【作品について】



・「『ねずみくんのチョッキ』は、当初シリーズ化されるとは思っていなかった

 

・「広告の仕事をやっていた時代に、余白の生かし方を学んだ」

 

・「表紙の文字はいつも明朝体。書体で勝負しない。絵のジャマになるので手書きもしない

 

・「アイデア(内容)で勝負をしたいと思っている。常にアイデアを探している」

 

 

【ほんとうの大人】


 

・「メディアに流されず自分の頭で考え、おかしいと思う事をおかしいと言えること」

 

・「大人がよいものを知ることが大事。それを子どもに伝えることが大事

 

・「大人がよい本を本棚に並べておくこと。風景を記憶にうえつけること。電子書籍にはできないこと」


(なかえさんは、過去の講演会でも以下のようなお話をされています。)

「まずは大人が良いものを知り、良いものを子どもに与えることが必要。子どもがもし流行っているだけの絵本を欲しがってどうしても聞かなかった場合、親はイヤな気持ちを隠さずにその本を嫌々レジで精算する姿を、子どもへ見せてやれぱよい。子どもはその時の満足と、お母さんのイヤそうな顔つきを忘れないであろう。

成長したときに、「お母さんはこっちの絵本の方がいいと言っていたな」…

彼らがそのことをどうとらえ直すか。
大人と子供との勝負です。」

――2013年 芳林堂書店 高田馬場店にて。

 


・「確かな目、かつ自由な目で物事を内側から見ることができるのが“ほんとうの大人”。
自分にとっては(シュルレアリストの)瀧口修造氏がそれであった」

 

 

【想像力】

 

・「想像力=思いやり」 

 

・「知識はだれでも身につけることができるが、それだけのものだ。

想像力は、数値で測れない。負けることが無い。これが「自分だけのもの」(オリジナル)

 

・「想像力をフルに発揮して、自分なりに工夫して生きることが大事」

 

次回作(2015年春発売)タイトルは『ちっちゃなねずみくん』の予定

現代社会ではセレブで大声をあげ主張するタイプの人々が勝ちみたいになっているが、人間に一番大切なものは想像力。

普段よりさらに「ちっちゃい」「ごく普通の」ねずみくんが、そのことを読者に伝えることができれば

 

 

・・・・・

 

Q&A


(参加者)「ご夫婦で長年のパートナーとして仕事をしていらっしゃいます。うまくやるコツは?」

 

(なかえさん)「絵と文章で役割がきっちり分かれているからうまくいく。私が描いたラフ画を、上野がその意図を聞きながら形にしていく。もともと私も絵をやっていた人間なので、上野にあれこれ言っても「描いたこともないくせに」ということにはならないんです。

 

 



(参加者)「シリーズ最初の『ねずみくんのチョッキ』冒頭には、「おかあさんが あんでくれた ぼくのチョッキ」と書かれており、〈ねずみくんのお母さん〉の影が感じられます。

でもその後〈お母さん〉がぱったりと出なくなって、ガールフレンドの〈ねみちゃん〉とのエピソードが多くなるのはなぜですか?」

 

(なかえさん)「もともと1冊目の時はシリーズ化を念頭に置いていなかったからね()

その後「ラブストーリーを書きたい」という思いが出てきたんです。

でも実はこれまで、ねずみくんはねみちゃんに一度も「好き」と言っていないんですよ。

読み手にねずみくんの気持ちをいつも想像してほしい。

子どもたちからの手紙には「好きなんでしょ?ボクにはすぐわかったもんね!」なんて書かれたりします()


・・・・・

 

他にも、

広告会社で働いていた頃には朝一番で出社して夢中で仕事をしていたというお話、

『チコの時空間旅行』(2013年私家版)にこめた個人的な体験と思いについてなどなど……


様々な形で「絵本」に携わる参加者の皆さまとのセッションも含め、たくさんのお話を伺わせていただきました。

  


 


ニューヨークでの絵本作家デビューから41年。

「ねずみくん」シリーズの新作に加え、「売ることを考えない」という私家版の絵本作品にもますます意欲をみせるなかえよしをさん。


奥様であり長年のパートナーである上野紀子さんと共にこれからも、我々をあっと驚かせる作品を次々生み出されることでしょう。

  




なかえよしをさん、貴重なお話をありがとうございました!

ご参加いただいた皆さま、ロケットカフェの岸山さん、ありがとうございました!

  


 


心より感謝をこめて。


★なかえよしをさん公式ホームページ★
http://www1.odn.ne.jp/~ccu70240/nyny/jyouhou/




絵本コーディネーター東條知美