ストーリ7【簿記部先生の授業その2】

(登場人物)
ヤマダ君:AC高校簿記部のエース
サトウさん:AC高校簿記部の
      マドンナ
タナカ君:簿記に興味を持ちなん
     となく簿記部に入部

スズキ先輩:簿記部の部長
先生:簿記部の顧問


<これまでのストーリー>
友人に誘われて簿記部に入部した
タナカ君。

簿記部の部室にいたスズキ先輩
から簿記の初歩について教わる。

そして、簿記部顧問の先生に
よる簿記入門の授業が始まった。


簿記部顧問の先生による、新入
部員向けの授業は中盤に差し掛
かっている。

新入部員達は、みんなやる気に
満ちた目で先生の授業を聞いて
いる。



2、2つの情報を得るという観点
 からお店の活動をみる

 
お店を開店し、儲けを出すまで
の活動を追っていくと通常は
以下のような流れになると思い
ます。

①資金の調達→②商品や店舗などの購入
→③お客さんに商品を販売→④給料や
水道光熱費の支払い


このような、活動を経て手許に
残ったお金が通常、お店の儲け
となるわけです。

そこで、これらの一連の活動を
先ほどの2つの情報を得るという
観点から分類してみます。

【お店の財産や借金などの情報】
まず、お店の財産や借金などの情
報という観点から分類してみます。

お店として活動するためには、お金
が何よりも必要です。

よって、①資金の調達という活動を
みてみると

(A)投資家に出資してもらうか自分
  で出資する 


(B)銀行などからお金を借りる
  
というように、大きく2つに分けら
れると思います。

そこで、その2つの行為に対して、
次のような名前をつけてみます。

(A)出資という行為→『純資産』 

(B)借り入れという行為→『負債』

 また、調達した資金は店舗や商品
を購入することにより運用します。

よってその運用先についても名前を
つけてみます。

店舗や商品などの購入したもの
→『資産』


すると、これら3つの行為を記録する
ことで、お店の財産や借金の情報を
知ることができます。

【お店が儲かっているかどうかという情報】
今度は、集めてきたお金を使って
お店の従業員に給料を払ったり、
購入した商品をお客さんに販売し、
代金を受け取ったりします。

ここでも、先ほどと同じように、
これらの活動に名前を付けます。
 
商品の販売による代金の受取り
→「収益」 
 

従業員への給料の支払い
→「費用」


すると、これら2つの行為を記録
することで、お店がいくら儲かっ
たのかという情報を知ることが
できます。

以上のことより、お店を上手く営
業するためには、「お店が儲かって
いるかどうかという情報」のほかに

「お店の財産や借金の情報」も入手
する必要がありましたが、これら
2つの情報を入手するためには、
取引を次の5つに分類し、それらを
記録することで得ることができます。

【お店が儲かっているかどうかという情報】
 →「収益」「費用」

【お店の財産や借金の情報】
→「資産」「負債」「純資産」

お店の取引を、このような
①資産 ②負債 ③純資産 
④収益 ⑤費用に分類して、
帳簿に記録することで

「お店の財産や借金の状況」

「お店が儲かっているかどうか」という

ことを知る技術のことを簿記と
いいます。

このように、簿記によって取引
を帳簿に記入すると、1度の記録
で2つの情報が入手
できるため
に、お店を上手に経営するのに欠かせな
い、非常に便利な記録方法といえるの
です。

「どうでしょうか?
簿記の大切さはなんとなくわかってい
ただけましたでしょうか?」



先生が新入部員の生徒の反応をうか
がう。

「は~い。」

生徒のみんなも笑顔で返事する。

ただ、タナカ君は表情がすぐれない。

「う~ん。なんか分かったような
わからないような・・・・。」


そんなことを内心感じていたから
だ。

それでも、先生の授業はいよいよ
終盤に向かう。

「とにかく、やるしかない!」

そう、気合いを入れるタナカ君
だった。