11/14


美しい秋。

森のにおいをたっぷり吸いながら、やわらかい落ち葉の道を、ガサガサ サクサク…

どこまでも歩いて行きたい季節です。



🍁『落ち葉』(平山和子 文、絵/平山英三 構成、写真 福音館書店)


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11/15


🍎『りんごのき』(エドアルド・ペチシカ文/ヘレナ・ズマトリーコバー絵/うちだりさこ訳 福音館書店)



りんごの木をみつけたマルチン。

実りの季節を心待ちにする様子が、四季と共に描かれます。


子の「どうして?」に両親はこたえ、寄り添います。


原書は1954年プラハ発。

作者のペチシカはチェコの詩人、作家。ズマトリーコバーもプラハ出身の画家。


シンプルな線に明るい色使い。

木を不思議な思いで眺めたり、嵐の中を耐える木を(雨風に怒りながら)見守ったり、赤い実に大喜びしたり…

子どもの心の動く様が、じつに生き生きと描かれています。 


センス・オブ・ワンダーがぎゅっとつまった、デザインの可愛らしい絵本。 


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11/17


バスの座席や公園のベンチ等、あらゆる場所で黒人の利用が制限され差別された時代の物語。


つらい目に合いながら、それでもパトリシアの向かった「とくべつな場所」…それは、公共図書館でした。



◇『わたしのとくべつな場所』(パトリシア・マキサック文/ジェリー・ピンクニー絵/藤原宏之訳 新日本出版社)


1950年代、作者の体験を描く絵本。


行く先々で受ける容赦のない差別。

同時に、同胞と励まし合ったり、一部白人との心温まる交流も描き出されます。


正面入口の大理石に刻まれた

〈公共図書館:だれでも自由に入ることができます〉

…この文字を見上げるパトリシアの目に、希望の光が宿ります。



読書は自由への入り口。 


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11/19 月蝕の夜に🌘


東京でも新潟でも北海道でも京都でも

遠い国でも、

赤ちゃん、おばさん、若者、おじいさん、

散歩の犬、森のクマ、宿り木の鳥の

見上げた空で、

まるい月が欠けて消えて、そうしてまた現れた夜。


〈みんなが そらを みています〉



🌘『きょうはそらにまるいつき』(荒井良二 著 偕成社)



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11/20


〈シモ月二十日のウシミツにゃあァ、モチモチの木に ひがともる。

おきてて 見てみろ、そりゃァ キレイだ〉


☆ 『モチモチの木』(斎藤隆介 作/滝平二郎 絵 岩崎書店)


爺さまと二人で暮らす豆太は臆病であまえん坊ですが、爺さまを助けるために必死で走ります。

闇の怖さ、足の傷みにも負けないで... 。


切り絵で描かれる、豆太と爺さまの里山の暮らし。

山には街の者の知らないほんとうの闇があります。


大人になった私には、物語の少し先にあるふたりの別れもそう遠くないことを、どうしても思わずにいられません。

だから余計にこの夜の美しさが、ささやかな幸福が、胸にしみるのでした。


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11/24


チイちゃんのお気に入りの「もうふちゃん」。

秋の強い風の日に、森の奥へ飛ばされてしまいます。

自分がいないと眠れないチイちゃんのことを心配するもうふちゃんですが、森にも、もうふちゃんを必要とするうさぎやリスの子がいて……?



☆『もうふちゃん』(くさかみなこ作/よしむらめぐ絵 小学館) 


「片時も離さない」というと、私は『スヌーピー』のライナスの青い毛布を思い出します。(心理学用語でD・ウィニコットが名付けた「移行対象」と呼ばれるもの)

でも一旦それは横に置いておいて…

こちらは、読者の胸に"それぞれの形で"暖かな火を灯す物語。
光と影、奥行きを感じさせる絵も味わい深い一冊です。

この日、『もうふちゃん』作者のくさかみなこさんと、画家よしむらめぐさんの両作家にお会いすることができました!
立ち寄ったブックハウスカフェ(東京・神保町)で、よしむらさんの原画展が開催されていたのです。
(左:くさかみなこさん 右:よしむらめぐさん)

先頃『はにわくん』(絵本塾出版)でデビューされた まつながもえさん(写真左) 

みなさん初めてお会いした作家さんです♪

これは…またとないチャンス!
突然ですが、ひとつ質問を投げかけさせていただきました\(^o^)/

🍀今、頭に浮かぶ"好きな絵本"を教えてください。

【くさかみなこさんの一冊】
☆『おおきなおおきなおいも』(赤羽末吉作、絵 福音館書店)

「子どもの頃に強い印象を受けた絵本です。
今読むと、実は2色しか使われていないんだ…とビックリします。
赤羽末吉さんの絵が好きです。どの絵本もすごい。
デザイナー出身の絵本、70年代の絵本を読むとかっこいいなあと思います。」(くさかみなこさん)


【よしむらめぐみさんの一冊】
☆『仔牛の春』(五味太郎作 偕成社)

「実は五味太郎さんとは、誕生日が同じなんです。勝手に親近感を抱いています(笑)
絵本に関する本では、佐藤忠良と安野光雅の書いた『若き芸術家たちへ』(中央公論新社)は私のバイブルです。」(よしむらめぐさん)


【まつながもえさんの一冊】
☆『まないたにりょうりをあげないこと』(シゲタサヤカ作、絵 講談社)

「この絵本みたいに、人を笑わせるものを作りたいと思っています。
小さい頃、家にあったのは「やまんば」や「海坊主」みたいなちょっと怖いお話の本ばかりだったのですが…(笑)」(まつながもえさん)

🍀🍀🍀




ありがとうございました!
よろしければ、またの機会にあらためて、じっくりお話を伺わせてください。


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11/25

はじまりのシーンに文章はありません。美しい秋の風景。
木の上には可愛らしいこりす。

ある日、ぶどうを食べていたこりすは子熊と出会います。
子熊はぶどうを一粒だけ食べ、なぜか、そのぶどうの汁を手にたっぷりとすり込むのでした。…


☆『こりすのはつなめ』(浜田廣介作/柿本幸造絵 ひさかたチャイルド)

春が来て目が覚めても、まだ雪の中で食べ物はみつからない。
だから

〈それを なめると、ちょっとの あいだ おなかふさぎに なるんだよ。〉

冬籠り前の熊の習性を織り込みつつ、"はじめて"に出会ったこりすの驚きや歓び、ふたりの間に芽生える友情を描いた、あたたかくて可愛らしい絵本です。

最初の見開き以外にも、「子熊が一粒のぶどうを味わい顔をほころばせる」瞬間や、
「冬眠から目覚めたこりすがわくわくしながら子熊の元へ向かう」雪原の場面、
「眠っている子熊の手のひらをなめてうっとりするこりす」の姿が、絵だけであらわされています。


柿本幸造さんの絵本はどれも、
なんて素敵でかわいいのだろう。

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11/26

【わたしはわたしの服を着ている】

〈むかし むかし(といっても、うんとむかしじゃなくて、ちょっと むかし)、女の子は ズボンを はいちゃいけなかった。〉

でも、メアリーは…?


☆『せかいでさいしょにズボンをはいた女の子』(キース・ネグレー作/石井睦美訳 光村教育図書)

19世紀アメリカに実在したメアリー・エドワーズ・ウォーカーをモデルに描いた絵本。

女の子がみんなドレスを身に着けるのが当たり前だった時代に、「そんなのおかしい!」と言ってそれに抗い続けるのは、並大抵なことじゃなかったと思う。

「私は私の服を着て」
さあ、歩こう!✨


絵もいいなあ。好きです。

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11/30

今日は 「絵本の日」 。

たくさんのよろこび、感動、不思議、夢、希望、笑顔をありがとう!✨
作り手のみなさん、ありがとう!✨👏


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おまけ
(むすこ7歳の時の絵を発掘しました。タイトルは「バーバパパだいすきなママがバーバパパのせかいにはいったら」🍀)


絵本コーディネーター東條知美