(ここまでのお話) ☆詳しくはコチラ(前編)

子どもと大人に絵本を薦めつづけて十数年、「いつか誰かに、本気でわたしのための本を選んでもらいたい」と願うようになったトウジョウ。

いつかを待てない彼女はさっそく、冷凍パイナップルサワーの力を借りて馴染みの本屋<てんしん書房>に依頼します。

絵本に特化した一万円選書わたしのための絵本セレクト、シクヨロ♡

 

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お待たせしました本編です。

今回私が一万円選書をお願いしたのは、こちらのお若いご夫婦。

東京都文京区(茗荷谷)で、子どもの本屋「てんしん書房」を営まれています。

てんしん書房さんは、いつも近所の子どもたちや親子連れでにぎわっています。

 


(右:店主の中藤氏 左:その女房アオイちゃん)

アオイちゃんの顔を思い出すとき、わたしの脳内ではいつも有村架純(女優)に変換されるのですが、写真撮るよーって言うとこの表情。女優の残像が砕け散るので一度ちゃんと架純に謝ってほしいです。

中藤氏には歌舞伎役者の血が流れているとかいないとか いないわ。ふと飛び出す何気ない仕草に、隠しきれない血筋の良さ、出生の秘密、やきそばの匂いなど様々嗅ぎ取ってしまうわたし。

 

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さっそく選書してくれたようです。早い!

日付の変わる頃、画像つきのメッセージを送ってくれました。

 

てんしん書房 「このへん知ってます?この中で(既に)持ってる絵本はありますか~?」

 

わたし 「全部知ってるけど、持ってませーん。イイネ☆」

 

てんしん書房  「・・・知らなかったって言ってもらいたいんで、一から選び直します」

 

わたし (まけずぎらいかよ 笑)

 

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で、

後日受け取らせていただきました。

 

こちらが「東條のための絵本」、てんしん書房さんによる1万円選書です。

 

ワクワク!


さっそく読ませていただきます。

 

 

✿『フリックス』

(トミー・ウンゲラー 作/今江祥智 訳 2002年 BL出版)

わたくし、トミー・ウンゲラー絵本のピリリと利いたウィットと毒が大好物なんです。しかし

ネコの夫婦から生まれたパグ犬「フリックス」の数奇な運命を描いたこちらの絵本、これまで手に取ったことがありませんでした。・・・すっごく面白い!!

主人公のフリックス、めちゃかっこいいです。現在の社会にこそ必要な逸材よね~...ってなことをチラと思わせつつ、スカッと爽快な読後感。イイネ!合格

 

 

 

✿『やねの上にさいた花』

(インギビョルグ・シーグルザルドッテイル 作/ブライアン・ピルキントン 絵/はじあきこ 訳 2006年 さ・え・ら書房)

物語の舞台はアイルランド。主人公のおばあさんの名前は「グンニューナ」。

羊や牛と暮らすのどかな田舎から、首都(レイキャヴィーク)のアパートへ移り住むことになって...。

慣れない環境にしょんぼりしたりビックリしたりもするけれど、すぐにおもしろいことをみつけて気分上々♫サクソフォンを吹きならしちゃうおばあちゃん。どこにいたって「自分の場所」を作れるおばあちゃん、最高。こうありたい!

これ多分、自分だけでは多分選べない(みつけられない)絵本だったと思う。サンキュキラキラ

 

 

 

✿『ぼくは』

(藤野可織 作/高畠純 絵 2013年 フレーベル館)

のんだ牛乳も、食べたパンも、りんごも、そして読んだ本も、み~んな みんな、

「君の中に・・・・・」と伝える絵本。

文字数が少ない。シンプルな構成で大切なことをみんなに気づかせてくれます。

さっそく講演会などで紹介させてもらお!学校図書館にもぴったりかも~音譜

 

 

 

✿『おやすみ、くまくん』

(クヴィント・ブッフホルツ 作/石川素子 訳 1994年 徳間書店)

よるになりました。

くまくんは、りんごのズボンをぬいで、

ほしのズビンを はきました。

ながい おはなしも ききました。

みじかい おいのりも しました。

・・・


声に出して読んでみると、呼吸が整っていくのが分かります。

しずかに、しずかに、ゆっくり、ゆっくり...忙しない毎日だからこそ、眠る前にこんな絵本を読みたい。

お空の月をじっと眺めたい。光のあたる場所をみつめていたい。くまくんと一緒に、生きものの気配、風の音を感じていたい。


くまくんは、あしたが、まちどおしくてなりません。


物語が終わって最後のページをめくると...見返しに一通の封筒がついているではありませんか。

素敵な夢をみるための魔法が、最後の最後、あなたにもたらされます…流れ星

 

 

 

✿『イバラード博物誌』

(井上直久 作 1994年 架空社)

(きたきた、変化球!)

「イバラード」は、画家の井上直久氏の創り出した架空の街。
あのジブリ映画『耳をすませば』に描かれる劇中劇
の背景には、「イバラード」の中のいくつかの絵が使用されているそうです。

絵本というよりは画集と呼びたくなるこちらの作品。けれどもやはり、読み飛ばすことはできないのです。「ラピュタ」が何なのか、「羽化」が何なのか・・・わからなくちゃもったいない!最初からちゃんと、順を追ってめくります。

懐かしいようなせつないような...この気持ち。

幻想の街を「ぼく」と一緒にどこまでも行ってみたいから、わたしは時間をたっぷりかけて、このイバラードを旅します。

何度でも何度でも迷い込みたい、大人のための絵本。

 

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てんしん書房さん、選んでくださってありがとうー!

 

いや~ 

依頼してから受け取るまで、ずっとワクワクしてたわ。ドキドキしてたわ。

一冊読み終えるごとに、なんだかじんわり嬉しくなったわ。

 

自分だけでは出会えなかった作品。

「わたしのための 特別な選書」。

 

はい

 

大満足です。

宝物が増えました。

 

自分で選ぶのがキホンだけれど、たまにはみなさんも「絵本で1万円選書」とか「5000円選書」とか、依頼されてみてはいかがでしょうか。

 

というかこの仕事、わたしもやりたいよ。

 

てんしん書房さんが引きうけてくれるかどうかは、各自ご確認くださいますようお願いします。

 

「わたしのための絵本、1万円分選んでおくれ。」~東京都文京区 てんしん書房(後編)レポでした。ウインク

 

 

絵本コーディネーター東條知美

 

 

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東京メトロ地下鉄丸ノ内線 茗荷谷駅より徒歩4分

 

【営業日】月曜定休+不定休

【営業時間】11時くらい〜暗くなるまで

☆てんしんMAP ⇐ここをクリック

 

(住所) 東京都文京区小石川5−20−7 1F

駅改札を出て右手、春日通を渡り交番を右へ

筑波大学を横目に湯立坂を下ります。

教育の森公園、窪町東公園、小石川植物園の緑に囲まれた本屋。

 

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(2020.4.10 追記)


「店舗での営業休止に伴い「選書・配送サービス」をはじめます。」


てんしん書房さんによる選書サービスが本格的に始まったようです。

よろしければ、ぜひ🤗



(絵本コーディネーター東條知美)