7/1


時々(あれ…わたし何でこんなに絵本を応援してるの…?)という気持ちになることがあるのですが、好きだからしょうがないね😊✨ 



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7/3 【夜の絵本】

☆『ねむいねむいねずみ』(佐々木マキ 作 PHP研究所)

"宵っ張りの早起き坊や"だったわが子に、なんとか早く寝てもらいたくて選んだ絵本。
が、しかし、息子が絵本の端々に漂うオバケの気配(ポルターガイスト現象)に大興奮してしまい、結局何度も読まされるはめに……。

「おばけ自体は描かれない」「気配に満ちている」ところがとにかくすごい!

漫画出身作家ならではの魅せ方、コマ割や枠線の工夫が佐々木マキ作品の魅力。

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7/4 【夜の絵本】

7月は「夜」を描く絵本をご紹介。

こちらは故郷(新潟県上越市)の名士・小川未明が綴った物語。
哀しみと可笑しみ、怨みが織りなす不可思議な未明の世界。
好きです。

〈俺は世の中の人がみんなきらいだ。だれとも顔を合わせるのがいやだから、いま時分歩あるくのだ〉……

◇『電信柱と妙な男』(小川未明/石井聖岳 架空社) 

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7/6 【夜の絵本】

気圧のせいでなんとなく調子が出ない日は、

せかいの あちこちで ちょっとだけ…

夜中に集まっては、優しい行いをする彼らを心に抱いて。

今夜、窓の隙間を抜けて、あなたの部屋にもきてくれたらいいのに。


☆『シルクハットぞくはよなかのいちじにやってくる』(おくはらゆめ 童心社)
「シルクハットぞく」が夜中にいったい何をするのかは、読んでのお楽しみ…としたいため、紹介がむずかしいと感じる一冊。
いや、もう少しだけ言葉を足そう。
作家おくはらゆめが、怪しくて可愛くてミステリアスな「シルクハットぞく」がひらりと舞う夜、静寂の夜を、おおらかなタッチで描いた傑作です。🌃 

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7/7

🌙月夜の読書会(vol.1)、ありがとうございました。
出会ったばかりの方々と本の話で盛り上がる不思議な夜でした。
次、7/28アンコール回のテーマも【夜】です。
8/10回のテーマは【化】。
お化け、化粧、変化、化学 etc……
お好きな本をご紹介ください。
小説、エッセイ、写真集etc…オールジャンルでぜひ!
🌛8/10回 テーマ:【化】(参加をご希望の方は東條まで。ツイッターDMにてお問い合わせください。)

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7/8 【RIP ビネッテ・シュレーダー】

シュレーダーさん、さようなら。
あなたが創り出したこんなにも美しい世界。
シュレーダー絵本に出会えてわたしは幸せでした。


◇『BEAUTY AND THE BEAST』(BINETTE SCHROEDER/Walker Books 1986)

◇『わにくん』(ペーター・ニクル 作/ビネッテ・シュレーダー 絵 矢川澄子 訳 1980 偕成社)

ナイルの川岸から花の都パリへ旅に出たわに。
噂に聞いた「わにの店」とは?
泣きながら人を呑みこむ彼の哀しみよ……。


☆『ぞうさんレレブム』(ビネッテ・シュレーダー文、絵/矢川澄子訳 岩波書店) 
レレブムにとって、"とくべつ"であることは、ちっとも嬉しいことではなくて。
他の象と違っていることを人知れず悩み、変わろうと試みて、失敗して……
でも、
その先にしか見えないものがある。
自分で手に入れたものは強い。


絵本 『ラ・タ・タ・タム』(ピーター・ニクル 文/ビネッテ・シュレーダー 絵/矢川澄子 訳 岩波書店)は、森見登美彦『夜は短し歩けよ乙女』にも重要なモチーフとして登場しています。


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7/9

飼い猫が「知らない」を知る物語。

大切なことはいつも目には見えない。

ちいさな島でいることは すばらしい。
世界につながりながら
じぶんの世界をもち
かがやくあおい海に かこまれて


◇『ちいさな島』(ゴールデン・マクドナルド作/レナード・ワイスガード絵/谷川俊太郎訳 童話館出版) 

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7/12

〈何歳のときのじぶんが好きですか。〉

〈これだけはしないと、
心に決めていることがありますか。〉
……

心に静かに問う絵本。

わたしは、10歳のわたしに胸を張れる自分でありたいと思う。


◇『最初の質問』(長田弘 詩/いせひでこ 絵 講談社)

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7/13

「まじめ」の意味や、本当に「まじめな人」はどんな人?ってことが、最近ようやくわかってきたような気がします。
その場のベストを尽くすこと、精いっぱいを、誠実にあたり前にやる人のこと。

イタメーニョさんはそのお手本みたいな人です。


☆『せかいいちまじめなレストラン』(たしろちさと/ほるぷ出版)
「まじめ」って、愛なんだと思う🍀

イタメーニョさんのレストランでは、いつも獲りたての材料で作った料理が出てきます。
りんごジュースのりんごは、注文を受けてから裏庭の木でとります。
はちみつを使う料理なら、すぐさま自転車に乗り養蜂場へ向かいます。
カワウソ一家のお客様は、おじいさんの誕生日のお祝いに「とびきりのごちそうがいいなあ」……
さて、イタメーニョさんはどこへ向かい、何を作ったと思いますか?

作り手は食べる人を思い、食べる人は料理が出てくるまで気長に待ちます。
誰も怒ったりなんかしません。

心が疲れてしまった夜には、こんな絵本をひらきたい。

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7/14

8月の「SDGs×絵本×生き方」のテーマで大人向けセミナーの準備中。
「持続可能な社会」は、「私の幸せ」にどう繋がるのか?
こじつけることなく、押しつけることなく感じてもらえる絵本を、時間をかけて厳選。

4年前に JICA の連続講座で出会ったこの本は、いつも確かな指針を私に与えてくれます。
🍀『未来を変える目標 SDGsアイデアブック』(一般社団法人Think the Earth 編著、発行/蟹江憲史 監修)

ライターの江口絵理さんの名前を執筆者の先頭にみつけた時はすごく腑に落ちました。
少し難しく感じられる分野も、わかりやすく楽しく伝える手法。
江口さんの科学絵本の仕事と見事に通じています。

こちらの本は、SDGs17の目標を(コミカルな漫画やイラストを添えて)解説すると共に、様々な取組み(制作当時)を紹介&各専門家によるコラムを掲載した一般書です。
絵本のガイドブックではありませんので誤解なきよう。
タラブックス(インドの出版社)による"ちいさなビジネス"も紹介。

(2018.6月 京都桂川イオンホール)
また京都へ仕事で行きたいな、のアピール。アピアランス東條。西への憧れ✨

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7/15

クニットは、夜がこわくてさびしくて、家じゅうのランプをぜんぶつけます。そして、ベッドにもぐりこみ、朝までないているのです。
……

彼を変えたのは、波に揺られてやってきた一通の手紙。

求めあうふたつの魂。

運命の恋。

◇『さびしがりやのクニット』(トーベ・ヤンソン作絵/渡部翠訳/講談社)
上品で明るい色の着彩がされた絵本ですが、白黒の濃淡を中心に表現された場面がまた美しくて。
文庫の挿絵やムーミン・コミックスのファンも、この絵本なら気に入るはず。


絵本コーディネーター東條知美