ダン美術館が一番アパートから近いらしい、それがきっかけだった。
エコール・ミリタリー(軍事学校)とエッフェル塔を左手に見ながら、金色のドームを目指して歩く。
お掘に橋のかかったアンヴァリッド廃兵院までたどり着いたら右手すぐがロダン美術館の庭園だ。
(といっても塀に囲まれているので隙間からしか覗けないのだが)
塀に沿って直進し、カフェと建物の間にある小道を入れば、入口はすぐそこだ。

チケットを買うとまず迎えてくれたのは代表作「考える人」だ。
すぐそばには観賞用のベンチがあるが、思わず同じポーズを決めたくなってしまう。
さっそく屋敷のような美術館に入るとまずは石柱が堂々と支えるフロア。
左右の部屋には力強いロダンの彫刻が並べられている。
ロダンの作品は表面が荒っぽく、まるで彫刻ひとつひとつが熱を帯びているようだ。
結局観光客の多さに辟易してしまい、軽く館内を回ることにした。
二階に上がると、彫刻だけでなくゴッホの絵画も飾られていた。
ふと大理石でできた女性像の胸元に、小さく動くものをみた。
赤い背中に黒い斑点を落としたソイツは、彼女の乳白色の胸元を小走りする。
外から入ったのかと窓に目やれば、眼下にはすっかり整えられた庭園が広がっていた。
真っ青な芝の左右に、白い線を引いたような小道が延びている。
黄やら白やらの花をつけた草木は芝を囲むように植えられ、奥には小さな池がひっそりしている。
ぽつぽつと置かれた彫刻は、素朴な庭園の中で息づいていた。
ふと足元にいた男の子が「ママ、テントウ虫!」と声をあげた。


ロダンの考える人 ロダン美術館(Musee Rodin)
79, Rue de Varenne 75007 Paris
※ぜひ晴れてる日に訪れる事をオススメします。

庭園のみの利用も可能です(考える人の彫刻も見られます)