(※こちらの岡田千晶さんへのインタビューは 6月に行ったものです)

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【岡田さんへの質問コーナー】

 

◆絵描きさんの日常に興味があります。「最近の一日のスケジュール」を教えて下さい。

 

(岡田さん)起きるのが7時くらいで、子ども(*お子さまは3人。2人のお子さんがまだ家にいらっしゃるそうです)のお弁当を作ったり・・・といった家事を片づけ、9時か10時には仕事を始めます。子どもは一番下が今浪人生なので(笑)夕方6時くらいまで仕事ができます。ずーっと見ていると(絵が)よくわからなくなることがあるので、時折休憩しながら進めています。夕方になったら近所のスーパーへ買い物に行き、家族にご飯を食べさせたりした後は、まただいたい夜中の1時くらいまで仕事をしています。

リビングルームの隅っこで仕事をしていたのですが、だんだんとエリアが広がってきてしまって、今リビングルームのすべてが私の仕事場と化している状態です(笑)

外から帰ってきた家族はここにあるソファに座って私の仕事を眺めながら、その日の出来事を話したりしてくれます。不思議なもので、いま、子どもたちもみんなそれぞれ絵を描くようになっています。

 

 

 

◆文章を読まれたとき、いつもパッと場面が浮かんできますか?

 

(岡田さん)浮かんでくることもありますが…そこに一番苦労をしています。楽しみでもありますが。

ほんとうに時間をかけます。簡単には描けっこないです。

「描けない」という理由で断った仕事はありません。私の絵を知ってくださった上で、みなさんにご依頼いただいているので。

 

 

 

◆数多くのお仕事の中でこれまでに一番ご苦労されたお仕事について教えて下さい。

 

(岡田さん)この質問に関しては事前に内容をいただいておりまして(笑)事前にちょっと考えさせてもらったのですが、『ぬいぐるみおとまりかい』です。

通常、絵本では主人公はひとりかふたりなんですね。ところがこの作品には10人の子どもたちが出てきます。普段はひとりの子どもを思いを込めて描き、あとは背景…というところを、10人。まず、これだけたくさんの子どもたちを画面の中に入れるのがちょっと大変でした。それから、それぞれの子どもたちがどんな性格なのか?10人分を考えながら、そして子ども同士の関わりを描くことがすごくむずかしいと思いながら描いた作品です。

楽しかったこともあります。

私のラフを見て作者の風木一人さんが文章を変えてくださった所があります。

夜の図書館でぬいぐるみたちが遊んでる場面ですが、このシーンで「ぬいぐるみにどう遊ばせるか?」ということを描きながら考えました。それに合わせて文章を変えてくれたのです。

そういえば、棚に置かれた絵本を一冊一冊描くのにも時間がかかりました(笑)

 

 

 

◆岡田さんご自身は何を描くのがいちばんお好きですか?

 

(岡田さん)もともと人を描きたいと思って絵を描いていました。最近はとくにファンタジーを描くことがすごく楽しくて。これからもファンタジーを描いていきたいなと思っています。

 

 

 

◆子どもの頃、どんな本を読んでこられましたか?

 

(岡田さん)小学生の時に大好きだったのは『だれも知らない小さな国』です。子どもの頃に暮らしていた土地が似たような環境で・・・カエルがいたり、足元をふっと見たら何か小さなものがいるんじゃないか?というような。

(「実際に小人を見たことはありますか?」という東條の質問に)・・・小人?見たことないです!(笑)

他は、高校生くらいまで『不思議の国のアリス』や『風にのってきたメアリー・ポピンズ』 のようなファンタジーの長編が大好きでした。

 

 

 

◆最近読んだのはどんな本ですか?

 

(岡田さん)本は好きなのですが、最近は小説を読まないようにしているんです。私の場合、あまりにのめり込んでしまって仕事ができなくなってしまうので(笑)

 

 

 

◆影響を受けたアーティスト、好きな絵本作家や児童文学作家についてお聞かせ下さい。

 

(岡田さん)子どもの頃から『くまのプーさん』や『不思議の国のアリス』の挿絵が大好きでした。「絵」というとモノクロのペン画の絵、そういうものが描きたいと思い憧れていました。

当時図工の教科書に載っていたような、色のついた絵にはあまり惹かれなかったんです。

 

 

 

◆いつごろから現在の職業を意識されましたか?

 

(岡田さん)高校生の頃は、お菓子作りに夢中になっていました(笑)高校卒業後の進路を決めなければいけない時期になって、美大を受験するためにデッサン教室に通いました。結局受験には失敗したのですが、そのころからイラストレーターになりたいと考えていました。

 

 


◆今いちばん欲しいものは?

 

(岡田さん)まったく思いつかないです!…あ、もっと広い仕事場が欲しいです(笑)

 

 


 

◆小さい頃の自分に会いに行けたらなにか声をかけますか?

 

(岡田さん)声はかけないと思います。じーっと見てるだけだと思う。

 

 


 

◆今後の作品・これから岡田さんご自身が取り組みたいと思う仕事について、お聞かせ下さい。

 


(岡田さん)今お仕事をいくつかいただいています。自分のオリジナル(文章もてがけた)絵本を作りたいと思っているのですが、まずは今いただいているこれらの仕事を終えて、それからじっくりと取り組むことができたらいいなと思っています。


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***後記***

岡田さん、ありがとうございました。
今日の月夜の絵本会は、平日夜にも関わらず小学生の女の子がおふたりも参加してくれました。岡田さんの絵本が大好きで「ぜひ作者に会いたい!」と、お母さんと一緒に来てくれたのです。
岡田さんのこれまで手がけられた素晴らしい仕事の数々が、大勢の人々の胸に届いていることのあらわれだと思います。

これからもますますのご活躍を。
岡田千晶さんの手で生み出される優しく、骨太な絵本を楽しみにしております!


絵本コーディネーター 東條知美