*** クリスマス・アドベント〈絵本〉カレンダー ***
☆12月20日
『ミシュカ』
(マリー・コルモン 文/フョードル・ロジャンコフスキー 絵/みつじまちこ 訳 新教出版社)
。 。 。 。 。
ミシュカは、こぐまのぬいぐるみです。
「ごしゅじん」は、いばりやでおこりんぼうの女の子でした。
ある朝目を覚ましたミシュカは、何もかもが嫌になってしまい、家出することにしました。
「もう ぜったい、ぬいぐるみなんて まっぴらだ!」
雪道で鳥にからかわれたり、ハチミツ入りの瓶がなかなか開かないことに苛立ったりしながらも、鼻歌を歌いながら歩いてゆきます。
(ちなみにハチミツの瓶の件では、「ふん、ばかたれめ」なんて言ったりもするんですよ。)
木に登って休んでいると、2羽のガンの話し声が聞こえます。
今夜はクリスマスイブ。
「おともだちを たすけたり、ふしあわせなひとを なぐさめたり、ふこうへいを ただしたり・・・」
なにか1ついいことをすべき日だと、ミシュカは知ります。
再び歩き出した深い森の中、そりを引くトナカイに出会ったミシュカは......
。 。 。 。 。
貧しい家の前で空っぽになったプレゼントの袋を見て、ある決意をするミシュカ。
男前な表情が、目に浮かんできます!
『ミシュカ』はフランスで1941年に刊行された作品です。
作者 マリー・コルモンは1895年パリに生まれ、10歳に孤児になった経験から、社会の不正に苦しむ子どもを助ける仕事に情熱を傾けたといいます。
そして、ロシアの絵師 ロジャンコフスキー(1891ー1970)の描く自然描写、ミシュカの愛らしい姿。
ミシュカが口にする悪態は読む者を笑わせますが、これもラストの重大な決意を際だたせるのに一役買います。
「ふん、ばかたれめ」... 翻訳もすばらしい。
すべての人におすすめしたい一冊です。