普段雪に触れる機会のない子どもたちは、「早く遊ばないと、雪がとけちゃう!」とそわそわしているのではないでしょうか。
そんな、子どもにとっての“雪”を描いた絵本を2冊ご案内します。
① 『ゆきこんこ』長谷川摂子文/降矢洋子絵(1998年福音館書店)
多くの日本人が思い浮かべる雪の風景。しっとりとした墨と水彩で、なじみ深い(里山のある)田舎の雪景色と雪遊びする子どもが描かれます。
最初の数ページは山で冬眠する動物たちに「あたたかくしておやすみなさい」。そして、部屋の中から窓の外の降りしきる雪を見ながら「ぼくはねむらない ぼくはあそぶんだ」と言う現代の子ども。
次のページには晴れ渡った冬の空。時間の経過とともにその色がだんだんと変わる中、暗くなるまで橇遊びや雪だるま作りに興じる子どもたちの様子がいきいきと描かれます。
(神社の鳥居や、家々に雪の積もる絵はとても日本的だと感じます。懐かしい!)
画家の降矢洋子さんは、『おれたち、ともだち!』シリーズ(偕成社)でおなじみの画家降矢ななさんのお母様。ななさんは『めっきらもっきらどおんどん』等で長谷川摂子さんと組んでいらっしゃいますが、洋子さんの方は「かがくのとも」等で1970年代から活躍され、85年には既に長谷川さんとの共作を出しているのですね。
http://www.fukuinkan.co.jp/searchresult.php?search_flg=wrt&writer_name=%B9%DF%CC%F0%CD%CE%BB%D2
☆『ゆきのひ』エズラ・ジャック・キーツ作/木島始訳(1969年偕成社)
世界で愛される「雪の絵本」といえばキーツの『ゆきのひ』ではないでしょうか。クリエイターの皆さんに伺うとこの一冊を「好きな作品」に挙げられる方も多いですね。
色とりどりの切り紙、貼り紙で鮮やかに描く雪の風景はとにかくとても明るく、主人公ピーターのわくわくした気持ちが伝わってきます。
積もった雪にいろいろな向きで足形をつけ、棒で長い線を引きながら歩き、木に積もった雪を落とす・・・
「にこにこわらうゆきだるま」を作ったり、雪に飛び込んで手を広げ、天使の型を作る。高い所からはもちろん、おしりですべる・・・
雪の中で思いつく遊びを全部やりつくして、家に帰りおかあさんにぬれた靴下を脱がしてもらいながら「ゆきのなかで ぼうけんしてきたことを、すっかり」話します。ここまでやって、ほんとうの大満足!なんですよね。
次の日には友だちを誘って、昨日よりもっとおもしろい遊びができそうな予感・・・で物語は終わります。
子どもの喜びのいっぱいつまった世界です。
あとがきによりますと、作者キーツは「絵本の主人公である黒人のぼうやを、長いあいだ胸の中で暖めていた」とあります。
見返しの模様も、綺麗です。
1916~1983年 ニューヨーク、ブルックリン生まれ。両親は、