3月8日は国際女性デー💐
今朝、女性のエンパワーメントを感じさせる絵本をざっと抜き出して並べてみました。


〈世界のみんながきっとわかってくれる。
女の子はどこまでだって羽ばたけるってこと。〉
―『マララさんこんにちは 世界でいちばん勇敢な少女へ』 (西村書店)より

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ここ十数年間の流れをちょっと振り返ってみます。

2007年に内閣府が「仕事と生活の調和(ワーク・ライフ・バランス)憲章」を定め、
「イクメン」が流行語大賞となった2010年、
「女性活躍推進法」が施行された2016年、
Googleがジェンダーニュートラルな絵文字を発表、
プリキュアが古いジェンダー観と戦ってみせた2018年……

2018年に入った頃から、私の元にも「自分らしさ」等をテーマに絵本を解説する講演依頼が舞い込むようになりました。

(講演テーマ「自分らしく」は、東京都中央区がはじまりだったと記憶)


内閣府による「我が国と諸外国の若者の意識に関する調査」の結果、日本の若者の自己肯定感があまりに低い…これはまずいんじゃないか……その解決を教育や子育てに求めるようになった時期と、「ジェンダー」という言葉が市民権を獲得していった時期はちょうど重なります。

(ちなみに「自分らしさ」という言葉は、大人のメディア、広告から多用されるようになりました。)


社会の変化と共に、目に入ってくるもの…たとえば家電量販店に置かれるパンフレットも変わります。
表紙に映る家事の担い手は、「母ひとり」や「母と(それを手伝う)娘」から「夫婦一緒」に、「シングル(に見える)男性ひとり」や「お父さん(に見える)男性ひとり」へと…現在では実に様々なバリエーションが繰り広げられるようになりました。
「世間のいま」を凝視しつつ売らんとする、企業の姿が浮かび上がってきます。


絵本はどうでしょう?
インターネット、映画、小説、漫画、テレビ、広告…
様々な媒体におけるジェンダー表現が変化し多様化する中、読み手であるこどもたちの目に映る世界、「社会」を映し出す〈絵本〉も少しずつ変化してきました。

共働き家庭が随分と増えました。
幼稚園へのお迎えはママとパパ交代で描かれるようになり、
掃除も料理も当たり前に、夫婦で分担している姿が描かれるようになりました。
以前は男性のものとされていたジャンルの仕事に、女性も進出しています。
一所懸命に育児するママ、その葛藤や迷いが、絵本の中で描かれるようになりました。

「ママ」の姿も色々です。
「女の子」だって色々です。
もちろん、「パパ」や「男の子」も、
あの人もこの人も色々です。

絵本の中でも、近年多様なジェンダー表現が行われるようになってきました。

2010年代前半にはまだ翻訳版が主流だった「多様な家族」「多様な男性像・女性像」「多様な性」を描いた絵本。
後半になると徐々に国内版が増えてきます。

自治体・教育現場でSDGsの取り組みが広がり、そのニーズと共に「ジェンダー」をテーマにした絵本が注目されつつあります。

「自分らしく」「型にはまらない」「自分自身を愛すること」……一人一人を肯定する、メッセージ性の高い絵本が増えました。 
(まだまだ数でいえば翻訳版が主流かな)


多様な考え方、生き方、多様なセクシャリティをもつ人々は実際にいるということ。それらを描く絵本が、誰も取り残されることなく、それぞれの場所(家庭や学校や図書館、本屋)にしっかりと「在る」ことの意義は大きい。

「みんなと同じじゃない自分はおかしいのかな」「こんな風に感じる自分は生意気?」…自分を否定したり、肯定感を持てなくて苦しんでいる子どもにとって、「ぼく/わたしに似た主人公」が登場する絵本は、存在証明にも似た安心を与えることでしょう。
そのような絵本があたりまえに「在ること」は、社会全体の意識を変えていく力となるはずです。

また、ちいさな子どもにとって、絵本はひとつの「(リアルに似た)体験」となる…そのことも忘れてはならないと思います。


"絵本の力"をいつも思います。
引き続き、絵本の窓からみつめ発信してまいります。


以上、💐国際女性デー2021の記でした。
 

 



絵本コーディネーター東條知美