【申年に~お猿の絵本~】
☆『狂言えほん うつぼざる』
(もとしたいづみ 文/西村繁男 絵 講談社)
猿まわしの芸をしていた猿が、ふいに駆け寄ってきた殿様に飛びかかってしまいます。
殿様は猿まわしに、「矢を入れる靫(うつぼ)をその猿の毛皮で作らせるなら許してやる」と言いますが、猿まわしは断ります。
怒り狂って弓矢をかまえる殿様、自らの杖でひと思いに死なせてやりたいと頼む猿まわし。
ところが、振り上げられた杖を芸の合図と思い、猿は一生懸命に船をこぐ仕草をし始めるのです。
その健気でいじらしい様子に、殿様の目にも涙があふれて......
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お正月にふさわしい、大団円をむかえる狂言の名曲。
難解と思われがちな伝統芸能をわかりやすく伝えてくれる絵本です。
絵本コーディネーター 東條知美