2022.12.22

 

 

絵本コーディネーター東條 選

2022年の絵本 6冊

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こんにちは。今年で活動開始から12年、「読んでたのしい」「眼と心がよろこぶ」「子育てが楽しくなる」「個と社会をみつめる」......様々な視座に立ち皆様に絵本の情報・その魅力をお届けしております、絵本コーディネーターの東條知美と申します。

 

【2022年の絵本 6冊】は、東條が2022年に出会った新刊絵本の中から、「繰り返し読んだ」「人に贈った」作品に的を絞り、さらにそこから〈傑出した6冊〉に絞り込んだものです。

テーマも内容も、実に様々なラインナップ。 ぜひお手に取ってご確認いただければと思います。

 

皆さまと絵本のよき出会い、その一助となれましたら幸いです。

 

(絵本コーディネーター東條知美)

 

 

※選出に関しましては、絵本コーディネーター東條知美個人の趣味・嗜好・経験その他が色濃く反映されておりますことをご了承下さい。また、いかなる賄賂・脅迫・圧力も受けておらず、いかなる気遣いや義理立てもございません。純度100%。ご承知置き下さい。

※予算・体力・運命の悪戯等により、東條が出会えていない絵本が他にもまだまだたくさんありますことをご承知置き下さい。

 

【絵本コーディネーター東條知美が選ぶ 2022年の絵本】

2冊目

 

まよなかのゆうえんち
(BL出版)

 

~ 緩急の間合いで「時」を操り、魅せる 

👑『まよなかのゆうえんち』

ギデオン・ステラー 作/マリアキアラ・ディ・ジョルジョ 絵(BL出版)

 

 

【東條コメント】

 

以前「ナイトzoo」なるイベント、特別に開放された夜の動物園に出かけたことがあります。

キリン、シマウマ、クマ、カンガルー......暗闇の向こうに光る目、目、目。どこからか聞こえてくる唸り声、荒い息づかい。

かれらの輪郭が、月明かりとしぼられた照明の下に浮かび上がります。

夜が、動物たちの気配をよりいっそう際立たせていました。

野性の秘密にふれたような気がして、ちょっとだけ身震いしたことを覚えています。

 

『まよなかのゆうえんち』に描かれるのは、そんな動物の野性とは真逆の一面。

人間の帰った後、真夜中の遊園地にこっそり忍び込み、大はしゃぎで遊ぶかれらの「秘密」が描き出されます。

 

ああそれにしても、なんて華やかで贅沢な夜なのでしょう!

 

メリーゴーランド、ジェットコースター、バイキング......それから、遊園地ならではのスナックも盛りだくさんです。

渦巻き模様の大きなキャンディーも、ポップコーンも、りんご飴も、み~んなみんな食べちゃってOKです。(多分)

 

聴こえないはずの音楽が鳴り響きます。

におわないはずの匂いが鼻腔をくすぐります。

 

楽しそうだなあ

 

夢みたいだなあ

 

ふと思ったのですが、『まよなかのゆうえんち』は、いつかみた私の夢、無意識の願望が動物たちの姿となってあらわれた物語なのかもしれません。

 

非日常に身をゆだねる心地よさ。

満月の下、きらめくイルミネーションと陽気な音楽。

 

それから

 

ぼくらの、ぼくらだけの秘密......。

 

 

祭りの華やかさ、その後の静けさまで――

緩急の間合いで「時」を操り、物語を魅せるサイレント絵本。

 

スリルと冒険・非日常への旅を、ぜひ何度でもお楽しみください。

 

『まよなかのゆうえんち』は、ケイト・グリーナウェイ賞(イギリスで出版された絵本の中でもっともすぐれた作品の画家に対して年に一度贈られる賞)の中でも、子どもたちの投票によって決められる「シャドワーズ・チョイス・アワード2022」を受賞しています。

(納得です!)

見返し部分にも「秘密」は隠されていますよ。その目でたしかめてみてくださいね♪

 

 

☆『まよなかのゆうえんち』:出版社ページはこちら

 

 

 

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【絵本コーディネーター東條知美が選ぶ 2022年の絵本 6冊】

順次アップしてまいります。

 

 

 

絵本コーディネーター東條知美