※ここからは長野さんが「絵本作家になったきっかけ」について等。
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☆絵本作家として
今から45年ほど前、「文庫のおばさんになりたい」と思っていたの。
夫は転勤族でいろんな地方へ引っ越したのだけれど、当時椋鳩十先生の「母と子の親子読書運動」というのが鹿児島から全国的に広まっていたときで。
知らない街へ行っても、どこでも「絵本」を媒介にしてお母さんや子ども、そして人と人は本で繋がれる。
絵本には大きな力がある」と感じていました。
椋先生は「他人の描いた絵本ばかり見ないで、人をよく見なさい」とよくおっしゃっていた。
九州でそんな仲間たちと文庫や図書館運動をやりながら、自分も子育ての中で絵本・・・といっても広告をホッチキスでとめたようなものだけれど、遊びのひとつとして作っては子どもに見せ喜ばせていたの。
行き当たりばったりのラフ絵本のようなものそれが原点になっています。
そんなときに、ある活動を取材に来た新聞記者さんが「最近九州の紙面が暗いから、明るい記事を」と「お母さんの手作り童話」を掲載したいとおっしゃって。
そうしたら仲間の皆さんが「それなら長野さんがいいわよ」なんて言ってくださって。
原稿用紙の書き方も知らないわたしに、童話など書いたこともないから「できるかしら?」と思ったけれど、書いてみたらそれが評判になり。
その記事をご覧になった今の石風社の福元満治さんというとてもすばらしい編集者に出会いました。福元さんから沢山のこと教えていただきデビュー作が生まれたのです。
これが絵本日本賞文部大臣賞をいただいて。そこから始まったのね。
神沢利子さんは「この絵本にはすべてがつまっている」とありがたい評価をくださいました。
(本は)良い作家と絵描きがいても絵本にはならない。
良い編集者がいてこそよい絵本ができるように思うのです。
あとは、なにかよくわからないけれど、不思議なご縁がある。
これは大切なことだと思う。
それから、尊敬するかこさとしさんの作品などからは、子どもの魂と対等に向かい合っている姿勢が伝わってくる。
作品の絵や線の中に自然と表れている。
そういった姿勢の中からいちばん大切なものがうまれてくるように思える。
「自分がどう生きているか」が問われる、それが絵本であり子どもの本の作り手だと思うんです。
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~インタビューを終えて~
多くの作品を生み出してこられた長野ヒデ子さん。
我が家にも長野さんの絵本はたくさんあり、まだ子どもがほんの小さい頃から一緒に繰り返し読んでまいりました。
子どもを主人公にした作品、お父さんやお母さんを、動物を、体の一部まで(!)主人公にした絵本もあります。
どの作品からも感じられるのは、
“生きる喜びを謳っている”ところ。
それから
“子どもの魂と対等に向かい合おうとする作者自身”がにじみ出ているところ。
1月に農的生活の暮らしを絵本にしたスズキコージさんとの共作『やぎやさん』(すずき出版)が発売。3月にハードカバーになるそうです。
いつも溌剌とエネルギッシュで凛とした、私の理想の女性でもある長野ヒデ子さん。
これからの作品も、ますます楽しみに読ませていただきます。
長野ヒデ子さん、ありがとうございました!
(上:「せとうちたいこさん」を長野さんご自身が歌うCD「タイのたいこさん」、
下:CD「めめめめはなはなへそへそうた」どちらも作曲は中川ひろたかさん。楽しい気分になります
絵本作家のお仲間である飯野和好さんが座長をつとめる「てくてく座」の復興支援活動のひとつ、『みちのく青葉の夢日記』の際のもの。
あべ弘士さん、ささめやゆきさん、石井聖岳さんなど絵本作家陣が夢の共演!
長野さんは「みょうがのせんた」役でご出演。ぜひ観劇してみたかったです。(*^_^*))
(おわり)