3月8日は国際女性デー

 
1904年3月8日アメリカでの婦人参政権を求めるデモをきっかけに生まれた記念日です。
 
つまらない性差別がなくなる未来を夢みて、今日のこの日に記したいと思います。
 
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「女なら…」「男のくせに…」
見えない"括り"に支配された社会というのは、どの性においても息苦しいものです。
 

職場で、学校で、夫婦間で親子間で...

日々の何げないやりとり、小さな行動や言葉の中に我々のジェンダー観は見事にあらわれます。

 

○ジェンダーと社会

 

ジェンダー」とは、社会的・文化的に形成される性別を指す言葉です。

 

「社会的・文化的に形成された性別」のこと。人間には生まれついての生物学的性別(セックス/sex)があります。一方、社会通念や慣習の中には、社会によって作り上げられた「男性像」、「女性像」があり、このような男性、女性の別を「社会的・文化的に形成された性別」(ジェンダー/gender)といいます」

(※内閣府男女共同参画局ホームページ「男女共同参画関係用語(平成24年8月更新)」より抜粋)

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大学入試での女子差別、就職活動におけるセクハラ問題…また広告、テレビ、活字メディアのジェンダー表現を巡りSNSで炎上に至るケースが後をたちません。

一方 #meetoo #kutoo等、世界中のいわゆる一般女性が一斉に声を上げたことによって、かつてないムーブメントが生み出されました。

 

あらゆる現象は、私たちの社会におけるジェンダー観、"イマココ"を刻みながら、歴史の足跡となっていくことでしょう。

 

 

世界経済フォーラム(WEF)が発表した「世界ジェンダー・ギャップ報告書(Global Gender Gap Report)2020」。2019年版「ジェンダー・ギャップ指数(Gender Gap Index:GGI)」で日本は121位でした(調査対象153カ国中)。

 

朝日新聞社特集「Dear Girls」

 

男女平等の度合いの意味において、過去最低の順位。 

政治の意思決定の場、企業のリーダーに占める女性の割合が圧倒的に少ないことが、121位の主たる所以です。

 

ちなみにWEFでは、ジェンダー・ギャップのないことが社会をより発展させるとの認識に立ち、この解消を目指し指数を発表しています。

 

 

 

○メディア表現とジェンダー

 

♫ありの〜 ままの〜 自分になるの〜♫

…世界的大ヒット作となった『アナと雪の女王』を持ち出すまでもなく、ディズニー社(米)は昔から、人々のジェンダー観を常に半歩先取りすることで、多くの共感と賞賛を得てきました。

(☆こちらの書籍に詳しいのでぜひご参照ください。)

 

 

日本でも、地上波で子ども向けアニメーション番組ががんばっています。

中でも日曜朝に放送のプリキュアシリーズは、特筆されるべきでしょう。

『HUGっとプリキュア』(2018)では、

男の子だってお姫様になれる!」(女の子だってヒーローになれる)の台詞回や、男の子のプリキュアを登場させる 回等、

多様性や社会の変化に敏感かつ「文化的に形成されるジェンダー」を意識した制作サイドの責任ある態度を見てとることができます。

 

 

 

○絵本(子どもの成長に関わるメディア)とジェンダー

 

ところで、子どもにとって「絵本」とはどんな存在なのでしょうか。

 

スマホやタブレットなど、子どもが初めて「絵本」「物語」と出会う機会が紙以外の形に替わることも増えましたが、いずれにせよ養護者(親など)と一対一の関係を築いて以来、初めて出会う“外側”の媒体=「メディア」となるはずです。

幼稚園〜小学校まで、教育の現場でも絵本の読み聞かせが全体として行われています。

 

絵本が子どもと親しい関係にあり、子どもの成長に深く関わるメディアであることを、ここにあらためて記しておきたいと思います。

 

 

さて、「絵本×ジェンダー」をテーマに自治体講師としてお招きいただく機会も増えております。(主たる対象は大人)

 

「ジェンダー」が市民の関心事のひとつとなってきたこと、しかしながら、多くの人にとってはややとっつきにくい話題でもある…

その入口に「絵本」を選んでいただいているのだと思われます。

 

 

絵本の中で「ジェンダー」がどのように表現され、どのように親しまれてきたのか?

古今東西ジェンダー表現の違いは?

それぞれの社会背景は?

毎回作品紹介にとどまらず、背景や社会政策(子育て支援、男女共同参画)、各国出版の動きや各種メディアとの比較などとあわせてお話させていただいております。

   ⇐ご参照ください)

 

例えば

「おかあさんだから○○」「女性と職業」といったテーマでは…

こんな絵本や、

絵本を視点を変えてみる(読む)ことで、私たちは、あたらしい気づきを得ることができます。

 

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絵本は子どもの成長に深く関わるメディアであり、社会を映すメディアです。

ジェンダー表現や読まれ方、その手渡され方に引き続き注視してまいります。

 

また、男女平等に限らず、セクシャルマイノリティ、障害、人種による差別…

我々の課題は他にも山積みです。

 

「わたしらしく」生きることを願う私たちは「あなたらしく」を尊重することを知り、学ぶ必要があるでしょう。

 

多くの人が人権、ジェンダーについて気張らず学べる機会がもっとあるといいと思います。

教育現場がその入口として期待されます。

 

3/8 国際女性デーに。

 

 

絵本コーディネーター東條知美