私自身に起きた、死産の記録になります。
似たような症状だからといって、同じ結果になるとは限りません。
妊娠中の方は不安になるかもしれまん。
また、辛い内容が含まれています。
天使ママさんは辛い記憶を呼び起こしてしまうかもしれません。
ご注意願います。
妊娠19週で心拍停止、小さな男の子を出産しました。
ピヨちゃんはたくさんの思い出を残してくれ、そしてたくさんの人の愛に見守られ、旅立ちの準備に入りました。
業者にピヨちゃんを預けていましたが、火葬場で再会しました。
振り返り記録、前回の記事
死産までの振り返りまとめはこちら
【7月23日(日)】
【死産後3日】
8:45
火葬まであと15分。
持ってきていた水と、ガーゼ替わりのペーパーでピヨちゃんの顔を拭った。
指も濡らし、顔を撫でる。
2日振りに触れる、ピヨちゃんの顔。
車の中でのみ面会を許されているため、ひとりひとり車の脇に来てもらった。
義両親は、この日がピヨちゃんと初対面である。
私「ピヨちゃん、おじいちゃんとおばあちゃんが会いに来てくれたよ。
嬉しいね。」
目、鼻、口、耳…ひとつひとつ説明した。
義母は、うん、うん、と頷きながら目に涙を浮かべていた。
義両親にも、みんなにももう一度ピヨちゃんに触れてもらった。
それから、ピヨちゃんにキスをした。
何度も何度も。
大きく開けたピヨちゃんの口。
ピヨちゃんの棺を旦那に渡して、旦那もピヨちゃんにキスをした。
ふたりでずっとピヨちゃんの顔を眺めていた。
しっかり目に焼き付けるために。
母「もう9:00。中、入れるって。」
9:00
約束の時間がやってきた。
一度蓋を閉め、風呂敷で包む。
車を降りて、斎場の入り口へ向かった。
中に入ると、すぐに焼香場だった。
私「え・・・。もうここでお別れなの…?」
一呼吸置く間もなかったので、動揺した。
業者「こちら側を頭に、置いてください。」
焼香台の奥に台があった。
右側がピヨちゃんの頭になるように置く。
再び、風呂敷をほどき、蓋を開ける。
母「旦那くんのお父さんとお母さんにも、ピヨちゃんの身体見せてあげなよ。」
病院で結んであげた、2枚重ねの産着をほどいて開いた。
私「手と足もちゃんと出来上がってて…鎖骨や肋骨もあるんです。」
ピヨちゃんの小さなおちんちんも見てもらった。
私「男の子だったんです。」
義母「あら、ホントだ…。」
みんなに、ピヨちゃんの身体を見てもらった。
ピヨちゃんが生きた事。
小さな身体で成長した事。
男の子だった事。
ピヨちゃんが存在した事。
みんなに記憶してもらった。
旦那と、2枚重ねの産着の、4か所ある結び目を交互に結んだ。
外側が、私になるように。
お父さんは不器用だからね・・・。
みんなに見られる外側は、お母さんが綺麗に結んであげるからね。
それから、みんなでお花を入れた。
業者が用意してくれていたキキョウに、病院で姉が買ってきてくれたアレンジメントの花。
そして昨日母に頼んだ追加の花。
みんなで順番に入れていく。
黄色のキキョウ。
白いカスミソウ。
青いデルフィニウム。
白い蘭。
黄色のひまわり。
花で埋もれていく。
ピヨちゃんは色とりどりの花の間から、顔を覗かせて眠っている。
ピヨちゃん、ピンクのお花が無かったね・・・。
でも男の子だもんね。
白、青、黄色のお花がいっぱいで可愛いよ。
ピヨちゃんに似合ってるよ。
私「ピヨちゃん、黄色が似合っていて可愛いよ。
今まで頑張ってくれてありがとう。
お母さん、お父さんの所に来てくれてありがとう。
頑張ったね。
偉かったね。
良い子だったね。
幸せだったよ。
大好きだよ。
愛してるよ。
ずっと繋がってるからね。
ピヨちゃんはずっとお母さんとお父さんの赤ちゃんだからね。
ずっと一緒だからね。
ピヨちゃんの可愛いお顔もお手々もあんよもずっと忘れないよ。
可愛いね。
世界で一番可愛いよ。
大好きだよ。」
言い残しの言葉が無いように…。
何度も何度も撫でて、声をかけた。
子供のように、うわぁんと泣きじゃくった。
棺の中に涙がたくさんこぼれた。
お母さんの涙も一緒に連れて行って…
最後に、もう一度キスをした。
業者「それでは、顔に布を被せてください。」
布を被せたら、もうピヨちゃんの顔を見る事は出来ない。
この可愛い顔に触れる事が出来ない。
なんて残酷な時間なんだろう。
小さな布を震える手で掴んだ。
私「ピヨちゃん、可愛いね。大好きだよ。」
ピヨちゃんの顔を撫でながら、布をゆっくり被せて行った。
可愛い口が見えなくなって…
鼻…
目…
順番に消えていく。
そして完全に布が被さった。
永遠に、見えなくなった。
業「蓋を閉めてください。」
旦那とふたりで、蓋を手に取った。
白、黄、青の花の中で眠るピヨちゃん。
もう見えない。
焼香台で4人ずつ焼香を上げる。
焼香が終われば、いよいよ火葬。
火葬炉は、焼香台のすぐ裏手にあった。
ピヨちゃんを乗せた台がゆっくり進む。
「名前を確認してください。」
火葬炉の横に『故 〇〇(苗字)様』と書かれている。
ピヨちゃんの小さな小さな棺が、大きな大きな火葬炉へ入れられる。
「お納めいたします。」
大きな重い扉が、閉められる。
ピヨちゃんがいなくなってしまう…!
行かないで!
いなくならないで!
焼かれちゃう…
会えない。
会えない。
もう会えない…
羊水が無くなって、流産死産を宣告された時。
泣いてはいけないと思った。
ひとりベッドで泣きじゃくっても、先生、家族の前では毅然としていた。
ピヨちゃんの母だから、しっかりしないといけないと思った。
“奇跡を信じる”
“ピヨちゃんの命を信じる”
そう誓ってからは一度も涙を流さなかった。
心拍停止を告げられたあの夜まで。
もう、我慢をするものは何も無い。
だって、ピヨちゃんは私の可愛い赤ちゃん。
もう、永遠に会えなくなってしまった。
斎場中に響き渡る声で、泣き叫んだ。
ピヨちゃん、
ファーストキスもラストキスもお母さんがもらっちゃったね。
お父さんには、ナイショだよ。
みんながピヨちゃんに会いに来たよ。
みんなに良い子良い子してもらえたね。
みんな、ピヨちゃんが大好きなんだよ。
みんな、覚えてるからね。
ピヨちゃんは、みんなの心の中でずっと生きているんだよね。
ピヨちゃん、
ずっと一緒だよ。
㊸最後の思い出へ続く。