④ 「あそびたいものよっといで」 あまんきみこ/作 おかだちあき/絵(2013.3 鈴木出版)
落ち着いた雰囲気の中に力強さのある絵を描かれるおかだちあきさんにお願いしました。光と影の絶妙なバランスがすばらしい絵です。
(出版社HPより)
(東條)こちらも有名な童話作家であるあまんきみこさんとの共作絵本です。
こちらのお仕事は出版社からの依頼ですか?
(岡田さん)そうです。締切まであまり時間が無いところでのご依頼だったので、他の仕事との兼ね合いもありどうしようかと思ったのですが、あまんきみこさんの作品と聞き「やらせていただきます!」と(笑)
寝ないでもやろうと思ってお受けして、本当に寝ないで仕上げました。
(東條)桜の舞い散る季節を描いた絵本です。あまんさんの世界観、優しさにあふれたお話です。とくに指示書もなく、シンプルな文章だけを読んで、画家の頭の中で描いた風景がこんな風に美しく表現されていくというのが、なんともすごいなあと思いました。
(岡田さん)この作品では、最後にみんなでなわとびで遊ぶ場面を本当にすごく楽しく描きたいなと思い、ひたすらそこに向かって進みました。
(東條)桜の季節の絵本は他にもたくさんありますが、この絵本はタイトルに「さくら」「春」といったキーワードがないので、これは盲点でした(笑)
私も図書館員として覚えておきたい「春の一冊」です。
⑤ 「だいすきなおばあちゃん」 日野原重明/文 岡田千晶/絵(2014.3 朝日新聞出版)
医師として長年いのちを見つめてきた日野原先生が描く、子どもがはじめて経験する「別れ」と「看取り」の物語。
親子はもちろん、おじいちゃん、おばあちゃんなど、家族みんなで読んで欲しい絵本(出版社HPより)
(東條)こちらは(当時)102歳の医師・日野原重明さんとの共作です。本の帯には「日野原重明先生、102歳の絵本作家デビュー!」とあります。
作者によるあとがきにはこうあります。
「2012年のお正月に、朝日新聞土曜別刷り「be」に連載されている私のエッセイ「あるがまゝ行く」の読者の皆さんに、私は大胆にも絵本作家になると宣言しました。宣言したということは訂正したり、取り消すことができないということです。幸いなことに、名画家岡田千晶さんの協力を得て、2年の歳月を経た今、私はようやくその言葉を実行に移すことができました」
(岡田さん)ありがたいです。
(東條)2年かけて作られたとのこと…絵本としてはそう珍しい話ではありませんが、100歳を超えた日野原先生を思いますと多少のプレッシャーはありませんでしたか?(笑)
(岡田さん)はい、私の方にはとくにありませんでした(笑)
(東條)両者すばらしいと思います!そして絵本としては初めてでは?と非常に印象的な場面があったのですが…亡くなって白い布を被されたおばあちゃんと同じ部屋で、家族が添い寝をする場面が描かれています。
(岡田さん)実は、私自身はそういう経験が無く状況がわかりませんでした。実際に担当編集者さんが経験されたことがあるとおっしゃったので、そのときの様子を教えてもらいました。いろいろと資料を調べようとしましたが、そういった場面というのはあまりないんですね。
この仕事に取りかかった次の年に私の叔母が亡くなりまして、その時にやっと様子がわかり、描くことのできた場面です。
⑥ 「ぬいぐるみおとまりかい」 風木一人/作 岡田千晶/絵(2014.8 岩崎書店)
まちの図書館に子供が集まってきた。今日はぬいぐるみのお泊り会。
楽しいおはなし会が終わると、ぬいぐるみたちはもうふのなかへ。あれ、あれれ。寝ているくまくんが…。
(出版社HPより)
(東條)TV等のメディアでもかなり取り上げられ、話題になった作品です。
ある図書館のイベント「子どもたちの大事なぬいぐるみが夜の図書館でお泊り」、「翌朝ぬいぐるみを引き取りにきた子どもたちには、夜の図書館でぬいぐるみが経験した出来事がアルバムで渡される」、「それぞれの“ぬいぐるみの気に入った本”が、図書館員の「読んであげて」の言葉を添えて貸し出される」…という画期的な、あたたかいイベント。
こちらが評判をよび全国に広がりました。
岡田さんと風木さんでこの様子を取材に行かれたのでしょうか?
(岡田さん)風木さんは本になる2年以上も前からこの取り組みを知っていらっしゃいました。これは絵本にしたい素材だと思われたそうです。最初はアメリカの図書館で行われていたイベントだそうです。
(東條)私も個人的に、ぜひやってみたいイベントです。
こういう形で子どもたちが本に触れる、図書館に触れる、想像の世界を楽しむというのは素晴らしいですよね。
実行側になってその喜びに直に触れてみたいと思っています。