11/2


☆『フランクリンの空とぶ本やさん』(ジェン・キャンベル 文/ケイティ・ハーネット 絵/横山和江 訳 BL出版)


本が大好きなドラゴンと少女が出会い、語らい、「みんなにも読んでもらいたい!」と願います。


ふたりの計画とは…?


伝えること、わかりあうことから始まる世界が優しく描き出されます。 



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11/2


☆『いっぱいさんせーい!』(宮西達也 作、絵 フレーベル館) 


5匹の仲良しおおかみ。

今日は何して遊ぶ?サイクリング、凧揚げ、野原で昼寝?


さんせーい!


夜、岩山に登ると…崖下に眠り込んでいたのは、おいしそうなブタの群れ。

お腹はペコペコ。おおかみたちにチャンス到来…!?



ハラハラして、笑って、いっぱい「さんせーい!」が気持ちいい絵本です。



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11/3


【自由と平和を愛し、文化をすすめる…文化の日に】



☆『ルリユールおじさん』(いせひでこ 作 理論社)


〈本には大事な知識や物語や人生や歴史がいっぱいつまっている。


それらをわすれないように、未来にむかって伝えていくのがルリユールの仕事なんだ。〉



壊れてバラバラになった植物図鑑は少女の宝物。

ルリユールおじさんの手で蘇ります。


〈「ルリユール」ということばには「もう一度つなげる」という意味もあるんだよ。〉



その言葉に、絵に、音楽に……

出会えたからこそ、今のわたし(あなた)があるのですよね。



さあ

今日はなにを読みましょうか。




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11/4


今から百年前、プエルトリコからニューヨークへ移住した女性の実話を描いた絵本。


図書館で通訳助手を務めるようになった彼女は願います。


「この土地にお話の種をまきたい」と――



☆『お話の種をまいて』(アニカ・アルダムイ・デニス 作/パオラ・エスコバル 絵/星野由美 訳 汐文社)


ニューヨーク公共図書館の分館で「お話の時間」を始めたプーラ。

パペット人形を作り、故郷の物語や民話を英語、そしてスペイン語でも演じます。


(作者によるあとがきより)

〈それまで図書館は自分の場所ではないと思っていたスペイン語圏の移民の人々でしたが、〉

〈まるで自分の家にいるような気持ちに〉…



プエルトリコ出身の司書プーラは、図書館や学校、コミュニティセンターで「お話の種」をまいて生きた人物です。

彼女の知識、経験が公共の場で力を発揮し、人々に変化と活力をもたらしたこと……これについては今も、そこここで(目立たないけれど)行われているということを改めて記しておきたいと思います。


パペット劇の登場人物が描かれた見返しもかわいい♪



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11/5

☆『あかべこのおはなし』(和田義臣、若山憲 著 こぐま社)

民芸品のあかべこが、憧れの磐梯山を目指し奮闘します。

幼いあかべこ。
はじめは何もできませんが、いろいろなひとの助けを得て、最後は自分が誰かを助けられるようにまでなります。


赤く染まる磐梯山🍁が圧巻!の木版画絵本です。




秋が深まってきました。


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11/9

◇『こうえんで… 4つのお話』(アンソニー・ブラウン 作/久山太一 訳 評論社)

〜登場人物〜

○血統書つきの飼い犬と「あ、それと」息子を連れて公園へ来た婦人
○チャールズと言う名のおとなしい息子
○失業中の中年男
○男の娘スマッジ(元気!)

…ある日の公園で偶然出会った4人による群像劇。 
同じ時・同じ場所で4人の登場人物が心の内を語るスタイルで、4章立ての構成がとられています。
書体もそれぞれに違っており、各人物を表します。

お金持ちと貧乏人、
寂しい子どもと元気な子ども、
血統書付きの犬とふつうの犬…
4人(と2匹)の見ている世界、心象風景や関係性を、言葉以上に「絵」が雄弁に物語る名作。


↑こちらは裏表紙。
作中、おとなしい男の子にとって"支配"の象徴として描き出される、母親の帽子が転がっています。


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11/10

〈ぼくらにつながる むかしの人たちのことが ここにかいてある。ぼくらがどこからきたか、それは金や銀よりもだいじ〉
……


◇『この本をかくして』(マーガレット・ワイルド 文/フレヤ・ブラックウッド 絵/アーサー・ビナード 訳 岩崎書店)

激しい爆撃で街の図書館は焼け落ち、残されたのはたった一冊の本。
民族の歴史が記されたその本を守ってほしいと、父から託されたピーター。
彼はその本を、大木の根元に隠しておくことに決めました。
戦争が終わるまでは――。

*

私たちにとって本とは何か?
戦争は何を奪ってしまうのか?

静かに問いかける物語です。 

(カバー紙を外すと、「この本」とそっくりな本が顔を出します。)


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〜徒然後記〜

週末、2年と3ヶ月ぶりに里帰りをしました。
山間にある父方の実家で、柿をとり、焼き芋をして食べました。
至るところにイノシシやシカの足跡、そして、柿の木には熊の大きな爪痕がくっきり!!
食べ頃の実が鈴なりだったので、高い木に梯子をかけてがんばって落としました。(熊よ、もはやここに来ても無駄足じゃ)
シャツの裾で拭いて齧ると、渋いのから甘いのまでいろいろ。渋7、甘3くらいでしょうか……

すっかり自分に帰った二日間。(いつも素であることには違いないのですが)
自然はわたしを楽にします。
しかし
厳しい冬はすぐそこ。 


(亡き祖父母の家の前の風景。ご近所さんもいない)

(高い柿の木に梯子をかけて登る79歳の父。すぐギックリ腰になる男。危ない…)


(酔い醒ましに歩いた時の写真。この立ち方…酔っている…)


絵本コーディネーター東條知美