【言葉・手・目線が語る 絵本】


☆『かあさんをまつふゆ』
ジャクリーン・ウッドソン 作/E.B.ルイス 絵/さくまゆみこ 訳(光村教育図書)


男手のない戦時。シカゴへ働きに出る母親、残される娘と祖母。

静かに降り積もる雪。過ぎてゆく時間。

不安げに自分の腕をつかむ娘の右手、

窓の遠くをみつめ、しっかりと娘を抱きしめる祖母の両手、

迷い猫をなでる手、

手紙を受け取る手・・・・・



娘の思い、見たこと、聞いたことが文章で語られますが、
同時に「手」や「娘と祖母の目線」が言葉にならない多くを語りかけてきます。

絵本表現ならではの魅力です。



雨よりも わたしのことを 大すきな かあさんが。

ゆきよりも わたしのことを 大すきな かあさんが。

きしゃを あらって はたらいている。

その かあさんが、もうすぐ もうすぐ かえってくる。



(※本文より抜粋)




絵本コーディネーター 東條知美