【まっすぐに想う…その姿に心打たれる】
◇『ねことことり』(たてのひろし作/なかの真実絵/世界文化社)
(あらすじ)
森の中の一軒家。内職をして暮らす猫のもとへ、見知らぬ小鳥が訪ねてきます。
小枝を分けてほしいと乞う小鳥。
猫にとっては大事な生業の枝。しかし小鳥の切実さを見て取った猫は、毎日一本ずつ分け与えることにします。
束の間の交流。
再び独りになった猫は侘しい日々を送っていました。
するとある日、懐かしいあの声が聴こえてきて……。
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猫と小鳥の物語。
細密な描写に目を奪われて、しかしそれと同じくらいに、彼らの姿や会話が醸し出す誠実な人物像、まっすぐな優しさにハッとさせられます。
心に消えない余韻を残す
名作絵本の誕生です。
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読んだ人は、『ねことことり』には、登場人物の友情……そのほかにもあるテーマが含まれていることに気がつくことでしょう。
でも今、それをここに書くのはきっと野暮。
(書いた自分に対して)「だからなんだ?」と思ってしまいそうだから書きません。
相手をただまっすぐに思う、そして動く、登場人物の姿に私は胸を打たれたのでした。
どんな絵本なら皆に薦めたいと思えるのか……ひとつの解がここにあります。
お手に取って、ぜひおたしかめください🍀
絵本コーディネーター東條知美