百合枝は、大きく深呼吸をした。
次の瞬間、「こんばんは。」と第一声を放った。
百合枝は思った。
授業の始まる第一声は、やはり緊張する。
ここでちゃんと挨拶をしていないと、
高校のときに、塾で小学生に算数を教えたとき、
受講生の視線が集まった瞬間、
緊張のあまり頭が真っ白になり、
なにがなんやらわからなくなった。
受講生の顔がまともに見れなくなってしまい。
黒板に話しかけるようになってしまう。
黒板が友達になってしまう。
こうなると講義をやっていても面白くないし、辛いだけだ。
受講生もかわいそうだ。
村木に教えてもらった挨拶をしっかりすることが大切だと感じた。
緊張がひいた。
受講生の視線が百合枝に注がれた。
百合枝は、受講生と真剣勝負をする。
「前回の復習から、」
と百合枝は語り始めた。
「簿記は、英語で『 Book keeping ブックキーピング』といいます。」
「100年以上前に欧米の簿記の本が来ました。」
「もちろん外国語で書かれています。」
「そのころのわが国は英語などしゃべれる人はあまりいません。」
「もちろん、読むことも大変です。」
「外国の技術を何とか学ばないといけません。」
「日本はそれまで何百年もの間、鎖国していたのですから・・・・・」
「 Book keeping ブックキーピングが、」
「明治維新が終わった日本人たちに伝言ゲームのように伝わっていきました。」
「ブックキーピング」
「ブックキーピング」
「ブッキーピング」
「ブッキーピング」
「ブキーピン」
「ブキーピ」
「ブキーヒ」
「ブキー」
「ボキ」
「と日本人の耳にはアクセントのある
『ボ』と『キ』だけが残ったという説がありますが・・・・・」
「 Book keeping ブックキーピングを漢字で音訳したのでしょう。」
「ただ、昔のことなので真意はわかりません。」
「ただ、皆さんが毎日、肖像画が持ち歩いている人が英語を訳して伝えました。」
「すみません私は、持っていませんが、」
「教室を見回した。」
百合枝は登米 大吉さんに目が留まった。
「登米 大吉さんの財布の中には・・・・・」
百合枝は登米に尋ねた。
「今、店を閉めてきたので、諭吉さんはいっぱいおるで・・・・・」
と元気良く登米は答えた。
「多いと気分がええな・・・・・」
百合枝は微笑みながら、答えた。
「諭吉さんの書いた『福翁自伝』のなかで『私は維新後早く帳合之法
という簿記法の書を翻訳した。』とあります。」
「商売では、諭吉さんが描かれている紙幣。」
「お金の流れを記帳したものが簿記という人がいますが・・・・・」
「諭吉さんは簿記と縁が深い人ですね。」
百合枝は村木の模擬講義を思い出して続けて語り始めた。
「商売を長く続けるには、現金などのキャッシュを多く持つことが大切です。」
「でも、盗難・紛失等があるので、その日に銀行に預けたほうがいいですよ。」
と百合枝は登米に話した。
登米は、
「でも・・・店閉めたら銀行、閉まってるで・・・・」
百合枝は、
「銀行の時間外、すなわち午後三時以降、店を閉めたあと。」
「登米 大吉さんの店、果物屋さんの現金売上は、その日のうちに、」
「夜間金庫に入れたほうがいいですよ。」
「夜間金庫は彦根銀行のドアの横にある銀色の金庫です。」
「銀行と契約をして、利用したほうが安全です。」
「帳簿への記帳はその日のうちに金曜、土曜、日曜の夜であっても」
「通帳の普通預金は、彦根銀行の営業日の月曜日になって、帳簿と通帳の入金日がずれますが・・・・・」
「帳簿の記帳では問題ありません。」
「登米 大吉さん」
登米は大きくうなずいた。
そして、
登米は・・・・・
「百合枝・・・」
「百合枝せ・・・」
「百合枝せん・・」
「百合枝せんせ・」
「百合枝せんせい」
「百合枝先生、ありがとう」
と百合枝に向かって答えた。
百合枝は、余談になったが、登米の満足そうな表情と
毎日、実務を経験している登米に先生として認められたのが嬉しかった。
百合枝は、初めて「先生」と呼ばれて
素直に、
「嬉しかった。」
なんとなく、これからも「私はやれる」と自信が湧いてきた。
次の瞬間、「こんばんは。」と第一声を放った。
百合枝は思った。
授業の始まる第一声は、やはり緊張する。
ここでちゃんと挨拶をしていないと、
高校のときに、塾で小学生に算数を教えたとき、
受講生の視線が集まった瞬間、
緊張のあまり頭が真っ白になり、
なにがなんやらわからなくなった。
受講生の顔がまともに見れなくなってしまい。
黒板に話しかけるようになってしまう。
黒板が友達になってしまう。
こうなると講義をやっていても面白くないし、辛いだけだ。
受講生もかわいそうだ。
村木に教えてもらった挨拶をしっかりすることが大切だと感じた。
緊張がひいた。
受講生の視線が百合枝に注がれた。
百合枝は、受講生と真剣勝負をする。
「前回の復習から、」
と百合枝は語り始めた。
「簿記は、英語で『 Book keeping ブックキーピング』といいます。」
「100年以上前に欧米の簿記の本が来ました。」
「もちろん外国語で書かれています。」
「そのころのわが国は英語などしゃべれる人はあまりいません。」
「もちろん、読むことも大変です。」
「外国の技術を何とか学ばないといけません。」
「日本はそれまで何百年もの間、鎖国していたのですから・・・・・」
「 Book keeping ブックキーピングが、」
「明治維新が終わった日本人たちに伝言ゲームのように伝わっていきました。」
「ブックキーピング」
「ブックキーピング」
「ブッキーピング」
「ブッキーピング」
「ブキーピン」
「ブキーピ」
「ブキーヒ」
「ブキー」
「ボキ」
「と日本人の耳にはアクセントのある
『ボ』と『キ』だけが残ったという説がありますが・・・・・」
「 Book keeping ブックキーピングを漢字で音訳したのでしょう。」
「ただ、昔のことなので真意はわかりません。」
「ただ、皆さんが毎日、肖像画が持ち歩いている人が英語を訳して伝えました。」
「すみません私は、持っていませんが、」
「教室を見回した。」
百合枝は登米 大吉さんに目が留まった。
「登米 大吉さんの財布の中には・・・・・」
百合枝は登米に尋ねた。
「今、店を閉めてきたので、諭吉さんはいっぱいおるで・・・・・」
と元気良く登米は答えた。
「多いと気分がええな・・・・・」
百合枝は微笑みながら、答えた。
「諭吉さんの書いた『福翁自伝』のなかで『私は維新後早く帳合之法
という簿記法の書を翻訳した。』とあります。」
「商売では、諭吉さんが描かれている紙幣。」
「お金の流れを記帳したものが簿記という人がいますが・・・・・」
「諭吉さんは簿記と縁が深い人ですね。」
百合枝は村木の模擬講義を思い出して続けて語り始めた。
「商売を長く続けるには、現金などのキャッシュを多く持つことが大切です。」
「でも、盗難・紛失等があるので、その日に銀行に預けたほうがいいですよ。」
と百合枝は登米に話した。
登米は、
「でも・・・店閉めたら銀行、閉まってるで・・・・」
百合枝は、
「銀行の時間外、すなわち午後三時以降、店を閉めたあと。」
「登米 大吉さんの店、果物屋さんの現金売上は、その日のうちに、」
「夜間金庫に入れたほうがいいですよ。」
「夜間金庫は彦根銀行のドアの横にある銀色の金庫です。」
「銀行と契約をして、利用したほうが安全です。」
「帳簿への記帳はその日のうちに金曜、土曜、日曜の夜であっても」
「通帳の普通預金は、彦根銀行の営業日の月曜日になって、帳簿と通帳の入金日がずれますが・・・・・」
「帳簿の記帳では問題ありません。」
「登米 大吉さん」
登米は大きくうなずいた。
そして、
登米は・・・・・
「百合枝・・・」
「百合枝せ・・・」
「百合枝せん・・」
「百合枝せんせ・」
「百合枝せんせい」
「百合枝先生、ありがとう」
と百合枝に向かって答えた。
百合枝は、余談になったが、登米の満足そうな表情と
毎日、実務を経験している登米に先生として認められたのが嬉しかった。
百合枝は、初めて「先生」と呼ばれて
素直に、
「嬉しかった。」
なんとなく、これからも「私はやれる」と自信が湧いてきた。