7/2


☆『お化けの猛暑日』(川端誠 作 BL出版)


のびっぱなしのろくろっ首、パンツ一丁の天狗、倒れたぬりかべはおまえ…そこでずうっと頑張っていたのかい (涙)……


真夏の猛暑日。

エアコンもない、扇風機もない。昔ながらの暮らしをするお化けたちにはきっつ〜い!!


さあ、どうしましょう…?


舞い上がれ、一反木綿! 


夜空に開け、大輪の花!



真上に居座る太陽がじりじりとおばけたちを焼きつけます。
気温も40度を超えました。
蝉の声がうるさいくらいに鳴り響いています……

元気なのはおばけの世界でも人間の世界でも子どもだけ、ですよね〜。

故郷 新潟県上越市のご出身、中高の大先輩でもある著者(川端誠さん)の絵本。
直接購入させていただきますと、こんな風に特別なサインが!
うれしいなあ


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7/3

工場裏で蓄音機を回し、僅かばかりの金を恵んでもらう老人バンティ。
しかしアルフィー少年の中で彼は、立派な船に乗り「世界のむこう側」を何度も旅した憧れの男なのでした……

この世には嘘もあるし綺麗事ばかりじゃない。
それでも"それ"を守りたいのだと、
男の背中が哀しく語っているように見えました。

苦み走った大人の 絵本 。 

◇『アルフィーとせかいのむこうがわ』(チャールズ・キーピング作/ふしみみさを訳 ロクリン社)

......

キーピング作品はいつも、ロンドンの下町が舞台。

さびれた街の片隅で、貧しさと諦観、孤独や狂気を抱く者に焦点を定め、すえた匂いのする彼らの日々を描き出します。

彼らのおかす過ちも膿んだ傷もすべて、絵本という芸術に昇華されていきます。

......

1975年『月刊 絵本』2月号(スバル書房誠光社)特集「世界の絵本」に、原昌がロンドン郊外に住むキーピングにインタビューした記事をみつけました。
キーピングの言葉を引用します。

「絵本の制作において、子どものためにという考察は、私の場合まったくしていません」

「単に子どもを描いたから、子どもの本だということもまちがっています」



ちなみに私がキーピングに初めて出会ったのは『ジョゼフのにわ』だったのですが、こちらの作品、その夜の夢に出てくるくらいの衝撃でした。(ひぃっと声が出ましたからね) 

苦手だという声も度々聞こえるキーピング作品ですが、他に類を見ないすごい表現者だと思います。

いつも頭の片隅にキーピングがあります。



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7/3

この秋「絵本とジェンダー」をテーマに2つの自治体で講演を務めさせていただきます。
絵本には普遍のテーマ…"優しさ"や"希望"などが描かれますが、「誰が」「どんな様子で」といったところで、作り手と時代のジェンダー観が浮き彫りになるのは他のメディアと同様です。

☆こちらをご覧ください 


子ども向けにつくられた絵本では、「わかりにくさ」は極力避けた上で作られます。

お父さんもお母さんも外で仕事をして、家事もみんなでやる…これが当たり前になった今だからこそ、『ほしのさんちのおそうじだいさくせん』のような絵本も店頭に並ぶようになったのですよね。

(さあ土曜日です。溜まった家事は……明日でもいっか!)


☆『ほしのさんちの おそうじだいさくせん』(新津春子 企画・原案/もとしたいづみ 文/つじむらあゆこ 絵 ポプラ社)



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7/4

迷ったり躊躇したりの日々。
静かに立ち止まる時、かたわらにこんな絵本があるといい。


〈何歳のときのじぶんが好きですか。
上手に歳をとることができるとおもいますか。
世界という言葉で、
まずおもいえがく風景はどんな風景ですか。〉


◇『最初の質問』(長田弘詩/いせひでこ絵 講談社)


〈これだけはしないと、心に決めていることが ありますか。〉……

この詩をかれらに贈りたいと思いながら、今期のNHKドラマ「ひきこもり先生」を観ていました。
(すばらしいドラマでした!)


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7/6

❄雪の結晶❄

今週はずっと蒸し暑いらしいので、目に涼やかな写真絵本をおすすめします。


結晶も最初はあかちゃん…読者に優しく語りかけます。

☆『ゆきのけっしょう』(武田康男 監修・写真/小杉みのり 構成・文 岩崎書店)


これは かみさまからの贈り物……

☆『きらきら』(谷川俊太郎 文/吉田六郎 写真 アリス館) 


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静岡県熱海市で大規模な土砂災害がありました。
被害に遭われた皆さまには心よりお見舞いを申し上げます。


テレビやネットでショッキングな映像があふれる今、
「災害があったから"防災"や"命(死)"の絵本」ではなく、
「災害があったから楽しくホッとできる絵本」を……(子どもの)集団に読み聞かせの際には、どうぞよろしくお願いします。


絵本コーディネーター東條知美