「(右手用の)自分は立派」と主張する手袋と、「思いきり鳴いて朝を告げたい」と願うメンドリが、ある日出会います。


ふたりの出会いはただの偶然、一瞬の通りすがり。

でも、もし出会わなければ、気づけなかったことがありました――。



◇『メンドリと赤いてぶくろ』(安東みきえ 作/村尾亘 絵 KADOKAWA)


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名ストーリーテラー・安東みきえの紡ぐ物語。

村尾亘の絵は、いつにも増してドラマティックです。



左右の手袋の喧嘩に「どっちがりっぱなんてない」と仲裁に入る者があれば、「はっきりさせようぜ!」と煽り立てる者もある。

「メンドリは大声で鳴いてはだめ」と諌める年配者があれば、「そうよ そうよ」と同調する者たちもある……って、

まるでわれわれの(リアルな)社会みたいじゃないですか。


大切なことを知るためにはひとりの時間も必要。

そしてあなたが本当に夢を叶えたいのなら…やっぱり「自分のまま」でなくちゃね、と物語が語りかけます。


わたしとあなた、世の中に、

勇気をあたえるこの言葉――


〈新しい朝がきたことを、告げてやれ〉✨✨


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11/26

作家 安東みきえさんと、『メンドリと赤いてぶくろ』(安東みきえ作/村尾亘絵 KADOKAWA)原画展を開催中のムッチーズカフェでお会いすることができました。


ファンとしてはこの上ない喜びです…!


安東みきえさんの小説や絵本はいつも、胸に深い余韻を残し、同時に爽やかな風を吹きこんできます。


社会や個人の抱える"課題"を描く際も、なにかを押しつけることはありません。

ユーモアでくるみながら、あくまでさりげなく、軽やかに提示するところがミソです。


この日は、『メンドリと赤いてぶくろ』のひとつのテーマ、「ジェンダー」の話題で盛り上がりました。



お話をさせていただいて改めて感じたのは、時代と人をみつめる作家の眼差しです。


「コロナが少し落ち着いて外に出てみると、世の中には実にいろいろな人がいるということがわかる」と語るその目はあくまでも優しく、また、好奇心のかたまりのようにも見えました。

ヒット作を生み続けるプロの本質に触れたような気がします。


安東みきえさん、素敵な時間をありがとうございました。

(ますますファンになりました。)



絵本コーディネーター東條知美