9/2


月は「ぼく」に語りかけます。


「わたしの話すことを絵におかきなさい」

「そうしたら、とてもきれいな絵本ができますよ」

……


夜空に浮かぶ月がいつか見た人々の

かなしくて、せつなくて、愛おしいドラマ。



◇『絵のない絵本』(ハンス・クリスチャン・アンデルセン作/大畑末吉訳/松村真依子絵 岩波書店)




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9/4

1893年9月4日、ビアトリクス・ポターが友人の息子に宛てた絵手紙に描いた絵が「ピーターラビット」のはじまり……
というわけで、(もうこんな時間だけど)𝑯𝒂𝒑𝒑𝒚 𝒃𝒊𝒓𝒕𝒅𝒂𝒚, Peter !!🥂




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9/5

☆『どろんこハリー』(ジーン・ジオン文/マーガレット・ブロイ・グレアム絵/わたなべ しげお訳/福音館書店)

好きなところで好きなように遊びまくって、真っ黒に汚れて。
すると家族は誰も自分と気づいてくれなくて……
困ったね、ハリー!
どうする、ハリー!?

いたずらと
失敗と
安心と、
なにより解放の絵本。


原書『Harry the Dirty Dog』がアメリカで出版されたのは1956年。日本語版は1964年。
長きに渡り、世界の子どもたちの目を輝かせてきた作品です。
子供たちに読むたびに、その秘密がみえてくるような気がします。

今にもページから飛び出しそうなハリーの躍動感。
心のまま、気の済むまで遊ぶハリーへの、憧れと共感の絵本!


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9/8

「言葉あそび」が大好きなお子さまに☺

〈たしますよ  たしますよ  たいに  ひともじ  たしますよ〉……

1文字足したら、ほい変身♪

さて何になったと思いますか?

歌いながら読みたい絵本。
たごもりのりこさんの絵がしみじみとよい。


☆『たしますよ』(内田麟太郎作/たごもりのりこ絵/金の星社) 


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9/8

「言葉遊び」といえばこちらの絵本 も。長年子どもの現場で人気の衰えることがありません(初版から20年!)

特別支援学級の児童も大喜び。
何度一緒に読んだことでしょう。

絵と言葉で紡ぐ、間を確かめてめくる……絵本ならではの楽しさがつまった、みんなで遊べる絵本ですよ(*•̀ᴗ•́*)👍✨


☆『へんしんトンネル』(あきやまただし作、絵/金の星社)


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9/9

☆『ロッホナガーのおじいさん』(チャールズ皇太子殿下 著/サー・ヒュー・キャッソン英王立美術院院長 画/宮本昭三郎 訳/1981年 サンケイ出版)⁡

⁡エリザベス女王 崩御の報。⁡
⁡凛とした、それでいてチャーミングなお人柄は子どもの頃からの憧れでした。
寂しいです。
「最期はバルモラル城で」と聞き、この絵本を思い出しました。⁡
若きチャールズ皇太子が小さな弟たちのために書いた物語です。

舞台は美しい自然の宝庫、王室一家が夏を過ごしたロッホナガーの麓。

日々ロンドンで重責を背負う一家が、母エリザベスが、ひと時の安らぎを得た思い出の地だったのではないでしょうか。⁡
⁡⁡⁡

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9/10 【十五夜 🎑】

🌕『つきのばんにん』(ゾシエンカ作/あべ弘士訳/小学館)

夜の動物クラブの会議で「月の番人」に選ばれたエミール。

重要な任務!それなのに、肝心の月がだんだんと欠けてしまって……?


変わらないものなど何もない。
消えたはずのものが再び現れることもある。
鳥の言葉が染み入ります。⁡
⁡⁡
南アフリカ出身の作者・ゾシエンカ。⁡
この⁡絵、好きです!⁡
夜行性動物にとって月の光は大切なもの。
新しい番人に選ばれ、首から下げたメダルをみつめるエミールの誇らしげな顔、怪しい雲を掃除機で吸い取る勇ましい姿、少し欠けた月に気がついた時のハッとした顔……
主人公の表情にもご注目。⁡
夜も、蛍も、月も
なにもかもが美しい。⁡
明日は十五夜ですね。


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9/13

〈ある ばん、マックスは おおかみの ぬいぐるみを きると、いたずらを はじめて
おおあばれ〉
……

怒り、喜び、不安、愛……
子どもの内面(感情)が外側(場面)へと広がっていく、「行きて帰りし」創作絵本の傑作です。


☆『かいじゅうたちのいるところ』(モーリス・センダック作/神宮輝夫訳/冨山房)

少年の心(内面)の変化は、画角サイズの変化にも現れます。

月の満ち欠けにもご注目ください!
原題『Where the Wild Things are』(米 1963年)

作者センダックは、1955年には既にこの最初のダミー作品を作っていました。しかし当時の作品はまだ文と絵が一体化した「絵本 」ではなかったことを自覚していた、と語っています。


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9/14

たとえば「みんなと違う自分」に悩んでしまった時、
前を向くためのヒントが絵本の中にみつかるかもしれません。


一匹だけ象色じゃないエルマー。
だけどエルマーがエルマーらしくいることで、みんなが笑顔になれるんだ!

☆『ぞうのエルマー』(デビッド・マッキー文、絵/きたむらさとし訳/BL出版)

「みんなと おなじふりしたって、すぐ ふざけるから、エルマーだって わかってしまうんだ」

「ねえ、きょうを きねん日にしよう」

「エルマーの日って よぼうよ。」
………

「みんなと違う私」で当たり前。
「みんなと違うあなた」だから面白い。

正直がいちばん。
絵本は教えてくれます。




週末、上越(新潟県)に帰省しました。

遠くにいると心配で落ち着かなかったのですが、直接親の顔を見て言葉をかわしたところ元気そうでホッ。長く元気でいておくれ。

墓参りに出かけた父の実家で、栗をたくさん拾いました。(熊に先を越されなくてよかった!)

里山は、豊かな実りの季節です🌰🍄



絵本コーディネーター東條知美