◆ 友人の子どもの一言と文楽


東條:主な登場人物は、鎧武者の姿をしたからくり人形「はぐるまのすけ」と、はぐるまのすけの傍らにいつも一緒にいる黒子・・・
絵本では初めての設定ではないかと思われます。この設定はどうやって思いつかれたのですか?



てんてんさん:友だちの子どもが私の別の本を手に取ってくれた時に、「僕もこの人の描いたものが読みたい」と言ってくれて。
これまでにも絵本の絵だけは描いているのですが、文章も自分で作ったものはなかったので、この際作ろうと思いました。
ちょうどその当時ハマっていた「文楽」・・・文楽の人形の世界を絵本にしよう!とひらめきました。


(ひとつひとつ丁寧にこたえてくれた細川貂々さん。参加者の皆さんからの意見や質問も活発に飛び交いました。)




◆じっくりと考えてみること


東條:主人公の頭の中にある歯車が、くるくる回る場面が繰り返し出てきます。




てんてんさん:私には小学生の子どもがいるのですが、最近は子どもも大人も、「何かをじっくりと考える」ということが少なくなってきているんじゃないかなあと思うんです。
それで、主人公はぐるまのすけの特徴として、「考えるときに頭の中の歯車がくるくるくるくる回る」「じっくり考えて、解決に向かう」キャラクターにしようと決めました。






◆「誰かが助けてくれるよ」


東條:事件を解決した「はぐるまのすけ」がエネルギーを使い切り動きを止めてしまったときに、黒子がすかさず「いのちのぜんまい」を「ぐりっぐりっぐりっ」と回して助けてくれるのですね。




てんてんさん:そうなんです。ある読者さんからは、「自分では手の届かない解決が難しいような問題も、そばにいる誰かがきっと助けてくれるよ」「全部自分だけで背負わなくていいんだよ」というメッセージがこの作品には込められている・・・と言っていただきまして。
そんな風に読んでもらえたのなら、とても嬉しいなと思いました。




(③へ続きます)