絵本を9冊(3テーマ)ご紹介。

ライターさん含む担当お三方(皆様企業内でお仕事中)に、唐突に絵本を読み聞かせはじめるわたしだ。

ふだん絵本にはあまり縁がないとおっしゃる皆さまが、泣いたり笑ったりしてくださり、なんだか嬉しかったです。


子どもに絵本を🍀

大人にも絵本を🍀


(某企業様メルマガにて特集される企画記事。公開の際にはまたお知らせします)



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10/3 【こどもの心】


赤ちゃんのお世話で忙しいママ。

りおちゃんはパンダのクゥクゥを抱きしめて頑張る。

ある夜、秘密の小部屋の扉を開くと……?


ちいさな読者に至高の体験をもたらす絵本 。(なんて素敵なお誕生会♪バースデーケーキ

大人には、子どもの頃の気持ちがよみがえったり、自身の子育ての日々が思い返され胸がキュンとなる物語。かもしれません。



☆『まよなかのプレゼント』

(くさかみなこ/よしむらめぐ/岩崎書店)

こどもってほんとうに優しいですよね。
思いやりも辛抱も、言葉にしないまま静かに胸にしまっていることが多い。
だからこそ、しっかり見守ってあげたいと思います。
『まよなかのプレゼント』は、妹や弟のいる子や、大事なぬいぐるみと暮らすすべての子どもに共感を呼ぶ物語。こどもの笑顔が浮かんでくる絵本です。



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10/4 【10月の絵本棚より】

イタメーニョさんのレストランでは、すべてのお客さまを最高のお料理でもてなします。
素材へのこだわりゆえ、少々お待たせいたしますが……まあまあ、たまには気長にゆったりとお過ごしくださいコーヒー

まじめは美味しい
まじめはあったかい


☆『せかいいちまじめなレストラン』(たしろちさと作/ほるぷ出版)
作り手は食べる人を思い、食べる人は料理が出てくるまでいつまでも待ちます。
誰も怒ったりなんかしません。
スピードや効率をやたら求められる今、「幸せとは?」……たいせつななにかを思い出させてくれます。
優しさと温かさを、どうぞ召し上がれナイフとフォークキラキラ



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10/4

人形の私は、いつも窓枠に置かれた漁船をみつめている。

いつかあの船の船長さんが会いに来るような気がする。

私たちは料理を囲み笑いあうだろう。

会ったことはなくても私は幸せなのだ。

彼がそこにいるから ――

秋の夜ふけに読みたい
静かな愛の絵本です。


◇『わたしの船長さん』
(M.B.ゴフスタイン 作、絵/谷川俊太郎 訳/ジー・シー)



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10/5

〜紹介する絵本〜

タイトル前に☆印のついている作品は「どちらかといえば子ども向き」

タイトル前に◇印のついている作品は「どちらかといえば大人向き」

つくり手の軸足がどちらに置かれているか?を考えた上での、あくまでひとつの目安です。

(気にしすぎないでください)



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10/5

店番デー。
本の長屋(高円寺)にご来店いただきました皆さま、ありがとうございました。
平日昼間にも関わらずたくさんお選びいただき心より感謝飛び出すハート
11月、長屋で本のフェスをやるとのことです。
一箱古本市やトークイベントなど、絶賛企画中!(たぶん)
人と本、人と街、人と文化を繋ぐ……何かしらの力を感じられる場になるといいな。



立ち寄った「えほんやるすばんばんするかいしゃ」さんに『長屋通信』創刊号を置いていただきました。 ありがとうございます🙏
るすばんばんの荒木さんとも話したのですが、高円寺には本屋が増えていますね。
この街の時間が、紙のメディア「本」に流れる時間と惹きあうのかもしれません。



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10/6 【ノーベル文学賞作家の絵本】

この度ノーベル文学賞を受賞したドイツの作家ヨン・フォッセ


氏の児童書の仕事について探してみました。このあたりでしょうか。
(他にもまだありそうですが)
『Uendeleg seint』

『Dyrehagen Hardanger』



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10/6 【北京師範大学主催 オンライン講演会】

「絵本と"ジェンダー” ~自分らしさを育む絵本」(「绘本和“性别”」)のタイトルのもと、中国の皆様に向けお話をさせていただきました。

子育てや教育の現場で今なぜ「自分らしさ」が重視されているのか?
絵本の可能性とともにお伝えしました。

谢谢



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10/7 【抜け感と妙味】

☆『ねむいねむいねずみ』
(佐々木マキ 作/PHP研究所)

宵っ張りの早起き坊やだったわが子に、なんとか早く眠ってもらいたくて選んだ絵本...…が!
子はここに描かれたオバケの気配(ポルターガイスト現象👻)に大興奮&大喜び。なつかしい思い出です。

漫画出身の作家による、笑いと味わいの一冊。

佐々木マキの絵本はいい。
悠々と縁取られる枠線のペン、コマ割りを活かした遊び、必要以上に笑わない登場人物……
語りかける調子の文章はいつも穏やかでムダがない。
どこにも力みがない。
この「抜け感」が妙味を生み出す。読み手をリラックスさせる。



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10/7

しぬまでにあと何冊読めるだろうと本好きなら一度は思う。私も少し前から思うようになった。
好きな作家やジャンル、好きな本の絶版はつらい。
好きな本屋が閉じるのつらい。
本の魅力を知る人が増えたらいいなと(つよく・長く)願っている。
他にも色々あるけど、動くわけのひとつめはやっぱり
「好きだから」




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10/8 【自然の生態と営みを〈物語〉の形で届ける】

かわしまはるこ『3びきのあまがえる』絵本原画展(飯能市立図書館)へ。



『あまがえるのぼうけん』(世界文化社)『あまがえるのたんじょう』(同)は、生きとし生けるものすべてが避けることのできない自然の摂理、その生命のきらめき、力強さを物語に乗せて読者に届ける……
まちがいなく名作のひとつだと思います。

会場は「センス・オブ・ワンダー」がきらめく空間。
原画を観るたのしみは画家の息遣いが感じられること…なんて考えは、これらを目の前にしたら忘れてしまいました。
端々まで細密。なのに迷いがない。
なんという迫力。
樹木のゴツゴツが、ひきがえるのイボイボがこちらに迫ってきます。

「生物画家」の仕事とはこういうものなのか、と目をみはりました。

この日、会場にかわしまはるこさんが在廊されていました!

かわしまさんには、自身の絵の師匠でもある舘野鴻さん(絵本では文章をご担当)の言葉、制作時に悩んだエピソードや、大切にされている思いなども伺わせていただきました。
(後日ブログに書こうと思います)

かわしまはるこ『3びきのあまがえる』絵本原画展(飯能市立図書館)は10/26まで。
会場は、ひろびろとした気持ちのよい図書館の2階。ぬり絵コーナーあり。小さなお子さまにもおすすめです♪🐸✨



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10/9 【空白を持つ】

ひとりきりのとき人は、なんとたくさんのことを想っていることだろう。

「いま」って いったい いつなのか ――

辞書の言葉では足りないことばかりだ。

わたしはしらない。

空白をたくさん持つ
自分と
世界に

ひろびろとした自由を感じる。


◇『わたしはしらない』
(まつむらまいこ 作、絵)


『わたしはしらない』は5年前に糸綴じのソフトな版で出されています(左側がその初版)。
この度、4店による共同出版という形でハードカバー化(右の新装版)。
より丈夫に、より遠くまで届けられるように。
複数の本屋が「よいものを力あわせて作ろう」というあたらしい動き。嬉しく頼もしい動き。

まつむらまいこ個展―暗喩―」(〜10/16,於:えほんやるすばんばんするかいしゃ)へ。
せっかくなので絵に入りこみ、そこにある「暗喩」を読み解こうとこころみる。
「現在」「過去」「未来(祈り?)」がぼんやり浮かびあがる。
心地よい、タロットカードみたいな空間でした。



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10/10

小説『百年の子』(古内一絵/小学館)


女の百年、児童書の百年を「文林館」に関わる人間や読物を通し描く物語。文林館のモデルは小学館。
林芙美子、手塚治虫、佐野美津男、山中恒、野上暁、(乙骨淑子?)らがモデルの人物として登場。

かれらと、名もなき人々の切実なる祈り――

この物語は私たちへのバトンだ。



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10/11 【仕掛け絵本あれこれ】

TVをつけたら「マツコの知らない世界」で仕掛け絵本の特集。
番組中にポストしたくて、手近なところにあった仕掛け絵本、急ぎかき集めてみた。(一部です)

左上のは1986年ロシア製。

トリッキーだったり繊細だったり大仕掛けだったりする作品もすごいが、わたしのイチオシは

◇ブルーノ・ムナーリ作『きりのなかのサーカス』(谷川俊太郎 訳/フレーベル館)

半透明のトレーシングペーパーで深い霧を表現。
1960年代、絵本に視覚表現を持ち込んだ先駆者ブルーノ・ムナーリ。


そして、これもある意味仕掛けか。
◇私家版絵本『ペラペラの世界』中江嘉男 文/上野紀子 画(1965年)



透明なセロハン紙に文章が印字された絵本。黒い装丁本に黒字だから読みにくい。白い紙を挟んで読んでみたりする。

「そんなもの作ってうれるのかよと言われた日から、売れるとは何なのか?考えるようになった」(なかえ氏)


どこかで「美しい!独創的!大人のためのリトルプレス絵本」特集やってくれないかしら。
わらわら持ち込んで早口でまくしたてたい。愛でたいものだ。(オタク心)



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10/11 【きょうのわたしの絵本】

ぼくは照らす。
ぼくは知らせる。
毎日あたらしいものに出会う。
美しいものに出会う。
遠くのことは渡り鳥たちがおしえてくれる。

ぼくは
ずっとここに立って
やるべきことをやるんだ。


◇『とうだい』
(斉藤倫 文/小池アミイゴ 絵/福音館書店)
海と空がおおきい美しい絵本『とうだい』は2016年の刊。今日の私に響きわたる。
出会うタイミングによってこんなふうに真芯をとらえられたりするから、やっぱり絵本には長生きしてほしい。
出会い直しのチャンスがあるといい。



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10/13 【読書会 vol.2(本の長屋)】

✾ 課題本 ✾
『金子みすゞ童謡全集』
(著者/金子みすゞ、監修/矢崎節夫/2022年 JULA出版局)

作者の人生、時代の児童観・ジェンダー観・政治や経済……
表現を深く味わうことと、これら文脈のなかで考え論じることは両立する。
その確信の下、活発に意見交換。
立ち昇る「個(読み手を含む)」と「社会」――

「金子みすゞ」が今私たちに投げかけるものとは?

512編の詩を読む。掬いあげる。
近代史の文脈のなかで読み解く、あるいは作品を背景から推測し新たな解釈を試みる、さらに海外の評価に触れる……
熱のこもったひと時。

80年代以降の「みすゞ」がどのように読まれ(国内外へ、子どもと大人へ)ひろがったのか、継承の仕事に携わるJULA出版局の二人が今何を感じるのか……
様々伺わせていただきました。
また、金子みすゞ作品の強さをあらためて実感する機会にもなりました。

ゲストの北尾知子さん(JULA出版局)、柴崎さん(同)に心からの感謝を。
メンバーの皆様ありがとうございました。また集いましょう。



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2番目に好きな



10月。
金木犀をいっぱいに吸い込んで、栗おこわを炊いて、ようやく、ほんとうに、
秋が来ました🌰🍂
ヤッタ−

もりもりたべて、もりもり読んで、みなさん元気に過ごしましょうね。

「本の長屋」(高円寺)にも会いにいらしてください。
私もたまにおります。また11月に歩く


絵本コーディネーター東條知美