(※対談記録の中では、発言者の氏名を省略させていただきます。[天沼春樹さん⇒天 北見葉胡さん⇒ 東條⇒]

またライヴならではの臨場感を生かすため、各発言についてはなるべくそのままの形で掲載させていただきました。ご了承ください。)


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(※記録⑧の続き)


『僕らの絵本』


「今日は本当はもうひとりゲストがいるんです。後ろの人はよく見えないかもしれませんが・・・(※テーブルの上に置かれた木製の猫の人形を指しながら)「ベンジャミンくん」という名前の、私の相棒です。(※画像12



(会場からは人形を見て「かわいい(笑)」の声多数。)


(手を人形の方へ伸ばしながら)「後ろのお客様からは見えないかもしれないので、ちょっと持ちあげてみますね・・・」


「ああっ、ちょっと、気をつけて触ってくださいよ。」


(突然うろたえたように)「あららっ、大変・・・ベンジャミン君の右腕が外れてしまいました!」


「ちょっと怪我をして右肩を脱臼しているのでね、気をつけてと言おうと思ったんですよ、今!」


(大慌てで直そうとするがうまくいかない)「すみません!・・・あっ、右腕床に落としました。どうしましょう。ともかくお大事に・・・」

(会場 笑)


(プロジェクター画像を指さしながら)「ベンジャミン君は、一緒に散歩したり、時には(大学での授業中)教卓に置かれたりする私の友人なんですよ。」


(猫大好きな北見先生。プロジェクターに映るベンジャミン君を見ながら押し殺した声で)「可愛い・・・。可愛い・・・!」


「大学に連れて行った時にはね、学生が「先生友達いないんですか?」って・・・。」

(会場 笑)


「なにか特別な思い入れのある〈お友だち〉でいらっしゃいますか?」


出久根育さん (※画像13『あめふらし』で天沼氏とブラスチラヴァ受賞)がプラハへ旅立つときに、たくさん猫の置物をおいていったので譲り受けたのですが、その中の一匹なんですね。今日連れてきたのは、話に詰まったらコイツに何か言ってもらおうかと考えていたからです。助けてもらおう、と()



(プロジェクターに映し出された「トトロの森」でベンジャミン君を撮った写真を指さしながら)「私が今住んでいるところは〈トトロの森6号地〉といって・・・狭山丘陵の中の森に住んでいるんですけど・・・ファンタジーですよねえ!」


「・・・(それは)ご冗談でいらっしゃいますか?」


冗談ではないです!」(※村山貯水池、多摩湖のほとりの山です。)

(会場 笑)


「ついていけないですよねえ()


「ごめんなさい。 私は天沼先生のおっしゃることを、本気なのかご冗談なのか大抵わからないもので・・・会場の皆さまの方で銘々判断していただければと思います!」

(会場 笑)

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「さて、先日おふたりの先生にご趣味を伺ってみました。その際に天沼先生は、〈悪夢をみること〉とおっしゃっていました。」


「趣味というか、昔からの習慣です。悪夢にうなされて起きて、それを書き留めネタにするっていう。」


「それが11歳のころからの習慣と伺い、たいへん驚きました。その悪夢をベースに物語を書き始めた11歳の少年時代、作家人生は既にスタートされているのですね。」


「目が覚めたら、もっとひどい悪夢だったりして()

(会場 笑)


「早熟なお子さんだったのですね。」


「生意気でしたね。「宇宙の果てのその向こうには何があるんですか」「宇宙の始まりの前には何があったんですか」と先生に聞いちゃうような、そんなヤナ子どもでしたね。」

(続く)



※画像12
『僕らの絵本』



※画像13
『僕らの絵本』