4/4

 

☆『くんちゃんのはじめてのがっこう』(ドロシー・マリノ作/間崎ルリ子訳 ペンギン社)

 

この春「はじめの一歩」を踏み出す子、親、そして先生に。

 

〈ぼく がっこうへ いくんだよ〉

 

誇らしさと期待、不安と緊張に包まれた初日の物語。

見守る大人たちをお手本にしたいと思えるような一冊です🌸

 

入学の朝、学校に着くまではお母さんと一緒で勇気りんりんのくんちゃんですが、入口では思わずお母さんにすがり、教室の椅子に小さく縮こまって、授業中になんと脱走してしまうというハラハラの場面も。

 

でも大丈夫!

安心してね、とのメッセージがこめられています。

 

原書1970年発、日本語版1982年発のロングセラー作品。

 

やわらかタッチのペンでいきいきと描かれる、くまの子の日常風景と「特別な一日」。

 

黒ペンの他にはたった一色(薄い茶色)。

地味?…いいえ!同じ年頃の子にとっては、「くんちゃん」に自分を重ねてドキドキと安心が味わえる、真に迫った読書体験となるはずですよ♪

 

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4/5

 

〈あの日――、わたしは、じいさんと舟にのっていた〉

……

 

◇『よあけ』(あべ弘士 作 偕成社)

 

猟師の祖父と川を下る少年。

 

少年が見た大いなる自然、聖地への畏敬、焚き火の元で聞いた祖父の昔語りが、壮大な景色と共に綴られます。

 

舞台は極東シベリア(ロシア)。

この地を北方民族ウデヘの人々と(猟師小屋に寝泊まりしながら)旅したという作者。

 

ユリー・シュルヴィッツの『よあけ』(1977年 福音館書店)へのオマージュの意味を込め、

これと同様に(唐の詩人)柳宗元の詩「漁翁」をモチーフにし作られたという

あべ弘士の『よあけ』(2021年 偕成社)

 

シュルヴィッツのよあけに感じる圧倒的な静けさと美。

 

あべ弘士のよあけに充つる力、命への畏敬。 

 

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4/6

 

冬の間は地面に伏せて寒さや風をしのぐたんぽぽ。

 

今足元を見れば、鮮やかな黄色い花をあちらこちらで咲かせています。

 

綿毛を放つ前、空に向かってもっとも高く伸びる……

 

そんなたんぽぽの一生を、細やかに美しく描き出す絵本


☆『たんぽぽ』(荒井真紀 文、絵 金の星社)


たんぽぽよ、

頼もしいぞ。

 

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4/7

 

昼間、所用あり早稲田のNenoiさんへ。「入りました」と差し出されたのは……

 

◇『ぞうのマメパオ』(藤岡拓太郎/ナナロク社) 

✨直筆イラスト&サイン入カードつき!
196ページもあるかわいい「絵本」。
世界を信じさせてくれる明るさ。

 

多くは語りませんが7回吹き出しました。

あの場面はもしや、ぐりぐらへのオマージュだろうか(いや違うか)

 

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4/15


命が入っている。

おいしい食べ物にもなる――


卵は、想像力を掻き立てるモチーフです。


鳥もカエルも大昔の恐竜も、みんな卵から生まれる。

そのことをやさしく教えてくれる、実に美しい“自然科学系アート絵本”🥚🔭


☆『たまごってふしぎ』(アリス&マーティン・プロベンセン作/こみやゆう訳 講談社) 



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4/17

新年度の疲れが出てくる頃ですね。

〈くるひも くるひも やまのような しごとを しなければならなかったのです〉

この王さまも同じみたいです。

心配事だらけの王さまに必要だったのは……

跳び跳ねることでした!🦘💨💨

コラージュの技法で描かれた、東條お気に入りの一冊です。

仕事の重責で眠れない王さまが、ベッドで跳ねることで気を晴らす……ただそれだけのお話なのですが、思わず笑いだしてしまう解放感があります。

いやしかし、ほんと、心と体はつながっているのですよねえ。

お子さんが普段と違うこと始めたなと思ったら、もしかしたら自分なりのストレス解消を試みているのかも。
優しく、安心と解放の場を作ってあげて🍀

☆『ボヨンボヨンだいおうのおはなし』(ヘルメ・ハイネ作/ふしみみさを訳 朔北社) 


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4/18

谷中・ひるねこBOOKSさんで最終日の「私の本棚〜My Bookshelf〜」展に駆け込み。間にあいました。

10作家が描くそれぞれの「本棚(のある世界)」。
豊かな表現、書物への愛にあふれた傑作揃いです。

(描かれた本棚に、東條偏愛絵本『こねこのミヌー』を発見!)

素晴らしい企画。店主小張氏にもブラボー!

自身の本と本棚への偏愛をあらためて自覚しました。
よい。なんていいんだ。 

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4/19 


あたらしい世界と出会う季節🌷


この絵本には、指でお話をする隣人が登場します。

手話について学ぶのは高学年になってからですが、いろんなお友だちと仲良くなるためのヒントがここにありますよ。


見返しで紹介の22の手話、さっそく覚えたいな♪


☆『ともだち』(くすのきしげのり作/よしむらめぐ絵 小学館)

よしむらめぐさんの描く子ども、表情豊かで素晴らしいなあ。お顔、いくつパターンを持ってるんだろう。
登場人物の思いを"全身で"語らせています。


***🌷徒然🌷***

わけあって急きょ実家へ帰省しました。
せっかくなので故郷便りを。

こちらは春日山城跡へと続く山腹の途中にある春日山神社です。

山形県米沢市の上杉神社より分霊され、謙信公を祭神に祀った神社。
1901年、童話作家・小川未明の父である小川澄晴(謙信公を崇敬)によって創建されました。

故郷の町に現存する日本最古の映画館「高田世界館」で上映されていた『ひまわり』を観ました。



ソ連戦線に送られたアントニオの言葉――「戦争は残酷」…残酷と繰り返す場面が忘れられません。
同時に人は、人を生かそうとする。そんな救いをも映し出す映画でした。

当時ウクライナで撮影されたひまわり畑の美しさよ。
No More Wars.
安心と平和を、どうか。


故郷の春は、桜が満開でした。




絵本コーディネーター東條知美